けど言葉にするのムズい…!
だが俺頑張る!
合格通知が来た翌日の夜、出久はオールマイトから掃除をした公園に来るよう呼ばれていた。
「オ…や、八木さん!」
出久は後ろに一般の人達がいたためオールマイトの本名を言った。
「やぁ、少年。そして合格おめでとう」
「はい!ありがとうございます!」
そう言ってオールマイトと出久はハイタッチをする。
「一応言っとくが学校側には君との接点は話してなかったぞ。君そういうのズルとかで気にしちゃうタイプだろ?」
「お気遣いありがとうございます!」
やはり一人称が変わっても出久の根本は変わっていないため、オールマイトは気付いていたようだ。
「オールマイトが雄英の先生だなんて驚きましたよ。だからこっちに来てたんですね…」
「あぁ。学校側から発表されるまで他言はできなかったからね。後継を探していた折に雄英側からたまたまご依頼があったのさ」
「なるほど……そういえば個性の引き継ぎが終わったらオールマイトは無個性になるんですか?」
「いや、まだ個性はあるが例えるなら残り火でね。段々と個性は衰えていき次第に無くなっていくんだ。ただあまりやりすぎると活動時間が短くなっていくけどね!」
「え……じゃあ俺達と特訓してた時は……」
「あれは大丈夫さ!しかしそこまで時間は掛からなかったがかなり成長したな!私はビックリしたぞ!特にあの0Pの仮想敵を倒した時はな!」
「やっぱり禁手化が体力が続く限りできるのがいいですからね」
「そういえば君と爆豪少年の点差なんだが、僅か一点差だったよ。さすがだね君達は!」
「ありがとうございます!」
『……オールマイトよ、少し聞きたいことがある』
2人がそう話していたらドライグは篭手を展開して話しかけてきた。
「おや、なんだい?」
『ワン・フォー・オールが生まれた理由についてだ』
ドライグの言葉にオールマイトの体が固まる。まるで聞かれたくないことを聞かれたように。
「……なぜ知りたい?」
『フンっ、貴様には俺のことを話したはずだ。俺の中にいる奴らのこともな。そいつらと一緒に疑問に感じていたんだ。ただの個性でここまで巨大な力になれるのか、とな』
「……」
出久は篭手とオールマイトを交互に見ていた。
「……どうなんですか?オールマイト」
「……今はまだ、君に話すべきではないと考えている。これは私の勝手だがな…」
『舐めるなよ、貴様』
一瞬オールマイトですら恐怖する存在感が篭手から溢れる。オールマイトには一瞬、赤い龍が見える程感じた。
『俺や俺の中にいる奴らは相棒を気に入っている。もし相棒が死ぬようなことになったら……分かっているだろうな?』
より一層強まる存在感。篭手からオーラが出る程までになっている。
「……大丈夫ですよ、オールマイト」
「緑谷少年?」
「俺は、夢で度々師匠達の過去を見ていました」
「!?」
出久が言った通り、出久は歴代の赤龍帝達の過去を何度も見てきた。夢の中ではあるが、何度も見てきた。そして歴代の赤龍帝達の過去にあったことを軽くだがオールマイトは知らされていた。だが軽くと言っても人にとっては苦しいものである。それを何度も見たと聞かされたのだ。驚かない訳がない。
「俺は何度も色んな地獄を見ました。愛する者を殺された赤龍帝や道を間違えた赤龍帝……様々な人達を見ました」
「だけど、それでも俺は目指したかった。ヒーローに。そして、最高の赤龍帝に」
「俺は、ここに宣言します」
出久はまっすぐオールマイトに覚悟を決めた目を向ける。オールマイトはその目の奥に炎のようなものが見えた。
「俺は、あなたを超える最高のヒーローになります。それが俺の目指す未来です!」
「………」
オールマイトは出久の言葉に自分の判断は間違っていなかったと気付いた。
(……やはり、君に託してよかったよ)
「……分かった。話そう。そして私の師匠のこともね」
「……ありがとうございます」
それからオールマイトは出久にワン・フォー・オールの理由、そしてオールマイトの師匠が殺されたことを話した。そして、出久が最高のヒーローとなる頃にはもういないことも。
「…………これが全てだ。緑谷少年、ありがとう」
「……オールマイト、俺は頑張ります。あなたに最高のヒーローになったって、あなたを超えたって胸張って言えるようになります!」
オールマイトの話を聞いた出久は、より一層自身の覚悟を強めた言葉をオールマイトに伝える。
「……ありがとう…!本当に…ありがとう……!!!」
出久の言葉にオールマイトは涙を流し、感謝を述べる。オールマイトにとってその言葉は本当に嬉しいものであった。
***
そして春になり、入学の日である。
「出久!ティッシュ持った!?」
「持ってる!」
「ハンカチは!?ケチーフ!」
「持ってる!」
(ちょい遅れたー!かっちゃんもう先行ってるし!!起こしてよ!?)
「出久!」
「なに!?」
「……超カッコいいよ!」
引子は若干涙目になって出久に伝える。
「…おう!行ってきます!」
引子に挨拶をして出久は走って学校に行く。
(キツい!?ドライグ、お願い!)
『全く、何をしているんだ』
『Boost』
倍加を使い雄英に向かって走る。しかし忘れるな。今の出久に倍加をしたらどうなるかを。10分で雄英に着く。
「ふぅ……着いた……クラスは……確かA組だから…」
地図を見た出久は自身の教室に向かう。
(かなり広いなぁ……)
『迷いそうだな。気を付けろよ』
(だなぁ…)
そして出久はA組の教室に着く。
(ここからだ。俺はオールマイトと約束したんだ!絶対に最高のヒーローになる!)
そう決意して出久はバリアフリーの扉を開ける。ここから、出久の学校生活が始まる。