仮面ライダーインテグラ   作:虎ノ門ブチアナ

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#41 強化

「ふざけるなァ! お前ら矮小な人間如きがラフムを、ラフムの世界を邪魔するなッ!!」

「世界? 知らないなそんなモノ! この世界は誰かのモンじゃねぇだろ!」

 

 大護の攻撃に激昂した金剛は彼へと蹴りを見舞う。その動きを見切った大護は素早く回避すると、藤村を抱きかかえてその場から離れる。大護の腕の中にいる藤村は涙を流していた。

 

「…早くあの野郎の化けの皮、剥がしてやりましょうぜ」

「……ええ」

 

 藤村が涙を拭うと、金剛へと視線を向ける。

 

「さて、邪魔が入ってしまったが目的は遂行させて貰うか」

 

 先程の事が無かったかの様に金剛が言うと、病院の地下にいる響の方へと歩みを進める。それを止める為に雷電が走る。

 

「待て雷電! お前のイートリッジは……!」

「……まだあるさ」

 

 引き止める大護の言葉をよそに、雷電はポケットからブレードのイートリッジを取り出す。持ち運んでいたロインクロスを装着すると、ブレードイートリッジを起動させる。

 

《Account・Thunder》

《Blade》

 

(ブレードの力……アイツは嫌いだったが…響を助ける為なら使ってやるしか無い)

(そうやって仮面ライダーは、(ティアマト)の力を使って来たんだよな)

 

「うぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

《Change・Blade》

 

 サンダーの新たな姿、ブレードフォーム。身軽な銀色の鎧の背からは、二本の小刀が装着されている。

 それらを両手に構えて、刃を交差させる。

 

「響も……ここにいる奴らも……手出しはさせない!」

 

 雷電はその意志を言葉に表し、気持ちを改める。

 かつて誰かを傷付けてしまっていた罪悪感と、もうそんな事はしなくて良いと思える解放感が、彼の背を押す。

 

 もう戦う事が苦しみじゃない。

 今まで通り響の為に戦うのだけれど、何かが違う様に感じられた。

 

 

 右手側の小刀”一流輪(いちりゅうりん)”、左手側の小刀”二天舞(にてんまい)”。それぞれの二本の刀が金剛の腕を引き裂く。鎧に守られたその右腕へのダメージは少ないが、サンダーの力に圧され、金剛は後方へとよろける。体勢を整えようと上半身をかがませて重心を下げるが、その瞬間を狙った雷電によって、胸に膝蹴りを食らう。

 

「ぐおッ!」

「藤村金剛、お前と戦うのは初めてだが……こんなもんだったのかよ」

「こんな程度のヤツに……俺は…俺は虐げられていたってのか」

 

 サンダーの猛攻に金剛は雄叫びを上げる。裏切られた上圧倒されている故の悔しさが爆発しているらしい。

 

「お前ら……今まで俺が本気を出していなかったからって調子に乗りやがって! 俺が本気を出したら―――」

 

 金剛が恨み節を言い切る前に、彼目掛けて発射されたミサイルが直撃して大爆発を起こす。それと同時に爆破地点から閃光が発生する。

 

「あ~~~ン? 本気を出したらなんだってェ!?」

 

 耳を澄ます仕草をしたバーンが、サイクロンフォームで到着する。アントを撃退し処理が完了した勇太郎、そして楓が遂に到着したのだ。

 

「藤村さん! 大護さん! お待たせしましたっ!」

 

 瓦礫の上に着陸したウイニング・サイクロンフォームがウイニングフォームへと変身し、サンダーに駆け寄る。

 

「ようやく合流出来た! サンダー……! 君はやっぱり話せば分かる人だったんだね」

「……んな事、言ってる場合じゃねぇだろ」

 

 言葉を返す雷電には少し恥じらいが見える。その様子に楓は今までの事を全て許そうと考えた。

 バーンも合流し、三人の戦士が今ここに揃った。

 

「おおっ、遂に仮面ライダー揃い踏みだな!」

「俺は仮面ライダーじゃねぇって!」

 

 サンダーが反論するが、彼の肩をウイニングが叩く。

 

「誰かの為に戦う仮面の戦士、それが仮面ライダーでしょ。そしたら君はもう仮面ライダーだよ。ライドシステムを使ってるのも同じだしね」

「逆にここまでカッコいい姿をしてて仮面ライダーじゃない部分ってどこだよ」

 

 二人の認知に戸惑いながらも、雷電は仮面ライダーである事を受け入れる。

 

「よし、雷電! そしたらお前は今日から仮面ライダーサンダーだな!」

 

 意気揚々と彼の名を決める勇太郎だったが、雷電はその名前を却下する。

 

「その名前は俺が人を襲うラフムであった証みてぇなモノだ。正直サンダーなんて呼ばれるのは好きじゃない」

「じゃあ別の名前が必要か……」

 

 勇太郎が新しい名前に悩むが、その間に金剛が再起する。

 

「あのミサイル…何で光るんだよッ!?」

「お前が薄暗いから照らしてやったんだよ! どうやら効いたみてぇだな!!」

 

 バーンが高らかに答える。バーンはミサイルと同時に閃光弾を放っていたのだ。その理由は言うなれば”動物的勘”であったが、たまたま試した事が功を奏した事に勇太郎自身も少し驚いていた。が、これらの行動の全てが偶然では無かった。勇太郎の持つ頭脳が直観として瞬間的にそれらの方法を編み出し、採択した。勇太郎が自分の持つ思考能力にピンと来てはいないが、今は作戦が成功した結果のみを考える他無い。

 

「藤村金剛、っつかあの偽物野郎は結構ダメージを負ってる! このまま攻めていくぞ!」

「あぁ」

「オッケー!」

 

 バーンの指示に二人が答える。と、ウイニングはロインクロスに取り付けられたホルダーから先程千歳から受け取ったアイテムを外す。

 

「だったら、コイツを使ってみるか!」

 

 彼の持っている見慣れないアイテムに一同は驚愕するが、その場を見ていた藤村はそのアイテムに覚えがあった。

 

「あれは開発中の”ボルトリガー”!? 千歳さんに預けていたけど、完成させてたの!?」

「ボルトリガー? 何ですかソレ」

 

 藤村の反応に大護が問うと、藤村は分かる限りの情報で解説する。

 

「霧島君が電撃で昏睡している間、彼にまとわりつく雷のエネルギーを利用したライダーに雷の性質を付与するアイテムを作ろうとしていたのよ、実はね」

「イートリッジがラフムの粒子を取り込んで完成する原理を応用すればラフムによるエネルギーも使えると思っていたけれど、あれがどう言った形で力を発揮するのか、私にも分からないわ」

 

 これから何が起こるのか、誰にも予想できない事態。その結果はまさしく、神のみぞ知る。

 

《Voltex》

 

 ボルトリガーの引き金の部分を引くと、音声と共に起動する。

 ウイニングは使い方を良く分かっていはいないが、ブートトリガーに似た形をしている為に、ボルトリガーを差し替える。

 装填が完了すると、ボルトリガーの引き金を引く。と、そこから電撃が走り、ウイニングの全身を包む。

 

「おっ、おおおお! 何が起こってるのコレ!?」

 

 仰天するウイニングに関わらず、ボルトリガーは力を放ち続け、遂にはウイニングフォームの鎧に金色の装飾が加えられた。それは藤村が制作した物では無く、どこからそれが生成されたのか不明であった。

 一体どこからそれらの力や装飾が発生するのか全く分からないまま強化変身が完了する。

 

《Change・Winning・Voltex》

 

 ウイニングフォームの全身に金色の装飾が取り付けられ、荘厳な雰囲気を漂わせる。そのオーラに飲まれ、金剛は身動きが出来なくなっていた。

 

「な……なんなんだよッッッ!!」

 

 困惑する金剛に、力が満ち満ちているウイニングは深呼吸をすると、ゆっくりと答える。

 

(いかづち)纏いライドする仮面の戦士」

「その名をまさしく……仮面ライダーウイニング」

「―――ウイニングボルテックス!!」

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