仮面ライダーインテグラ   作:虎ノ門ブチアナ

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#65 五行

「午後十七時十三分! 静岡県静岡市葵区御幸町にラフム出現! ウインドと推定!」

「来ましたか…バディ機動隊は目標地点へ出動、ライダーは射出準備を」

 

 現在バディを管理する御剣家の当主、吹雪の指示を受け現場が動く。

 来る戦闘に備え風露と訓練を行っていた勇太郎、雷電は持ち場につく。と、ライダー及びラフムを目標へ射出する特殊車両が増えている事に気が付いた。

 

「火島先輩、こいつらって…」

「多分、皆だろうな」

 

 そう言いながら勇太郎が振り向いた先には風露、金剛、ボンバーが立っていた。

 

「勇太郎様、雷電様。御剣家にて勤めていた私の任務は金剛様の発明により解決致しました。今後は私もラフムとして戦闘に参加出来ます」

 

 風露の宣言に勇太郎は心がいっぱいになる。

 

「…頼もしいぜ! それに金剛さんに―――」

「I am Bomber! ヨロシクデス、バーニングボーイ」

「オーケー、ナイストゥミートゥー、だぜ!」

 

 新たな戦力の参入に不敵な笑いを溢す勇太郎と雷電、二人は互いの顔を見合わせて頷くと、特殊車両内のライドサイクロンにアタッチメントされたライドツールを開いて一式を完成させると、同時にイートリッジを起動させる。

 

《Account・Burn》

《Account・Thunder》

 

《Burn》

《Thunder》

 

「変身!!」

 

 二人の声が重なると、イートリッジを装填したロインクロスから発生する変身音と共に二人の姿は瞬く間に仮面ライダーの物へと変わる。

 

《Change・Burn》

《Change・Thunder》

 

 

「俺っち達も負けてらんねーっちゃ!」

 

《Account・Frustration》

 

 金剛が右腕にウェアラブレスを装着すると、それを合図に三人がそれぞれのイートリッジを起動する。

 

《Pandora》

《Bomber》

《Bat》

 

「変身」

「Henshin!」

「―――変身」

 

 三人がそれぞれの言葉と共に仮面ライダーオイオノス、ボマーラフム、バットラフムの姿となる。

 

「未取得の二輪免許に関しては気にしないで頂戴、バイク(それ)にまたがっていればそれで良いだけの射出装置として政府に認可されているわ」

 

 藤村の言葉に安堵したボマーとバットはライドサイクロンに乗車すると、特殊車両が地上へ向けて発進する。

 同じくオイオノス、霹靂、バーンの乗った車両も地上へ向かい、射出準備を始める。

 

「各員発進準備完了。ライドサイクロン整備済、システム異常無し」

「座標指定完了、座標までの到達ライン演算開始…演算完了。ノードオンライン」

「発進システムスタンバイ」

 

「仮面ライダーバーン、発進許可!」

「仮面ライダー霹靂、発進許可」

「仮面ライダーオイオノス、発進OK!」

「ボマーラフム、No plobrem!」

「バットラフム、発進許可」

 

「発進軸固定、ブースターオン。ライドサイクロン、発進します!」

 

 オペレーターの操作の元、五台のマシンが上空へと射出された。その様子をまじまじと見ていた藤村は彼らの姿が消えるまで見送ると、大護へと連絡を繋ぐ。

 

「兄さんから事情は聞いているわ。こちらでの調整はまだ時間が掛かるからもう少しだけ待機していて頂戴」

「了解だぜ先生、あっちには勇太郎達がいるし機動隊の仲間も向かってる。俺の出番なんか無いかもな」

「相手はウインドよ。油断は禁物だわ」

 

 ああ、とだけ返した大護は、少しだけその場で目を閉じて休む。その周囲は機械部品やケーブルで覆われ、ひどく物々しい雰囲気であった。だが、それらの部品が持つ意味を知る大護は周りの様子にむしろ安心感さえ覚えていた。

 

(待ってろ皆…必ず力になってみせるからよ……)

 

――

 

 午後十七時ニ十分、御幸町は”地獄”と化していた。

 

 ウインドは人通りの多い通りを狙って無差別殺人を繰り返し、その場でラフムを覚醒させようとしていた。

 彼が起こした暴挙は、楓の事情など知らない故、市民からはウイニングラフムの謀反の様にしか見えなかった。

 人類を助けようとしていた筈のウイニングの行動に人々は戸惑いながらも逃げるしか無かった。バディへの通報及び事情を説明する旨の連絡は鳴り止まず、機動隊出動後も助けの声は留まる事を知らなかった。

 阿鼻叫喚、そうとしか形容の出来ない光景は到着したバーン達を戦慄させた。

 

「アントの時も酷かったが…これをウインド一人でやったのか…?」

 

 爆炎と瓦礫、亡骸が列挙する御幸町の五叉路にバーンは息を飲む。

 

「状況に飲まれないで、火島君」

「あ、ああ…まずは消火っすね」

 

 オイオノスに諭され若干ながら落ち着きを取り戻したバーンはライドサイクロンに取り付けられた操作パネルから消火モジュールを展開する。

 大規模火災救助用に新たに取り付けらた機能である消火モジュールは、ライドサイクロン各部の機銃から弾丸を交換する事で展開され、発射する事によって消火用の特殊薬剤二百平方メートル分を散布する。弾数は五発、現在到着している五台のライドサイクロンによって現場の火災は余裕を持って鎮火出来る。

 

「消火剤の散布をしながら辺りを捜索、避難困難者を発見し次第回収を優先、ウインドを発見したら連絡を頼む!」

 

 オイオノスの適格な指示とその後の消火区域の分担により効率的に鎮火が行われる。バディ謹製の特殊薬剤の効果は覿(てき)面し、火災は抑えられた。しかしその被害は甚大で、多くの人がまだ街に取り残されている上、ウインドもまだ見つかっていない。

 

「どこだ…ウインド!!」

 

 バーンが周囲を睨み付けながらウインドを探す。と、バットから全員へ連絡が入る。

 

「ウインドっすか!?」

「いえ、ウインドは補足出来ていませんが、私の能力で新しいラフムの姿を捉えました」

 

 風露―――バットラフムはコウモリの特性を持っている。

 コウモリは超音波によって周囲の障害物を認識する事によって暗闇の中でも縦横無尽に飛行が出来る。

 バットラフムもその力を有しており、ラフム特有の感知能力と相まって超常的な程の索敵能力を誇るのだ。

 

「そのラフムってのは……まさか」

 

 バットの示す方向へと急行したオイオノスが見たのは、黒い影から真っ白い歯が浮かび上がる不気味な人型であった。

 

「何だあの禍々しいラフムは?」

「金剛さん! アイツは―――」

 

「アイツは黒木陽炎、シャドーラフムです!」

 

 バーンの報告にオイオノスが驚く。確かシャドーラフムとは武蔵博士の元で研究を行っていた男だった。

 彼が何故そこにいるのか、オイオノス―――金剛には特定出来なかった。

 

「アイツは強敵です、このまま戦うのも得策では無いでしょうがどうしますか?」

 

 バーンに問われて、オイオノスは数秒考えた後メンバーの再編成を立案した。

 

「暁君、ボンバー、俺でシャドーラフムと対敵し想定されうる人的被害を食い止める。残りの火島君、風露さんでウインドを捜索してくれ」

 

 了解、と全員が返事し、それぞれの編成を組んで行動を開始する。

 

 バーン、バットのウインド捜索班は以後もウインドの姿を追うが、全く見つからない。

 

「どこ行きやがった!」

「…勇太郎様!」

 

 バットが慌てた様子でバーンを呼び付けると、街から出られる道路を顎で示した。

 

「男性と思われる人影が一人、車に乗って脱出しました。避難状況から考えて不自然かと」

「追うぜ、風露さん!」

 

 ライドサイクロンの出力を上げ二人は先方の車を追い駆ける。

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