仮面ライダーインテグラ   作:虎ノ門ブチアナ

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#80 勇者

「インテグラ…それがお前の本当の力ってワケか……だからどうしたッ!!」

 

 正体不明の力を纏う楓に、ウインドは風の刃を生み出して楓目掛けて飛ばす。

 しかし楓は手を動かさずしてウインドと同じ風の刃を形成、防御した。

 

「今のは…俺の風の力!?」

「インテグラは全てのラフムの性質を統合する。お前のウインドも、"僕のウイニング"も有しているんだ!」

 

 楓が叫ぶと再び風の刃を形成して今度はウインドへと投げ打つ。

 負けじと風を発生させて相殺したウインドは楓の有するインテグラが恐ろしい力を秘めている事を察知して戦慄する。

 

(コイツと戦っても埒が明かねぇ…ここは流石に逃げるか)

 

 状況の悪さを感じ取ったウインドは後退(あとずさ)りするが、楓はその様子を見逃さなかった。

 

「逃げるの、ウインド? 僕から」

 

 楓の言葉がウインドに刺さる。

 ずっと自分が手玉に取って来た若造に恐怖し、逃げようとしている自分を指摘されてしまったのだ。

 こんな屈辱は生まれて初めてだった。

 

 故に、ウインドのプライドがこの場から離れるのを拒んだ。あんな小僧から逃げ続ける人生なんてゴメンだと思った。万全な状態であれば勝てるだであろう相手に対して逃げる事には何の心残りも無いが、勝てない相手だと判断して逃げてしまえば、もう勝てないと言っている様な物だった。多くの人間(ターゲット)を殺し、一度も生き延びさせた者などいなかった。ならば今回も自らの殺すべき相手を殺すだけだ。

 

「俺は逃げねぇ…霧島楓、ここでテメェを!ブッ殺すッ!!」

 

 己のプライドを誇示したウインドの巻き起こす暴風は明らかに強さを増し、余裕を見せていた楓がいとも容易く吹き飛ばされた。

 

「ウインド…ここまでの力がどこから!?」

「俺は負けない…ただの力を持っただけのガキに負けてたまるかァ!」

 

 憤怒するウインドの力は、既に尋常ならざる物と化していた。

 それはまさしく進化の片鱗。恐ろしい程の耐久性と有する能力の強化。

 

「ははは、やはりお前の力なんぞその程度! 俺様に敵う訳がねぇんだよ! 死ねッ!」

 

 口角が切れた楓が血を拭うと、ホルダーからウイニングイートリッジを取り出す。

 ―――が。

 

「――――――ッ」

 

 ウインドの風によってイートリッジが真っ二つに両断されていた。

 彼がライダーとして在る為に欠かせないアイテムが、破壊された。

 

 イートリッジの残骸が地面に落ちると、ウインドは笑みを溢して楓の不意を突く。

 

「終わりだッ! 仮面ライダーーーー!!」

 

 楓が茫然としていた隙にウインドの爪が彼の体を貫かんと突撃してくる。

 ウインドがこちらへと突っ込んで来ている事を察知した楓だったが、防御する暇も無く、ただ右手を目の前に掲げる事しか出来なかった。

 

「楓!」

 

 勇太郎が思わず彼の名を叫ぶ。ウイニングイートリッジの破壊が招いた絶望感を払拭する事無くこのまま楓は果ててしまうのか、彼の眼前に迫るウインドの動きを凝視しながら、勇太郎は叫び続ける。

 

 

 

 

《W・E-tridge》

 

 ウインドの攻撃を、楓から放たれるエネルギー波が跳ね返す。

 そのエネルギー波はいつの間にか楓の手に収まっていた謎のアイテムから放たれていた。

 ダブル・イートリッジと電子音声が鳴り響いたそれはイートリッジが二つ重なった様な形状をしており、取り外せる様に見えた。

 

「これは…なるほど」

 

 ダブル・イートリッジを見て何かに気付いた楓はウインドから少し距離を置いてから再びイートリッジに目をやる。誰かに教えられた事では無いが、それがインテグララフムの力によって創造された自分だけの新たなイートリッジである事を理解した。そして同時にそのイートリッジの扱い方も理解する。

 

「霧島楓…一体何をした!?」

「これは僕の中にあったウインドの力と、長官が名付けてくれたウイニングの力が統合した、僕の望んだ、僕だけの力だ!!」

 

 楓が宣言すると、本の様に開いたダブル・イートリッジの蝶番(ちょうつがい)に似たパーツに取り付けられたロック解除ボタンを押しながらイートリッジを二つに分割した。

 続いて分かれて二つになったイートリッジそれぞれのボタンを押し各自起動させる。

 

《New Winning》

《Neo Wind》

 

 二つの新たなる力、ニューウイニングとネオウインドを起動させると、ニューウイニングをロインクロスへ、ネオウインドをウェアラブレスへと装填する。

 新たなる勝利の力、真なる風の力。二つの力の統合が意味するのは、仮面ライダーウイニングの更なる強化。

 両イートリッジが奏でる勇猛かつ壮大な変身待機音と共に楓はブートトリガーを構える。

 

 

「―――変身ッ!!」

 

 満を持して告げられたその叫びと共にブートトリガーをロインクロスへと差し込む。

 

 

《True Power・Further Change・Winning…”Catharsis”》

 

 

 ダブル・イートリッジを差し込んだ二つの端末は認識音声を響き渡らせる。

 それと同時に発生するライドシステムと思わしき現象が生み出す粒子。

 楓の体にそれらの粒子が蒸着され、素体となるフレームボディを完成させると、凝固した粒子がウイニングとフラストルを折半した形状の鎧を形成しフレームボディに合体する。

 鎧に収納されていた仮面が顔の部分に装着され、変身完了する。

 

 ウインドはその光景に驚きつつも立ち向かうが、変身後のインテグララフム固有のエネルギー波に巻き込まれ、吹き飛ばされた。

 

「あれが…仮面ライダー……!?」

 

 新生したライダーの姿を見て恵介が呟くと、勇太郎は友の成長に感慨を覚えながらそうだ、と返す。

 

「あれこそが俺達の待ち望んだヒーロー…仮面ライダーだ!」

 

 新進気鋭のスーツを纏い、その装いを更に重厚かつ鋭角にした緑の戦士は、目の前の敵へと自信満々に啖呵を切る。

 

「正義を重ねライドする仮面の戦士」

「その名もまさしく…」

「仮面ライダーウイニング…カタルシス!!」

 

 マフラーをたなびかせながらウインドを指差すその戦士は、高らかに浄化(カタルシス)と名乗ってみせた。

 ”仮面ライダーウイニングカタルシス”、それこそが新たなる彼の名である。

 

「父さんと母さん、そして勇太郎と、”僕”の仇、取らせて貰うぞッ!」

 

「宣言した所でェッ! 今の俺には勝てねェよ!!」

 

 ウインドは自身の体を膨張させると、まさに異形と言うべき巨躯を披露する。

 十メートルはあろうその姿に勇太郎はかつての戦闘を思い出した。

 

(ありゃ…まるで雷電やアントみてーな形態だ)

 

「一部のつえーラフムはこうやってよォ、文字通り人間の枠に囚われない姿になるらしいが…俺はサンダーやアントとはワケが違ぇ…」

 

 ウインドは全身に張り巡らされた通気口の様な(あな)から風を発生させ、全身を覆う巨大な竜巻を生み出す。それらに触れた辺りの木々はまるでシュレッダーに掛けられた様に粉々になっていった。

 この竜巻に少しでも触れた瞬間、例えウイニングでも粉砕されてしまう―――と思われていたが。

 

「こんな風は僕の力には遠く及ばないよ」

 

《Catharsis・Attack》

 

 新たなる風の力の一段階解放。それによる能力強化でカタルシスは眼前の竜巻を片手でせき止め、自らの起こす風で相殺してみせた。

 

「まだまだァッ!」

 

 竜巻をたった一つ消しただけではウインドの防御は崩れない。同等の風力を持った竜巻を更に多数展開しカタルシスにぶつける。様々な風向きからの暴風に巻き込まれ彼は身動きが取れなくなっている。

 

「所詮はそんなモノか、今の俺には敵わねぇぞ」

 

 カタルシスをいたぶり、口角を上げて不敵に笑うウインド。だが、その直後に見た光景に彼の笑みは奪われた。

 

「所詮はそんなモノか、今の僕には敵わないよ」

 

《Catharsis・Crush》

 

 二段階目の解放、それにより両手から不規則な風向の突風が吹き荒れ、辺りの竜巻をまるで食らう様にかき消していく。異なる方向からぶつかっていく激しい風にウインドの竜巻は勢いを奪われていっているのだ。

 

「な…俺の風がッ!?」

「アンタ一人の力じゃ、多くの人の想いを受けた僕の風には勝てない!」

 

 次々と自分を守る竜巻を消されたウインドは、無防備な姿をカタルシスに晒す。

 

「見えたよ、ウインド!」

 

《Catharsis…Impact!!》

 

 カタルシスの解放三段階目、ロインクロスの限界となる解放は、今までもよりも更に強力な風を巻き起こす。

 発生する上昇気流に乗ったカタルシスはマフラーをたなびかせながら上空へ飛び上がる。

 ウインドの眼前にまで迫ると、その足を大きく振りかぶって彼の顎を大きく上へ蹴り上げた。それと同時に起こる風がウインドの体を持ち上げ、その巨体が浮遊する。

 

「な、浮いてる、だと!?」

 

 ウインドが仰天する頃にはカタルシスは続いての攻撃態勢を取り、またも彼を蹴り上げる。今度は左方向へと彼の体を回転させ、まるで天地返しと言わんとする様に体の上下をひっくり返した。

 

「まだだ!」

 

 疾風の様な速さでウインドの全身を這う様に飛ぶカタルシスはそのままウインドの体の様々な所へ蹴りを見舞い、彼の体を自由自在に吹き飛ばす。十メートルある怪物が人間大の戦士に空中で弄ばれている様子は、それを見守る勇太郎と恵介に仮面ライダーカタルシスの次元の違いをこれでもかと思い知らせた。

 最後の蹴撃でウインドを地へと沈ませてから彼の背中へと着地したカタルシスの姿に恵介は息を呑んだ。

 

「アイツ…前に戦った時なんかとは比べ物にならねぇ程強くなってる…このまま圧倒的な力でウインドをブッ倒しちまうんじゃねーのか……?」

「いや、まだだ楓! ウインドは並大抵の耐久力じゃ無いみたいだ!」

 

 恵介、そしてカタルシスに伝える様に勇太郎が声を張り上げると、ウインドはまたもその体を起こし、彼の起立を察知し回避したカタルシスへと重い拳の一撃を食らわせる。堪らずカタルシスは木々の広がる地面へとめり込まれてしまう。

 

「今のが能力の最大開放…本気ってワケか? 口ほどにも無いぞ霧島」

「…誰が今のを本気だって言った?」

 

 土煙の中から声が聞こえる。風を起こして辺りの邪魔な土煙を消すと、そこから現れたカタルシスは左腕のウェアラブレスを構えていた。

 

《Catharsis・Zeugma》

 

 カタルシス・ゼウグマ。英語等の文章における重複する単語を統合させる”くびき語”を表すその言葉は、インテグラの力を手に入れたカタルシスの、インパクトを超えた新たなる必殺技には相応しい言葉であった。

 ウェアラブレスのグリップを一度押す事で発動する第四の解放はカタルシスの速度を上昇させ、先程とは比較にならない速さでウインドへ連撃を放つ。その一撃一撃が彼に重くのしかかり、巨体を揺らす。

 

「霧島…どこからこれ程の力を……」

「アンタと同じさ…アンタみたいな下らない快楽殺人者には絶対負けないって言う……」

 

《Catharsis・Sigma》

 

「信念だッ!!」

 

 カタルシス・シグマ。数学における数列の総和を表す記号、複雑な数字の羅列を一つの解に変えるその一言もまた、インテグラの力を示す意味を持っていた。

 度重なる攻撃を受け体の体勢を崩されていたウインドは第五の解放による超強力なアッパーカットを真っ向から食らい、再び体を上空へと浮かす。

 

 完全に無防備になったウインドを前に、カタルシスは今までの怒りや悲しみを詰め込んだ鉄拳を撃ち込む。

 驚異の俊敏さで体の至る所を殴打し、ウインドを地面へと叩き付ける。

 全身に走る痺れ、痛み、苦しみでウインドの体から大量の粒子が霧散し、以前の怪人態へと戻る。

 

(クソ…力が入らねぇ、図体すら維持出来なくなって来た…いよいよ終わりか)

「いや―――まだだッ!」

 

 よろけながらもウインドは立ち上がり、震える手を前へ突き出しカタルシスへと暴風を浴びせる。しかし当のカタルシスはいとも容易く彼の風をかき消し、マフラーを揺らしながら歩き出す。

 自分の渾身の攻撃も全く通用しない。ウインドの中に灯る炎が吹き消された様だった。

 目の前に迫る自分の終焉が絶望と共に押し寄せる。

 

「や、やめろ…俺を殺してお前の家族は喜ぶのかよ!?」

「なに、殺しはしないよ絶対に。だけど、アンタには僕の家族が、殺された人々が受けた痛みを味わって貰う必要がある、と思うんだ」

 

 ウインドは後退りしようと足を動かすが、かかとで踏んだ葉のせいで滑って転び、尻餅をついた。

 

「何をする気だ…? 一体、俺をどうするつもりだ…!?」

「うーん、実際のとこ僕もどうするかは詳しく決めてない。でも、裁くのは僕じゃなくて法律だ」

「法律? 法でラフムである俺をどう処罰するつもりだ! どんな手錠も牢も俺にかかれば意味の無い事だ!!」

 

「…思い上がるなよ犯罪者。アンタはラフムでは無く、人間として裁かれ、償いながら生きていってもらうんだ」

 

 ”人間”として? ラフムとしての生を享受して来たウインドにはその言葉の意味は全く理解出来なかった。人間の力を凌駕した存在であるラフムをどうやって人間と同等に扱えるのだろう。

 

「俺はラフムだ、人間として扱われる事は無い…いや、出来ないんだよ!」

「だからアンタには、人間に戻って貰う!」

 

 更に意味不明な言葉を返すカタルシスにウインドは開いた口が塞がらない。彼の発言の意図は全く読めない。故の胸騒ぎ、これからカタルシスがラフムの概念を覆してしまう様な妙な不安感。

 ヤツは一体何をするつもりだ…ウインドは心の中でそう呟いて脈動を早める。

 

「何を…何をするんだ、霧島!?」

「言ったでしょ、アンタを人間に戻すんだ」

 

 そう言い放つと、カタルシスはウェアラブレスのグリップを三回押す。

 最後に残されていたカタルシスの能力最大開放、それこそが彼の言葉の意味を裏付けるものだった。

 

《Catharsis……》

 

 力を解放すると、ネオウインドイートリッジから奏でられる待機音声共に辺りに強力な上昇気流が生まれ、カタルシスとウインドが空中へと持ち上げられ、二人だけの戦場と化す。

 

「ウインド、最後に聞きたい。”against(アゲインスト) wind(ウインド)”って知ってるか?」

「……ゴルフとかで言う、向かい風の事か、それがどうしたって言うんだよ!?」

 

 謎の質問を出して来るカタルシスにウインドは完全に萎縮していた。彼の得体の知れなさに、ウインドの中では既に怒りよりも恐怖が勝っていた。

 

「僕にとってあなたがそうだった、僕の幸せを吹き飛ばし歩みを阻む向かい風」

 

 そう言うとカタルシスはネオウインドをそっと撫でる。

 

「でも、そんな僕を助けてくれた人達が、確かにいた。彼らが僕にとって新しい大切な存在で、守る理由になった」

 

 今度はニューウイニングイートリッジに優しく触れる。

 

「バディ―――正式名称をBraek Against DYsplasia・monster…ウインド、お前の様な異形成怪物(モンスター)に対抗し、砕く。それが僕を守ってくれた、僕が守りたい人々の、勝利の理念だ!!」

 

《Break・Against》

 

 ブートトリガーを三回引く事でカタルシスの最終必殺技が起動する。

 カタルシスの右足に風が集中し、ウインドもそれに巻き込まれて吸い寄せられる様に彼へとキックの狙いが定まる。

 

「ブレイク・アゲインスト・ウインド―――お前の様な向かい風に対抗し砕く力、そして…お前を砕く向かい風だッ!!」

 

 カタルシス・ブレイク・アゲインスト。バディの決意を一身に受けた仮面ライダーウイニングの集大成。

 

「カタルシスライダーキーーーーーーーーーック!!!!」

 

 追い風で速度を増した超強力なキックと共に風から生成された牙状の粒子の塊がウインドを嚙み砕き、彼の身に纏う粒子を喰らい、人の姿へと戻す。

 

「ウインドラフム…撃退、いや」

「消滅完了!」

 

 空中を自由落下しながらウインドはラフムへと変貌出来なくなった自分の体を見て絶望のまま落ちていく。

 そんな彼をカタルシスが抱きかかえると、地上一メートル程の所で手放す。

 

「痛ッ」

 

 鈍い打撲音と共にウインドが腰を押さえる。と、彼の目の前に変身解除した楓が立つ。

 

「ウインド…お前の罪は、多分数え切れないけど、全部数えて貰うんだね」

 

 全く消えない腰の痛みと傷、そして完全に勝利の可能性が潰えた敵を前にウインドはただ無様に泣き崩れた。

 

「う、あああ~~~~」

「あーあ、泣いちゃった」

 

「泣いて許されるとでも思ってんのかこのクズ」

 

 戦闘の終了を見て駆け寄って来た勇太郎が子供の様に涙を流して汚らしい声を上げるウインドを蔑視する。

 勇太郎と同行していた恵介が耳をつんざくウインドの泣き声に耐えかねて腹に一撃を食らわせる。

 強い衝撃と今までの疲労が混在したその非力な男は途端に静かになり、倒れ込む。

 

「石井!」

 

 勇太郎がたしなめるが、楓がウインドの生存を確認して安堵する。

 

「恵介さん、お母様共々本当にお世話になりました」

「なに、良いんだ。いつかボーッと夢に描いてた、誰かの為になる事をしてーなって願いが叶ったんだ。礼はこっちの方さ」

 

 恵介と楓が握手をすると、勇太郎も恵介と握手を交わす。

 

「まずはバディの皆と合流してウインドの回収と石井の保護…それに、亡くなっちまった部隊員も弔わねぇとな」

 

 勇太郎が肩を落とすと、楓が死亡した部隊員の胸部に手を当てた。

 

「まだ助かるよ」

 

 そう呟くと虹色の粒子が部隊員全員を包み、そのケガを治していく。

 

「今の僕ならこう言う事も出来るみたい」

「マジにチートじゃねぇか……心拍が戻ってる!!」

 

 部隊員らの蘇生に成功した所で、丁度良くボンバーらのE部隊が迎えにやって来た。

 

「Hey、NiceナTimingデ登場デース!」

「…ボンバー! 今までどうしてたんだ!?」

「ソコノWinningBoyガキット、勝ツッテ分カッテタカラネ」

 

 そう言うとボンバーは楓へとウインクする。

 以前の戦闘において楓の変身したフラストルがボンバーの力を少しだけ吸収していた事が幸いしてかボンバーは楓の状況を感じる程度ながら把握していた。そこでウインドの元へ向かった勇太郎に事を任せ、E部隊を彼らの回収要因としていたのだった。

 勇太郎が事態を大雑把に説明した後、E部隊員らが回収作業に入る。

 

「楓」

 

 戦いが終わり、ようやくと言った気持ちで親友の名前を呼ぶ。

 

「勇太郎」

 

 親友の満ち満ちた思いに応える様に、彼の名前を呼び返す。

 

「帰ろう」

 

 二人の声が重なり、同じ思いである事を確かめる。

 ウインドから解き放たれた楓は、人生最高の相棒と共に眩しい朝日の元へと駆け出した。

 

 十二月六日、午前七時四十三分。

 桜島決戦はバミューダ一人と幹部一人の捕縛、バディ長官の奪還と仮面ライダーウイニングの帰還と言う多くの功績により、人類が勝利したのだった。

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