【『』に囲まれた文字を青き真実とする】
【[]に囲まれた文字を復唱要求とする】
「じゃあ、ゲームを始めるわよ。Aが胸にナイフを刺されて死んだわ。そのナイフを刺した人物はBよ。ゲーム開始はBがAを刺す十分前、ゲーム終了時はAが死んでから十分後よ。更にゲーム開始からゲーム終了時までBは場所を移動していないわ。そして、ゲーム開始時はAから見てBはAの居る場所から千メートル以上離れていた。魔女側はBが魔法を使ってAを自分の隣までテレポートさせて、ナイフで刺したと。今回のゲームは難しくするから復唱要求はそう簡単に答える気は無いわよ?」
青山は、出した赤き真実を紙にまとめて書いて黒谷と緑川に見せつける。黒谷と緑川はその赤き真実を見て少し頭を捻らせた。
「いや、これ普通にAがゲーム中、Bの居る場所に歩いて移動したとかじゃないのか?」
「残念だけど、Aはゲーム中、自分の意思で移動していないわ」
「そりゃあ、そうだろうね。Bがナイフをラジコンにつけて、それでAを刺したとかはどうだい?」
「Bは自分の手でナイフを持ち、Aを刺したわ」
「……確かに一筋縄ではいかなさそうだね」
そう言うと、緑川はまた赤き真実が書かれた紙に集中し始めた。
「そっ、そうか‼Bが自分の手を切り落として、その手にナイフを持たせた。そのまま、手ごと、ラジコンに乗せてAを刺したなら……」
「ゲーム終了時、Bは五体満足。恐ろしい推理をしないでちょうだい……」
「ならさっきの推理にAを刺した後、Bの手とナイフを乗せたラジコンをBの所に戻す。そして、Bは自分の
緑川の回答に頭を抱える青山。確かに、現実であり得ない物を出されては困るだろう。
「なら、こっちだな。Bは腕の間接を外して腕を伸ばしてAに刺した。これでどうだ?」
「間接を外したところでAには手は届かない。千メートル離れてるのを忘れているのかしら?」
「Aはあくまで自分の意思で移動していないだけ。なら、Aは動く歩道で移動したというのはいけるのかな?」
「さっきのよりはまともな推理ね。でも、AとBの間に人を動かせる物はないわ」
「OK、間に無いだけならAはトラックに引かれたまま千メートル移動したがいけるぜ」
「このゲームにトラックは存在しない。千メートルもひずられるってヤバすぎないかしら」
普通ならあり得ないような推理。しかし、理論さえおかしくなければあり得てしまうのがこの屁理屈推理合戦なのだ。
「風でAがBの場所まで飛ばされたとかは?まあ、どんだけ強い風だってなるけど」
「ゲーム中、風は起こっていない。台風ならまだあり得るかもしれないわね。まあ、このゲームでは違うけど」
「ハッ‼千メートル以上離れている何て言ってるけど、誰も横に離れているなんて言っていない‼つまり、Aは千メートル以上の高さからBの居る場所に落ちた。それをBがナイフで刺したんだ‼」
「……ゲーム開始時にAは床に足をつけていたわ。」
「床ね……なら、飛行機に乗っていたってこともあり得る訳だ。つまり、Aはゲーム開始時飛行機の中にいた。事故か何かで飛行機が落ち、AはBの元へ。それからBはAを刺した。」
「このゲームに飛行機は存在しない‼」
青山に少しずつ焦りが見えてくる。
「少しずつ焦って来てるな?なら、これで決めてやる。Aはゲーム開始時、ヘリコプターの中にいた。そこで何かか起き、AはBの元へと落ちる。それをBは刺したんだ‼」
「……」
「これは決まったのかな?」
「……このゲームに乗り物は存在しない、Aはゲーム開始時、標高零メートルに居る、ゲーム開始時BはAと同じ高さにいる。これで満足かしら?」
「なっ⁉」
「全て演技だったって訳か……」
青山から明かされる新しい赤き真実に頭を悩ませる黒谷と緑川。
「さて、いつこの謎を解いてくれるのかしら?」
そんな二人の姿を見て青山は笑っていた。