五月下旬の早朝。人もまばらな住宅街に、気分良さげな鼻歌が響いていた。
ふんふんとスキップと呼んでも問題ない足取りで歩みを進めるのは、花咲川女子学園高等部の生徒五人で結成されたガールズバンド、『Poppin'Party』のボーカル担当——
——早くみんなに会いたいなぁ。
そんな気持ちが香澄の歩速を早める。香澄にとってPoppin'Partyは友達という単語だけでは表せないもので、それは——香澄にそういう物差しがあるかどうかはともかくとして——家族と同列に扱っても問題ないくらいの存在だった。
たった二年の付き合いだとかそんなことは関係なくて、誰かを大切に想うのに時間の長さはさして重要ではないのだと見ている側まで思わされるような、確かな繋がりを香澄はあの四人に感じている。
離れるなんて考えられない——否、離れるなんて考えもしない。
なんの根拠があるわけでもないけれど、ずっとこのまま一緒にいるという確信があって。ずっとこのまま一緒にいたいという想いがあって。その通りになることを疑うこともせず、今をこれ以上ないくらいに楽しむ。
戸山香澄はそういう少女だった。
ただただ純粋で、無垢で、精白で。真っ直ぐに伸びる一本の棒のような少女。きっと、だからこそ、あの四人を呼び、今がある。
しかし、それだからこそ曲がれず。
そして——折れやすかった。
堪えきれず走り出した先で待つものを、戸山香澄はまだ知らない。
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