インフィニット・ストラトス ~七つの大罪をその身に宿した者~ 作:ぬっく~
IS学園―――第二アリーナ
クラス対抗戦の最中だった。
一組代表のセシリア・オルコットと、二組の転入生・鳳鈴音が激突し、試合は白熱していた―――その時だった。
突如、映像が乱れる。
直後、耳をつんざくような爆音がアリーナ全体に響き渡った。
「きゃああああっ!?」
「な、何が起きているの!?」
観客席は一瞬で混乱に包まれる。
『会場内に所属不明のISが出現!!』
アナウンスが緊急事態を告げた。
アリーナ中央に降り立ったのは、黒い装甲に包まれた一機のIS。無機質で、ただそこに“存在している”だけの異様な気配を放っている。
「敵襲……!」
セシリアが距離を取り、鈴音も警戒態勢に入る。
だが―――
ガンッ!!
突如、全てのゲートが閉鎖された。
「なっ……閉じ込められた!?」
逃げ場を失い、観客たちはさらなる混乱に陥る。
その中心で―――黒いISが、ゆっくりと腕を持ち上げた。
次の瞬間。
ビームが、無差別に放たれる。
「くっ!!」
セシリアが即座に防御へ移る。鈴音も回避行動を取るが、その攻撃はあまりにも単純―――だが、だからこそ読みにくい。
黒いISは一切喋らない。
ただ、撃つ。
そして―――
距離を詰める。
「速っ……!?」
鈴音の懐に一瞬で潜り込み、そのまま拳を叩き込む。
ガギィィンッ!!
直撃。
鈴音の機体が大きく弾き飛ばされた。
「ぐっ……!」
一切の無駄がない。
ただ殴る、撃つ、それだけ。
だが、その単純さが逆に異様だった。
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### IS学園―――屋上
一夏は、その光景をライブ中継で眺めていた。
「……始まったか」
感情のない声。
(殴打と射撃だけ……制御されてるタイプか、それとも―――)
思考するが、すぐに興味を失う。
「どうせ、あっちには十秋がいる……俺が出る必要はない」
踵を返そうとした、その時だった。
『あら、行かないの?』
プライベート・チャンネルに通信が入る。
「……何の用だ。お嬢」
『私の為よ。一夏』
ジャンヌの声。
『その襲撃も含めて、全部“流れ”なの』
「……チッ」
一夏は舌打ちしながらも、柵に足をかける。
「来い―――白式」
白光が弾ける。
次の瞬間、一夏は空へ飛び出した。
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### 第二アリーナ上空
轟音と共に、白き機体が降下する。
「……状況は最悪ってとこか」
黒いISは振り向く。
言葉はない。
ただ―――
ビームを放つ。
「いきなりかよ」
一夏は身体を傾けて回避。
続けざまに、距離を詰めてくる黒いIS。
拳が振り下ろされる。
「……なるほどな」
一夏はそれを片手で受け止めた。
「単純だが……悪くねぇ」
そのまま捻り、弾き飛ばす。
黒いISは空中で体勢を立て直し、再びビームを連射する。
「だが―――」
一夏は剣を構える。
「それだけじゃ、俺には届かねぇ」
ビームが直撃―――
したかに見えた瞬間。
「《全反撃》」
軌道が反転する。
放たれたビームが、そのまま黒いISへと返る。
直撃。
爆炎。
だが―――黒いISは沈まない。
煙の中から再び飛び出し、今度は真正面から殴りかかる。
「しつこいな」
一夏はその拳を避けず―――
逆に踏み込む。
「《強奪》」
接触の瞬間。
黒いISの腕の“制御権”が奪われる。
「……っ!?」
動きが一瞬止まる。
「もらった」
その隙を逃さず、雪片弐型を叩き込む。
衝撃が走り、黒いISは地面へと叩き落とされる。
ドォンッ!!
アリーナに激突。
クレーターが生まれる。
「……終わりか?」
一夏はゆっくりと降下する。
しかし―――
瓦礫の中、黒いISは再び立ち上がる。
「はっ……」
一夏は笑う。
「いいねぇ……壊れねぇ玩具か」
剣を構え直す。
「だったら、もう少し遊べるな」
無言の侵入者と、笑う化け物。
その戦いは―――まだ終わらない。