インフィニット・ストラトス ~七つの大罪をその身に宿した者~   作:ぬっく~

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十三話

IS学園―――第二アリーナ

 

第二アリーナは―――唖然としていた。

 

つい先程まで騒然としていた場が、たった一人の登場によって完全に静まり返ったのだ。

 

「……こいつがそうか」

 

白き機体―――《白式》。

 

リオネス家の最大戦力、イチカ・リオネスが遮断シールドを**強引に突き破って**現れた。

 

そのまま、何事もなかったかのように歩みを進める。

 

目の前には、所属不明のIS。

 

だが一夏は、そちらではなく―――

 

「オルコット」

 

「ひっ……!」

 

セシリアは思わず身を震わせる。

 

「な、なんでしょうか……」

 

「邪魔だ」

 

ただ一言。

 

だが、その意味を理解するには十分だった。

 

「鈴さん、下がりますわよ」

 

「は!? 何言ってんのよ! あんなの―――」

 

その瞬間だった。

 

所属不明のISが腕を上げ、高密度エネルギーを放とうとする。

 

「―――っ!?」

 

「邪魔だ」

 

一夏の声と同時に、鈴音の視界がぶれる。

 

次の瞬間―――

 

ドンッ!!

 

鈴音の身体が横に吹き飛ばされた。

 

「がっ!? あんた何すんのよ!!」

 

腹を押さえる鈴音。

 

その直後、放たれた高密度エネルギーは―――

 

一夏に直撃した。

 

爆煙。

 

だが。

 

「……その程度か」

 

煙の中から現れた一夏は、**無傷**だった。

 

「な……!?」

 

セシリアと鈴音は言葉を失う。

 

所属不明のISは無言のまま、再びビームを構える。

 

だが―――

 

「それはもう見飽きた」

 

一瞬で距離が消えた。

 

次の瞬間、一夏は敵機の懐に入り込んでいた。

 

「―――《強奪》」

 

ガキィンッ!!

 

振り下ろされた拳を受け止め、そのままねじ伏せる。

 

動きが止まる。

 

「……やっぱりな」

 

一夏は確信する。

 

(単純行動。思考パターン固定……完全に“操り人形”だな)

 

次の瞬間。

 

ドォンッ!!

 

蹴り飛ばし、敵機を地面へ叩き落とす。

 

巨大なクレーターが生まれる。

 

「な、何なのよ……あいつ……」

 

鈴音はただ呆然と呟く。

 

今まで誰も捉えられなかった相手に―――一撃を入れたのだ。

 

---

 

### ピット

 

「な!? なんでアイツがいるんだよ!!」

 

十秋が叫ぶ。

 

想定外。

 

完全な想定外だった。

 

(シナリオと違う……こんな展開、原作にねぇぞ!!)

 

本来なら、自分が動くはずだった。

 

だが、出入口は開かない。

 

完全に閉じ込められていた。

 

(誰だ……これ仕組んだのは……!)

 

そして―――

 

十秋は一夏を見る。

 

(なんだよ……あの化け物は……)

 

自分が“最強”だと思っていた前提が、音を立てて崩れていく。

 

---

 

### 第二アリーナ上空

 

所属不明のISは立ち上がる。

 

だが―――

 

動きが変わらない。

 

殴る。

 

撃つ。

 

それだけ。

 

「……単調すぎるな」

 

一夏はため息をつく。

 

再び放たれるビーム。

 

「《全反撃》」

 

軌道が反転する。

 

そのまま敵機へ直撃。

 

だが、それでも動く。

 

「へぇ……しぶといな」

 

だが、その時だった。

 

太陽が、頂点に差し掛かる。

 

一夏の影が、最も短くなる。

 

「……ちょうどいい」

 

空気が変わる。

 

「終わりだ」

 

一夏の指先に、小さな光が生まれる。

 

それは次第に膨れ上がり―――

 

“太陽”へと変わる。

 

「―――潰れろ」

 

投げられる。

 

逃げ場はない。

 

直撃。

 

次の瞬間―――

 

轟音。

 

爆炎。

 

衝撃波。

 

第二アリーナの外、海面に巨大な爆発が広がる。

 

水が蒸発し、空気が震える。

 

---

 

### その後

 

「……やりすぎたか」

 

一夏は呟く。

 

だがすぐに興味を失う。

 

「まぁいい」

 

そのまま踵を返し、何事もなかったかのように去っていく。

 

クラス対抗戦は中止。

 

日常は、強制的に“終わらされた”。

 

---

 

### リオネス家

 

「イチカ様が勝利したようです」

 

「当然ね」

 

ジャンヌは紅茶を口にする。

 

「舞台装置としては十分よ」

 

十秋たちが動けなかった理由。

 

それは―――彼女だった。

 

「さて……次ね」

 

二つの資料。

 

新たな駒。

 

「運命は進むわよ―――転生者さん」

 

その笑みは、美しく―――冷たかった。

 

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