インフィニット・ストラトス ~七つの大罪をその身に宿した者~   作:ぬっく~

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二話

時刻――23:58。

 

「残り二分で突入よ」

 

研究所正面。

闇に紛れた楯無と数十名の部下。

 

だが――そこに、一夏の姿はない。

 

(どういうつもり……?)

 

作戦直前になっても現れない。

それにもかかわらず、オペレーターからは「決行」の指示。

 

そして――

 

00:00。

 

「……仕方ない、突――」

 

その瞬間。

 

轟音。

 

研究所正面が、内側から吹き飛んだ。

 

「なっ――!?」

 

爆炎の向こう。

“それ”は立っていた。

 

黒衣の少年。

 

その背後には――巨大な花のような植物が、異様に咲き誇っている。

 

(あれが……)

 

楯無は確信する。

 

(全部、あいつがやったのね)

 

『敵は俺が引きつける。そっちは突入しろ』

 

短い通信。

 

「……行くわよ!」

 

楯無は迷いを捨て、突入を命じた。

 

---

 

### ◇ 外部戦闘

 

「ぞろぞろ出てきたな」

 

警備兵が雪崩のように現れる。

 

「撃てぇ!!」

 

銃火が夜を裂く。

 

だが。

 

「――〈霊槍シャスティフォル〉第二形態《守護者》」

 

槍が変形する。

 

出現したのは――巨大な熊。

 

弾丸はすべて、その巨体に吸い込まれた。

 

「何だ……あれは……!」

 

「――第五形態《増殖》」

 

指を鳴らす。

 

次の瞬間、熊は崩壊し――無数の刃へと分裂した。

 

クナイの嵐。

 

逃げ場はない。

 

壁も、盾も、肉体も――すべて貫く。

 

「ば、化け物……」

 

声は途中で途切れた。

 

---

 

### ◇ 内部

 

「……何なのよ、あれ」

 

楯無は走りながら呟く。

 

外の戦闘は、もはや戦闘ではない。

一方的な“処理”だった。

 

(ISじゃない……)

 

男はISを使えない。

それは絶対の常識。

 

だが――

 

(じゃあ、あの力は何……?)

 

脳裏に浮かぶ一つの答え。

 

(ジャンヌ・リオネス……)

 

“祝福”。

 

それしかあり得ない。

 

だが、その異常性は――想定を遥かに超えていた。

 

「ロック解除完了!」

 

「三秒後、突入!」

 

カウントダウン。

 

ゼロ。

 

扉が開く。

 

「……クリア」

 

内部は静まり返っていた。

 

「急ぐわよ」

 

楯無はコンソールへ向かい、データ転送を開始する。

 

---

 

### ◇ 外部戦闘・第二局面

 

死屍累々。

 

正面は、すでに地獄と化していた。

 

「……チッ、とんでもねぇな」

 

屋上から見下ろす影。

 

女。

 

「生き残り、ゼロかよ」

 

一夏は視線だけで察する。

 

(IS持ち)

 

「だがなぁ――」

 

女は笑う。

 

「こいつには勝てねぇよなぁ!!」

 

光。

 

IS展開。

 

蜘蛛のような異形の装甲。

 

「オータム様が直々に相手してやるよ!!」

 

機銃、ミサイル、ワイヤー。

 

常識外れの弾幕。

 

「……チッ」

 

一夏はわずかに動きを鈍らせる。

 

(面倒だな)

 

「……戦鎚ギデオン」

 

武装変更。

 

巨大な戦鎚。

 

「――双拳」

 

地面が隆起し、岩の拳が生まれる。

 

轟音。

 

衝突。

 

「ぐっ……! いいねぇ!!」

 

オータムは笑う。

 

狂気の笑み。

 

「最高だよ!!」

 

ミサイルが至近距離で炸裂。

 

爆炎。

 

だが――

 

「……効かねぇか」

 

煙の中から現れたのは、無傷の一夏。

 

いや――

 

“再生している”。

 

肉が、瞬時に戻る。

 

「はぁ!? 何だそれ……!」

 

「……時間稼ぎは終わりだ」

 

通信が入る。

 

『転送完了』

 

「了解」

 

その一言で、空気が変わる。

 

「加勢するわ」

 

楯無が到着する。

 

「必要ない」

 

即答。

 

「はぁ?」

 

「逃げろ」

 

低い声。

 

「……え?」

 

「死にたくなければな」

 

楯無は理解した。

 

(本気だ)

 

即座に撤退。

 

「逃がすかよ!!」

 

オータムが追撃。

 

だが。

 

「――終わりだ」

 

戦鎚が振り下ろされる。

 

「大地の怒号(マザー・カタストロフィ)」

 

地面が裂ける。

 

十字に。

 

大地が咆哮する。

 

巨大な岩塊が空へと持ち上がる。

 

「は……?」

 

次の瞬間。

 

落下。

 

衝突。

 

世界が、揺れた。

 

---

 

### ◇ その後

 

吹き飛ばされる楯無たち。

 

瓦礫の中で、彼女は空を見上げた。

 

「……はは」

 

乾いた笑い。

 

視界に広がるのは――

 

壊滅した街。

 

(あれが……人間?)

 

答えは出ている。

 

あれは違う。

 

「……化け物」

 

作戦は成功。

 

だが。

 

“何か”を決定的に見誤った気がした。

 

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