インフィニット・ストラトス ~七つの大罪をその身に宿した者~   作:ぬっく~

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EX-3

フランス―――夜。

 

破壊された街区の中心で、戦いは既に“均衡”を越えていた。

 

「はぁ……っ、はぁ……っ……」

 

ジャンヌ・リオネスは膝をつきかけながらも、無理やり身体を起こす。

 

視界は滲み、呼吸は乱れ、骨の軋む音が内側から響いていた。

 

対するは―――

 

紅蓮の龍、アル。

白銀の龍、エド。

 

二天龍。

 

「もう終わりやろ、姉ちゃん」

 

アルが拳を鳴らす。

 

『Boost!! Boost!!』

 

倍化は既に限界域。

 

「……いや、まだだ」

 

エドは冷静に告げる。

 

「こいつは“まだ切ってない”」

 

その視線の先。

 

ジャンヌは、確かに“何か”を隠している。

 

だが―――

 

「それでも、ここまでだ」

 

---

 

### ■ 完全崩壊

 

ジャンヌが踏み込む。

 

最後の力を振り絞った突撃。

 

だが。

 

『Divide!!』

 

「っ―――!」

 

全てが半減される。

 

威力、速度、圧。

 

その一瞬の遅れを―――

 

アルが見逃すはずもない。

 

「終わりやぁあああ!!」

 

拳が直撃する。

 

腹部。

 

衝撃が貫通し、背後の建物ごと吹き飛ぶ。

 

「がっ……!!」

 

血が噴き出す。

 

意識が飛びかける。

 

だが終わらない。

 

「まだだ」

 

エドが追撃。

 

一瞬で距離を詰め―――

 

首を掴む。

 

「ぐっ……!」

 

そのまま地面へ叩きつける。

 

アスファルトが砕ける。

 

「これで終わりだ」

 

躊躇はない。

 

木材を拾い、振り上げる。

 

心臓を―――穿つために。

 

---

 

### ■ 崩れない意志

 

(ここまで……?)

 

ジャンヌの視界が白く染まる。

 

身体は動かない。

 

痛みすら遠い。

 

だが―――

 

脳裏に浮かぶ。

 

弟妹たちの顔。

 

笑っていた日々。

 

「……ふざけないで」

 

声にならない声。

 

「こんな所で……終われるわけ、ないでしょうが……!!」

 

残った力を振り絞る。

 

腕を上げる。

 

木材が手を貫く。

 

だが軌道は逸れる。

 

「ちっ……!」

 

エドが舌打ちする。

 

「往生際が悪いな」

 

「えぇ……悪いわよ……」

 

ジャンヌは笑う。

 

血に濡れながら。

 

「私は―――“家長”だからね」

 

---

 

### ■ 全令呪

 

背後に浮かび上がる―――令呪。

 

それは通常の三画ではない。

 

幾重にも重なる“契約の証”。

 

「なっ……!?」

 

エドの表情が変わる。

 

「まさか―――!」

 

「ルーラー、ジャンヌ・リオネスが全令呪をもって命じる」

 

空気が震える。

 

魔力が暴走する。

 

「やめろ!!」

 

エドが踏み込む。

 

だが―――間に合わない。

 

「今ここに姿を現しなさい―――」

 

ジャンヌの瞳が輝く。

 

「イチカ!!」

 

―――全消費。

 

二十八画。

 

すべて。

 

---

 

### ■ 召喚

 

空間が歪む。

 

次の瞬間。

 

エドの視界が揺れる。

 

「―――っ!?」

 

腹部に衝撃。

 

見えなかった。

 

何も。

 

ただ、“殴られた”という結果だけが残る。

 

身体が吹き飛ぶ。

 

建物を何棟も貫通する。

 

「兄貴!!」

 

アルが叫ぶ。

 

その前に―――

 

一人の男が立っていた。

 

「派手にやったな……」

 

低い声。

 

静かな怒気。

 

ジャンヌの前に立つ背中。

 

「へへ……来てくれた」

 

「馬鹿が……」

 

振り返らずに吐き捨てる。

 

「死ぬ一歩手前じゃねぇか」

 

---

 

### ■ 継戦開始

 

アルが構える。

 

「てめぇ……何者だ」

 

男はゆっくりと顔を上げる。

 

「〈七つの大罪〉―――イチカ・リオネスだ」

 

空気が変わる。

 

明確な“格”の差。

 

だが。

 

エドが瓦礫の中から立ち上がる。

 

「……なるほどな」

 

血を拭いながら笑う。

 

「こいつが“本命”か」

 

『Divide!!』

 

即座に能力発動。

 

だが―――

 

「遅ぇ」

 

イチカは消える。

 

次の瞬間、エドの背後。

 

「なっ―――!?」

 

蹴り。

 

今度はガードが間に合う。

 

だが―――

 

「軽いな」

 

「……!」

 

半減してもなお、重い。

 

“基礎値”が違いすぎる。

 

---

 

### ■ 四者戦

 

「おもしれぇ……!」

 

アルが笑う。

 

『Boost!!』

 

倍化、倍化、倍化。

 

最大出力。

 

「まとめて相手したるわぁあああ!!」

 

突撃。

 

イチカは正面から受ける。

 

拳と拳がぶつかる。

 

衝撃波。

 

地面が裂ける。

 

「悪くねぇな」

 

押し負けない。

 

むしろ―――押している。

 

「なっ……!?」

 

アルが驚愕する。

 

その背後から―――

 

『Divide!!』

 

エドの援護。

 

イチカの力が半減。

 

だが。

 

「それで?」

 

止まらない。

 

そのまま踏み込み―――

 

肘打ち。

 

アルが吹き飛ぶ。

 

---

 

### ■ 圧倒と戦術

 

「兄弟で連携か」

 

イチカが呟く。

 

「いいコンビだ」

 

「余裕だな……!」

 

エドが構える。

 

「だが、削れる」

 

半減と倍化。

 

長期戦なら勝機はある。

 

「そうかもな」

 

イチカは肩を鳴らす。

 

「なら―――試してみるか」

 

その瞬間。

 

空気が変わる。

 

圧が跳ね上がる。

 

「……おい」

 

エドの顔が歪む。

 

「まだ上があんのかよ」

 

イチカの瞳が細まる。

 

「遊びはここまでだ」

 

背後で、ジャンヌがかすかに笑った。

 

(来た……本気)

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