インフィニット・ストラトス ~七つの大罪をその身に宿した者~   作:ぬっく~

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EX-4

「っち! 新手か……」

 

エドは舌打ちする。

 

(あの女……やはり令呪持ちか)

 

通常のサーヴァントとは異なる、異常な仕様。

二十八画という規格外のストック。

時間停止を伴う強制転移。

 

(厄介どころじゃねぇな)

 

だが―――

 

「別にカスが一人増えた所で―――」

 

言い終わる前に。

 

世界が“ズレた”。

 

「―――は?」

 

次の瞬間、エドの顔面が鷲掴みにされる。

 

「遅ぇ」

 

地面へ叩きつけられる。

 

衝撃でクレーターが生まれる。

 

(がっ!? 見えなかった!?)

 

初動が存在しなかった。

 

認識の外から叩き込まれた一撃。

 

「兄貴!!」

 

アルが飛び出す。

 

紅蓮の鎧が唸る。

 

『Boost!!』

 

だが―――

 

「…………」

 

イチカは何も言わず、ただ距離を取る。

 

攻めない。

 

逃げる。

 

「ちょこまかっと!!」

 

アルは苛立つ。

 

だが、それは違和感だった。

 

---

 

### ■ ジャンヌ視点

 

(……おかしい)

 

回復を終えつつあるジャンヌは、戦況を見て眉をひそめる。

 

(イチカが“押されている”?)

 

あり得ない。

 

「セバス、〈バロールの魔眼〉は?」

 

「こちらに」

 

耳飾りを装着。

 

視界が数値へと変換される。

 

(白龍皇……闘級6万。赤龍帝……5万)

 

予想通りの怪物。

 

だが―――

 

(イチカ……6万?)

 

一瞬、思考が止まる。

 

(そんなはずがない)

 

そして、理解する。

 

(分身……!)

 

---

 

### ■ 正体

 

「俺たち二人を相手して互角か。底が知れるな」

 

エドが言う。

 

その瞬間。

 

「それ、俺じゃねぇよ」

 

声が“背後”からした。

 

「!?」

 

振り返る。

 

そこにいたのは―――

 

“もう一人のイチカ”。

 

そして、前にいる個体が霧散する。

 

(実像分身……!)

 

ジャンヌは確信する。

 

〈魔剣ロストヴェイン〉。

 

闘級を分割し、実体として分身を生成する反則能力。

 

つまり―――

 

「今までのは“半分”だ」

 

本体が前に出る。

 

「ここからが本番だ」

 

闘級、完全解放。

 

―――12万。

 

空気が軋む。

 

重力すら歪む圧。

 

---

 

### ■ 第二ラウンド

 

「さあ、第二ラウンドだ」

 

イチカが構える。

 

アルが笑う。

 

「上等やぁ!!」

 

『Boost!! Boost!! Boost!!』

 

限界倍化。

 

それに応じるように―――

 

エドの翼が輝く。

 

『Divide!! Divide!!』

 

だが今回は違う。

 

二人の魔力が“同期”する。

 

「行くぞ、アル」

 

「ああ、兄貴」

 

---

 

### ■ 共鳴強化

 

紅と白が重なる。

 

龍の咆哮が重なる。

 

『Boost!!』『Divide!!』

 

倍化と半減が“同時循環”する。

 

「これが……俺たちの切り札だ」

 

エドが低く言う。

 

「共鳴強化―――」

 

アルが拳を握る。

 

「“ニ天龍同調(ツイン・ドラグ・レゾナンス)”や!!」

 

闘級が跳ね上がる。

 

赤龍帝―――単体火力の極致。

白龍皇―――干渉と削減の極致。

 

それが融合する。

 

(闘級……8万、いや9万超え!?)

 

ジャンヌが息を呑む。

 

---

 

### ■ 激突

 

アルが消える。

 

次の瞬間、イチカの目前。

 

拳。

 

だが―――

 

イチカは動かない。

 

受ける。

 

衝撃。

 

地面が割れる。

 

「ほう……」

 

耐える。

 

だが―――

 

『Divide!!』

 

同時にエドの半減が叩き込まれる。

 

防御ごと削る。

 

「効いてるやろ!!」

 

アルが追撃。

 

だが。

 

「いいや」

 

イチカが笑う。

 

「“軽い”な」

 

次の瞬間。

 

拳が返る。

 

アルの腹に直撃。

 

吹き飛ぶ。

 

---

 

### ■ 七つの大罪

 

「面白ぇ……本当に面白ぇよ、お前ら」

 

イチカの周囲に“気配”が浮かぶ。

 

重く、濃く、歪んだ力。

 

「見せてやる」

 

一歩踏み出す。

 

「これが―――俺の“全部”だ」

 

七つの気配が渦巻く。

 

傲慢。

憤怒。

強欲。

怠惰。

嫉妬。

暴食。

色欲。

 

それぞれが独立し、同時に存在する。

 

「同時展開……だと……!?」

 

エドが目を見開く。

 

通常は一つ。

 

それが常識。

 

だが、イチカは違う。

 

「制限なんて、最初からねぇんだよ」

 

圧が爆発する。

 

闘級が“跳ねる”。

 

---

 

### ■ 圧倒

 

アルが再突撃。

 

だが―――

 

動きが“見える”。

 

「遅ぇ」

 

片手で止める。

 

「なっ……!?」

 

倍化された拳が止まる。

 

そのまま―――

 

握り潰す勢いで締め上げる。

 

「ぐあっ!!」

 

そこへ。

 

『Divide!!』

 

エドの干渉。

 

だが。

 

「無駄だ」

 

逆に“奪う”。

 

強欲。

 

エドの魔力が削がれる。

 

「なに……!?」

 

---

 

### ■ 三極戦

 

三人がぶつかる。

 

純粋な殴り合いではない。

 

能力の奪い合い。

 

干渉の上書き。

 

倍化、半減、強奪、増幅。

 

空間そのものが耐えきれず崩壊していく。

 

ジャンヌはただ見ていた。

 

(これが……イチカの本気……)

 

理解する。

 

自分が呼んだのは―――

 

“災害”だと。

 

---

 

### ■ 続戦へ

 

「はは……最高や……!」

 

アルが血を吐きながら笑う。

 

「まだ行けるで、兄貴!!」

 

「当然だ」

 

エドも構える。

 

イチカは―――

 

ただ静かに立つ。

 

「来いよ」

 

その一言。

 

夜が震えた。

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