インフィニット・ストラトス ~七つの大罪をその身に宿した者~   作:ぬっく~

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EX-5

フランスの夜空は、もはや静寂を保ってはいなかった。

紅蓮と蒼白、そして黒が交錯し、都市そのものが戦場へと変貌している。

 

エドは砕けた腕を無理やり再生させながら、一歩後退した。

 

(なんだ……今のは)

 

目の前に立つ一夏。

だが先ほどまでとは“質”が違う。

 

空気が重い。

存在そのものが圧力となり、空間を軋ませている。

 

「……てめぇ、本気ってやつか」

 

一夏は答えない。

ただ、静かに一歩踏み出した。

 

その瞬間――地面が沈んだ。

 

「っ!!」

 

衝撃ではない。

“存在”に押し潰される感覚。

 

「兄貴……これ、やべぇぞ……」

 

アルですら、本能で理解していた。

今まで戦っていた相手とは、まるで別物だと。

 

---

 

### 七つの大罪 ―― 本格解放

 

一夏の体から、黒と金の魔力が溢れ出す。

 

額に浮かぶ紋章が、より濃く、禍々しく脈動する。

 

「制限は外した。ここから先は――加減なしだ」

 

空気が裂ける。

 

瞬間、一夏の姿が消える。

 

「どこだ――ッ!?」

 

エドが叫んだ刹那、背後。

 

「遅い」

 

「がっ――!!」

 

見えない一撃。

白龍皇の鎧ごと、エドは地面に叩き込まれる。

 

衝撃が波紋のように広がり、周囲の建物がまとめて崩壊した。

 

「兄貴ぃぃ!!」

 

アルが飛び込む。

 

『Boost!!』

 

紅蓮の拳が振り抜かれる――が。

 

「軽いな」

 

片手で止められた。

 

「な……っ!?」

 

倍化されたはずの力。

それを、真正面から受け止められるという異常。

 

そのまま一夏は、アルの腹部に拳を叩き込む。

 

「――ッッ!!!」

 

空気が消し飛び、アルの体が一直線に吹き飛ぶ。

 

---

 

### 均衡の始まり

 

圧倒的優勢。

 

だが――

 

エドは、ゆっくりと立ち上がった。

 

「……調子に乗るなよ」

 

『Divide』

 

一夏の身体を覆っていた魔力が――削がれる。

 

「……ほう」

 

一夏が僅かに目を細める。

 

「まだやれるか」

 

「やるしかねぇだろ」

 

さらに。

 

『Divide Divide』

 

連続発動。

 

一夏の“闘級”が、段階的に削り取られていく。

 

アルも立ち上がる。

 

「さっきの一撃……効いたわ……でもな」

 

『Boost』

 

『Boost』

 

『Boost』

 

力が膨れ上がる。

 

削られる力と、増幅される力。

 

場は再び――拮抗へと傾く。

 

---

 

### 二天龍、限界突破 ―― 共鳴

 

エドとアルの視線が交差する。

 

言葉はない。

 

だが、同時に理解していた。

 

「やるぞ」

 

「おうよ」

 

二人の龍の力が――“共鳴”する。

 

白と赤が混ざり合い、異質な光となる。

 

『Divide Boost』

 

『Boost Divide』

 

相反する力が、融合する。

 

「「――共鳴強化」」

 

次の瞬間。

 

二人の姿が変わる。

 

白龍と赤龍の特徴を併せ持つ、異形の龍鎧。

 

力は単純な足し算ではない。

 

“掛け算”で増幅されていた。

 

「……面白い」

 

一夏の口元が、わずかに吊り上がる。

 

---

 

### 三つ巴の再燃

 

「行くぞォ!!」

 

アルが突撃。

 

今度は、一夏も反応が遅れる。

 

「っ!」

 

拳が直撃。

だが同時に――

 

「遅い」

 

カウンター。

 

しかしエドが割り込む。

 

『Divide』

 

一夏の反撃が“半減”される。

 

「チッ……」

 

完全に読み合いになっていた。

 

アルが前衛で圧をかけ、エドが削る。

 

一夏は圧倒的だが、削られ続ければいずれ崩れる。

 

完全な――戦術戦。

 

---

 

### ジャンヌ、再介入

 

「――やっぱり、そうなるわよね」

 

その声が割り込む。

 

三者が一瞬、動きを止めた。

 

瓦礫の上。

旗を杖に、ジャンヌが立っていた。

 

傷は癒えきっていない。

だが、その瞳は死んでいなかった。

 

「まだ立つのかよ……」

 

アルが呆れる。

 

「当然よ。これは――私が始めた戦いなんだから」

 

ジャンヌは静かに旗を構える。

 

その背後に、光が集まる。

 

「イチカ。一人で背負わせるつもりはないわ」

 

「……無茶するな」

 

「無茶じゃないわよ」

 

微笑む。

 

「これは、“選択”よ」

 

魔力が爆発する。

 

ジャンヌの霊装が、さらに変質する。

 

より神聖に、より重く。

 

「さあ――もう一度」

 

---

 

### 臨界点

 

一夏。

ジャンヌ。

エドとアル。

 

三方向からの圧。

 

空間が耐えきれず、ひび割れる。

 

「面白ぇ……!」

 

「ここからが本番だ」

 

「――ええ、そうね」

 

誰も退かない。

 

力も、意志も、限界を越えて。

 

戦いは――まだ終わらない。

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