インフィニット・ストラトス ~七つの大罪をその身に宿した者~ 作:ぬっく~
ジャンヌの示す西南を目指すのは容易であった。
周囲の注目を集めながら広々とした街路を走り抜け、広い敷地前に到着する。
「到着したぞ」
「えぇ。ありがとう」
背の高い鉄柵に、広々とした植栽豊かな前庭、巨大な石造りの屋敷。門に飾られたエンブレムが目に入る。
ジャンヌが目指すよう命じていたのは、他らないアルメス・グラディウスのいる屋敷であった。
「イチカ。思いっきり蹴り飛ばしなさい!」
一夏は、こくっ、と頷くと、正門にた門番兵を無視して鉄柵を蹴り飛ばす。
鉄柵は弾丸となって、一直線に屋敷のとある部屋に直撃する。
◇
激しい音が屋敷の中に響き渡った。
音は凄まじい勢いを伴い、弾丸のように吹き飛ぶ物体が壁に突き刺さる。アルメスの真横を通り過ぎたのは、変形した鉄柵―――屋敷の入り口にあった物。
それが正門から吹っ飛び、アルメスいた部屋を襲ったのだった。
そして、
「ちっ、もう少し横だったわよ。イチカ」
「すまない、外した」
ジャンヌと一夏はぞろぞろと蟻のように群がってくる兵士たちを余所に前庭の中央を突っ切っていく。
そして、屋敷を奇襲されることも前提に置いてあった、兵士たちがジャンヌと一夏を取り囲む。
「やあやあ、愛しの私がジャンヌよ。これは一体何の真似かね?」
アルメスは頬を引かつかせ尋ねた。
大きな穴の開いた壁から現れたアルメスを、ジャンヌはギロリと睨み付ける。
ジャンヌが一方的に発散する穏やかではない雰囲気に、その場にいた全員が冷や汗を堪える中、家主同士は対峙した。
「先日の返答を返しに来たのよ―――」
ジャンヌは、アルメスの顔目がけ石の入った手袋を渾身の力で投げつける。
アルメスのはそれをキャッチし、ジャンヌは声高らかに宣言した。
「上等よっ! 受けてあげるわ、ウォーゲームを!!」
にぃっとアルメスは口端を引き裂く。
「ここに双方の合意はなった―――諸君、ウォーゲームだ!」
彼が両手を開いた瞬間、屋敷内から一斉に歓喜を上げる。
「聞いての通り、試合の詳細は役員を招集次第始める。日程は後で知らせよう……楽しもうじゃないか、ジャンヌ?」
アルメスは不敵な笑みを浮かべ、ジャンヌは最後まで睨み返すだけだった。
「イチカ、総員に緊急招集を発令」
「了解だ」
数十年ぶりにウォーゲームが開催されるという知らせは、裏社会に凄まじい速度で広がっていった。
◇
そして、都市を騒がした【リオネス・ファミリア】襲撃から三日。
ウォーゲームの打ち合わせが始まる。
まずは、両者の必要書類の
「我々が勝ったら、君をおもらう」
「……」
「ここだけははっきりさせておく。後で聞き苦しい言い訳を並べられても
己が勝つことを微塵も疑っていないアルメスは、ジャンヌの身の要求―――婚姻を強調した。
やがて、ウォーゲームの勝負形式に関して話が及んだ。
「総力戦を希望するわ」
最初に発言したのは、ジャンヌだった。
ジャンヌから提案された総力戦と言う言葉に全員が驚愕する。
「ほぉ……総力戦とは以外なものを選択したな」
「ぐだぐだ言い合うより、さっさと白黒つけられるものを選択したまでよ」
ジャンヌが選択した総力戦とは、参加人数、武器などの一切の制限が無く、何でもありの勝負形式。
戦車だろうと、猛毒だろうと、何でも使って構わない。人徳違反することで、殆ど使われないルールをジャンヌは持ち出した。
それはつまり、ジャンヌは【グラディウス・ファミリア】を完全に潰すと宣言したのだ。
しかし、その逆も然りであり、ジャンヌが負ければ【リオネス・ファミリア】を失うリスクがあった。
「よかろう。では、勝負形式は―――総力戦だ!」
アルメスはこれを承諾し、ウォーゲームの正式に認められた。