インフィニット・ストラトス ~七つの大罪をその身に宿した者~ 作:ぬっく~
日本――織斑家
俺の名は、織斑十秋。
――転生者だ。
神に選ばれ、この世界に生まれ落ちた。
それだけでも勝ち組だというのに、さらに“特典”まで与えられた。
「……くく」
思い出すだけで、笑いがこみ上げる。
俺が選んだ力は一つ。
〈王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)〉
あらゆる宝具を無尽蔵に展開する、最強の能力。
「負ける要素がない」
この世界の強者?
笑わせるな。
「学園最強? 世界最強?」
そんなもの――
「全部、踏み潰せばいいだけだ」
窓の外を見る。
平和な日本の街並み。
だが、俺にとってはただの舞台装置だ。
「邪魔者は、もういない」
織斑一夏。
本来の主人公。
――消した。
直接手を下したわけじゃない。
もっとスマートにやった。
評価を落とし、切り捨てさせた。
「最高だろ?」
笑いが止まらない。
「これで全部、俺のものだ」
ヒロインも、名声も、力も。
すべて。
「……さあ、始めようか」
その目に宿るのは、確かな狂気だった。
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### ◇ リオネス家
「珍しいわね。貴女から来るなんて」
バルコニー。
向かい合う二人の少女。
更識楯無と、ジャンヌ・リオネス。
「少し、興味があってね」
「……私の“義弟”に?」
「ええ」
笑顔。
だが、空気は張り詰めている。
「祝福が欲しいのかしら?」
「くれるのなら」
即答。
沈黙。
カップに、ひびが入る。
「私の配下になるならね」
「それは遠慮しておくわ」
視線がぶつかる。
一瞬。
世界が“軋む”。
――だが、次の瞬間には消える。
「……ついて来なさい」
ジャンヌが立ち上がる。
楯無は無言で従う。
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### ◇ 地下へ
「この話は外に漏らさないで」
「もちろん」
廊下を進みながら、ジャンヌは語り始める。
「祝福には“ランク”がある」
楯無の表情が変わる。
「魂の器に応じて、与えられる力の上限が決まるの」
淡々とした口調。
だが、その内容は重い。
「ランク2が人間の限界」
「それ以上は?」
「化け物よ」
即答だった。
「ランク3で軍を単独で壊滅できる」
「……」
「ランク4以上は、“災害”ね」
足が止まる。
ジャンヌが振り返る。
そして――
楯無の胸に、指を当てる。
「貴女はランク4」
一拍。
「ストックは3」
「……ストック?」
「受け入れられる力の数よ」
つまり。
楯無は、“三つの災害”を内包できる。
(……冗談でしょ)
だが、ジャンヌは続ける。
「ちなみにイチカは――」
一瞬、言葉を選ぶ。
「ランク5。ストック7」
沈黙。
楯無の理解が、追いつかない。
(それ……国家どころじゃない)
(世界が終わるレベルじゃないの……?)
ジャンヌは小さく笑う。
「だから“特別”なのよ」
その笑みは――
どこか、危うかった。
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### ◇ 深部
隠し階段。
地下。
さらに奥へ。
「……これは」
楯無は息を呑む。
そこは、水晶で満たされた空間だった。
光が脈打っている。
まるで、生きているかのように。
「ここが……」
「祝福の源泉よ」
静かな声。
「ここで、貴女の力を決める」
楯無は無意識に頷く。
逃げる、という選択肢は――
もうなかった。
ジャンヌは微笑む。
「さあ」
その瞳は、どこまでも深く。
「どんな“物語”を望むのかしら?」