この作品はすくすくの可愛さを伝えると同時に、ばんきっきの可愛さを伝えるものでもある(2度目)。
最近の私は、少しおかしい。
夏直前の太陽の光が幻想郷を照らす、晴れ晴れとした天気。
しかし、私の気分は曇り空。
こんなにも憂鬱な午後は初めてだ。
原因は、久しぶりに3人で集まったあの日。
最近あった事、面白かった事、どうでもいい事。いろんな事をお酒と八目鰻を両手に語ったとき。私は何を血迷ったのか、アイツの事を口にしてしまったのだ。
『ねぇねぇばんきちゃん。あの男の人とはどうなったの?』
『どうもないわよー。でもあの人間はね、ホントにね、私がついてないとダメね。私がいなきゃ何回野垂れ死んでたことか。と言うかそろそろ本名教えろっての! 私だけにでも!』
『うわー! ばんきっきがノロけてる! 恋ってすごい!』
あのときの私を全力で蹴飛ばしたい。
ようやく二人からのおちょくりが修まってきたのに。ろくろ首が自分で自分の首を絞めてどうする。
その時にアイツが喫茶店を開いていることも話してしまい、じゃあ3人で行こう!って約束をしてしまった。
そして来てしまった。
喫茶店『モフモフ』。
「あのさ、一応普通の喫茶店だから。変なことはしないでよ」
前もって釘を刺しておく。
まぁ、流石の二人も当人の前では控えてくれると思うけど、一応。
私の言葉に大丈夫大丈夫!と頷いた二人は、お店の扉を勢いよく開く。
「「ここがあの男のハウスね!」」バァーン!
本気で絶交を考えた瞬間だった。
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「ばんきっきー。そろそろ機嫌直しなよ?」モフモフ
「そうだよばんきちゃん。女の子がそんな顔してたらダメだよー。ねーモフモフちゃん」モフモフ
「きゅー」
くっそう……誰のせいだと……モフモフ。
コイツら、放っておくとあることないことナナスケに言いやがる。
ナナスケはナナスケで、2人の言うことに「あはは」と適当な笑いしかしない。否定をしないお陰で2人の勘違いはますますエスカレートするし。
ほんと違う。
ほんとそんなんじゃない。
ナナスケはあんなこと言われてどうも思わないのだろうか。恥ずかしいと思ってるのは私だけなのだろうか。
只でさえ、感情をあまり表に出さない男だ。何を考えてるのかさっばりわからない。
ああもう、なぜ私だけこんなに悶々としないといけないのよ。別にコイツなんて好きでもなんでもないのに。ほんとに。
そりゃさ、最近はよくモフモフと戯れにここに来るし、時偶道案内とかしてあげてるし、食材の買い出しを手伝ってあげてることもあるけど、全然好きとかじゃないし、うん。
「きゅー」
肩に乗って頬擦りしてくるモフモフ。
私の味方はお前だけだよ。
「きゅー♪」
ああー。癒されるー。
「ばんきさん」
癒しの一時を妨害する全ての元凶。相変わらず無表情な男め。
なによ。
「俺と一緒に、この店で働いてくれませんか?」
…………。
ふぇ?
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