花映塚、大好きなんですよ。
暑いのである。夏真っ盛りである。
イケナイ太陽がギンギラギンにさりげなく照り付けてくるのである。とにかく暑いのである。口調もおかしくなってしまったのである。
「きゅー」「きゅー!」「きゅー」
「むきゅー…」「きゅー!」ギュウギュウ
そんな気候にも関わらず、おしくらまんじゅうのように1ヶ所に固まるすくすくたち。
理由は1つ。その中心にいるすくすくが、ひんやりしているからなのである。
「きゅー!」
すくすくチルノである。
すくすくにとり作の冷蔵庫の中でゲットしたのである。モフモフなのに冷たい。不思議である。
そんな性質もあってお客さんからも大人気。冷やしすくすく、始めました。なのである。
――――――
先日は暑さでどうかしていた。クーラーの効いた店内に慣れてしまったのが原因だろう。なのである。
このままではいけない。文明の利器に甘えていてはダメだ。ここは幻想郷、もっとレトロな方法で涼めるように工夫し、それをお客様にも提供してみよう。
そんなわけで、2つ作戦を考えた。
1つは足水、足湯の冷たい版だ。水はすくすくにとりやすくすくパチュリーが生成できるし、氷はすくすくチルノが大量に作ってくれる。
もう1つは『夏、涼しいところで食べるアイスも美味しいけど、暑いところで食べるアイスも美味しいよね』作戦。
敢えて店の外に席を設けて、冷たいものを食べていただくのだ。風鈴もあれば尚良し。クーラー君には少しだけ夏休みを取ってもらうぞ。
思い立ったが吉日である。
さっそく準備に取り掛かろう。
――――――
チリンチリーン
「なかなか乙な店ね。水も花も綺麗だし、悪くないわ」
「ねぇねぇゆうか。この『あんみつ』って言うの、おかわりしても良い?」
白い日傘を差した美人さんと、お人形さんみたいな女の子が来店。さっそく外の席に案内してみた。
足を冷水に付け、料理を食べてもらうスタイル。なかなか好評である。あんみつも気に入ってもらえたようだ。
「見てゆうか!この子、ゆうかにそっくりよ!」
「ふぅん…すくすくねぇ。ずいぶん久しぶりに見たわね。こっちの子は貴女にそっくりよ」
「きゅー?」
自分たちの姿を模したすくすくに興味を持つ二人。
すくすくゆうかりんとすくすくメディスン。2匹は親子みたいな関係だが、当人たちも端からみると親子みたいである。
正直、幽香さんがお店に来たときは肝が冷えたが、怖い人じゃなくてよかった。
「きゅー!」パチャパチャ
俺の不安も露知らず、水場で戯れるすくすくたち。特にすくすくわかさぎ姫はイキイキとしている。
すくすくたちも涼しげで何よりである。
「もふもふのゆうかはおとなしいのねー。さわっても嫌がらないし、たくさんモフモフできちゃうわ」
「きゅー?」
「そうみたいねぇ。ところで、店員さん」
はい?
「私のすくすくを手懐けてるってことは、貴方。戦ったら強いのかしら?」
満面の笑みの幽香さん。
止めてください死んでしまいます。