食欲の秋である。
『きゅー!』 mgmg
すくすくたちの食欲も上昇中。いつもの倍は食べてると思う。
食べさせ過ぎは良くないとわかっているが、美味しそうに食べる姿を見るも、ついつい作りすぎてしまう。
「すくすくさん。はい、あーん」
「きゅー!!」モグモグ
「あぁー! もうホントにもぉー!」バンバン!
モフモフの可愛さに阿求さんの語彙力が低下している。でも机は叩かないでください。
「こんにちは。席、空いてるかしら?」
阿求さんとそんなやりとりをしていると、桃色の髪をした女性が来店。
おお、華扇さんじゃないですか。
久方ぶりです。
「ええ、久しぶりですねナナスケさん。 善行とモフモフをしっかり積んでいるようで何よりです」
うちの常連の1人、華扇さん。仙人様でありながら、さとりさんと同じ『モフモフソムリエ』である。
見たことはないけど、華扇さんはたくさんの動物を飼っているとか。さとりさん同様、動物との意思疏通もできるらしい。
……さて。
華扇さんがやって来たと言うことは、お店が忙しくなるということだ。
「きゅー!」
うむ、すくすくたちよ。
食べるのは一旦お預けだ。
華扇さん、ご注文の方は?
「そうね……表の看板にあった『秋のクッキー盛り合わせ』を、取り合えず10皿お願いします」
承りました。
団体1名様、入りまーす。
――――――
「―――ふむ、数が増えても手入れは欠かしていないようですね。実に素晴らしいモフモフだわ」
「「きゅー!!」」
すくすく秘封倶楽部の2匹を丁寧にモフモフする華扇さん。この2匹は、当人たちが来店した次の日、裏庭を走り回っていたところを保護したのだ。
すくすくたちの手入れはもちろん行っている。
数は多いが、すくすく同士でブラッシングをしていることもあるので、実はそう大変ではない。
すくすくアリスやすくすくゆうかりんはとてもお世話好きだしね。お手入れの時もよく手伝ってくれるのだ。
「あ、お皿が空ね。 ここの料理は美味しくて手が止まらないわ。ナナスケさん、また腕を上げたのでは?」
「きゅー!!」
俺、と言うよりはすくすくたちの腕が上達したのだと思います。
昔と比べて料理のできるすくすくは増えた。教えた甲斐があったというものである。
「モフモフで料理もできるなんて、すくすくはとっても賢いのね」
「きゅー?」
「ふふっ、やっぱり『良いモフ』だわ」
はい。自慢の『良いモフ』なんです。
ところで華扇さん、今モフってるすくすくって、どこに居ましたか?
「えっ? どこって、テーブルの下で眠っていたけど……」
頭にハテナマークを浮かべる華扇さん。
いやですね。そのモフモフ。
俺今初めて見たんスよ。
「きゅー」
小銭のようなアクセサリーを身に付けた、赤いツインテールのモフモフ。
なるほど、すくすく小町か。眠っていたということは、つまり、そうゆうことだ。
間違いなく、明日はあのモフモフがやって来るね、うん。
「あ、ナナスケさん。追加注文いいかしら?」
……その前に今日を乗り越えなきゃな。
『きゅー!』
すくすくたちはまだまだ元気そう。
俺もまだまだ頑張ろう。