――― GSチャット―――
@ナナスケ
>ようハゲ
@モナカらいおん
>なんだハゲ
@ナナスケ
>妖怪の身体ってさ
@モナカらいおん
>( ゚д゚)!?
@ナナスケ
>神秘的だね
@モナカらいおん
>なにがあったし
――――――
「いやぁ済まない。実は身体を見失ってしまって。良ければ探してくれないだろうか?」
「きゅー」ゴロゴロ
「あ、やめて。転がさないでェェェー……」
楽しそうだったので暫く眺めていた。
後で怒られたのは別の話だ。
生首の彼女こそが、ばんきっきさんもとい赤蛮奇さん。すくすくばんきっきの元となったろくろ首っ娘だった。
友人を探すために頭と身体を分離していたが、離れすぎてお互いが何処にいるのか分からなくなってしまったらしい。
しかもこうなると、頭側は身体と一度ドッキングしない限り、浮いての移動ができなくなるんだって。
ろくろ首も大変なんだなぁ。
そういえば、すくすくの方は首飛ばないよね?
「きゅー」フワフワリ
あ、尻尾が飛ぶのね。なるほど。
頭しかない人を見捨てるわけにもいかないので、身体探しに協力する。
ばんきさんヘッドはすくすくばんきっきの上に乗せておこう。
モフモフだから置かれ心地は良いはず。
落とさないように気を付けてね。
「きゅー!」
うん。良い返事。
慧音さんの時もそうだったが、すくすくは姿を模した相手にはすぐになつくようだ。
離れていても距離感ぐらいは掴めるらしく、ばんきさんの感覚を手がかりに探し始めること数十分。
「きゅー」
身体を見つけた。
「きゅー?」
しかしこの身体、頭がついている。
「首元にあった違和感はあれか……」
ばんきさんのものと思われる身体の首から上には、モフモフな顔が既にくっついていた。
犬耳が生えた、黒に近い茶毛のすくすく。
ばんきさんが「私の友人に似てる」と言っていたので、きっとその人のすくすくだろう。
すくすくは持ち帰るとして、ばんきさんの頭と身体をドッキング。プッピガン。
赤と黒を基調とした服装、こうして見ると普通の女の子だ。
何かお礼をしたいと言われたので、霧の湖は何処にあるのか聞いてみると、
「アンタ、湖のある方向から歩いてきたよね」
って言われた。おかしいなぁ……。
幻想郷で方向音痴は致命的と指摘され「今日はもう遅いし、明日私が案内してしてあげようか?」とばんきさん。
願ってもない提案だった。ばんきさんと出会う前まで、何時間歩いても霧の湖に着けなかったし、よほど退屈だったのか、少し前からすくすく妖夢が夢の中に旅立ってしまったし。
それじゃあ人里に帰ろうと先陣切って歩きだしたら「人里はあっち」と首を捕まれた。
すくすくたちにも半目で「きゅー」と言われた。
……ごめんなさい。
結局ばんきさんに人里まで送ってもらった。
ばんきさん曰く、俺の方向音痴っぷりは見てられないレベルらしい。最終的には手を引っ張られる形で人里に到着した。
ばんきさんと別れたところで、今度は阿求さんと遭遇。
新しく仲間になったすくすくを渡してみたところ、元となったのは影狼さんと言う狼女だとわかった。
すくすくたちと同じぐらいモフモフの耳を持っているらしい。もし会えたらモフモフさせてもらおう。
それにしても阿求さん。
「きゅー」
「モフモフ……モフモフ……可愛いなぁ……」
モフモフしておられる。
なんでも、最近妖精からのイタズラが多いようで、ストレスで胃を痛めているらしい。
よほどストレスが溜まっていたのか、すくすくに顔を埋めだす阿求さん。
「きゅー…」
これにはすくすくもショボン顔。
仕方ないので、すくすく妖夢をお貸しすることにする。
しっかり者のすくすく妖夢なら、迷惑をかけることもないだろう。阿求さんを胃を癒してやってくれ。
道中そんな出来事がありながらも帰宅。
ただいまー。
「きゅー」「きゅー!」
「きゅー?」「きゅー」「きゅー!」
うむ。
また増えとる。