「きゅー」
高そうな座布団の上に佇む、高貴なオーラを放つ黒いモフモフ。朝起きたら座布団ごと現れていた。
うーむ……色以外にこれといった特徴がないシンプルなモフモフだな。 誰のすくすくだろう。俺の知らないキャラかな。
「きゅーっ!!」
いろいろ考察していると、白いモフモフが勢いよく黒のモフモフに体当たり。
ポッフ――ンと飛ばされる黒のモフモフ。
それを見て満足そうな顔の白いモフモフこと、すくすくもこたん。
あ。もしかして、すくすくかぐや?
「きゅー!」
「きゅー!」
負けじと反撃の黒モフと応戦する白モフ。これは間違いなさそうだ。
2匹は真面目にケンカしてるのだろうが、端から見てると戯れ合っているようにしか見えない。だってケンカ中の効果音がモフッとかポフッしかないんだもん。
「「きゅー…zzz」」
その後、疲れ果てたのか、座布団の上で一緒にスヤスヤと眠るすくすくもこたんとすくすくかぐや。
あぁ。今日も平和だなぁ。
――――――
今日のすくすくめーりんはいつもと違う。
「「きゅー!!」」
珍しく起きてる。すくすくあうんと意気投合し、気合いを入れるようにきゅーきゅー鳴いていた。テンション高いね。
これにはすくすく咲夜もびっくり。きゅー…と逆に心配している。
確かめーりんさんは『気』に関する能力を持ってたはず。何かを感じ取ったのだろうか?
「きゅーっ!」「きゅー!!」
「きゅー!」「むきゅー!」「きゅーっ!!」
いや、違うなこれ。
よく見ると、他のすくすくたちの中にも妙にテンションの高いのがいる。いつも通りのモフモフもいるけど。
どうしちゃったのお前たち。
もしかして変なもの拾い食いしちゃった?
「こらクラピ。 あんまり能力つかっちゃだめよん」
「えーっ。だってご主人様、こうしたほうがきゅーきゅー鳴いてかわいいですよぉ」
「だーめ。 戻しなさい」
あれま、お客様の仕業でしたか。
イカしたファッションをした女性のヘカさんと、星条旗を擬人化させたような姿の妖精、クラピちゃん。
目立つ格好をしてるなぁとは思ったけど、案の定主要人物だったようだ。
しかし、能力とは一体どんなもので?
「この娘の持ってる松明の炎は特別製でね。見たものを狂わせるのよん」
「ちゃんと加減はしてるわよー。ほら!」
「きゅーっ!!」
狂ってる……と言うよりは、気分が昂ってるようだ。普段は物静かなすくすくサグメが高らかに鳴いている。良いのだろうか。
まぁ、しかし。これぐらいならすくすくにも悪影響はなさそうだ。今回は多目に見てあげよう。
あ、こちらご注文のスイートポテトです。焼きたてをどうぞ。
「もぐ……うーむ、やっぱりあなどれんなぁ、幻想郷の甘味は」
「あなどれんなぁ」
気に入ってもらえて何よりです。
ところでヘカさん。そのカッコいいTシャツ、どこで買えますかね……?
――――――
あの後、ファッションの話題で大いに盛り上がった俺とヘカさん。
「こんなに趣味嗜好が会う人間は初めてよん! これ、友情の印にあげるわ! 」
お礼にヘカさん自作のハイカラなTシャツを貰った。正直、超絶嬉しかった。
早速翌日、貰ったTシャツを着てみて、やってきたばんきさんに感想を求めると。
「ダッサい」
心を一刀両断された。
「きゅーっ」
傷心中の俺に松明を向けてくれたのは黄色のモフモフ。すくすくクラピ。
ありがとう。ちょっと元気でた。