お客様は神様ですって言葉あるじゃん?
まさか言葉通りの意味で使う日が来るとは思わなかったよ。
「きゃーっ! アリスちゃんモフモフ! 可愛いわー!」
「きゅー…」
「新聞の通りの良いお店でしょ? 私の行きつけよん! 」
「きゅー!」
「ごめんなさいナナスケさん……どうしても来たいって言うものだから……」
気にしないでくださいアリスさん。
寧ろ神様に来ていただけて嬉しいです。
魔界の神様と地獄の女神様が揃ってのご来店。 ヘカさん、女神様だったんですね。
二人はママ友ならぬ神友なんだって。神様にもご近所付き合いがあるらしい。想像すらできない世界観である。
「ほら夢子ちゃんも。 一度触ると病みつきになっちゃうほどふわふわでモフモフよ!」
「きゅー……」
「神綺様。そのすくすく、嫌がっているように見えます」
「そりゃ私のすくすくだもの…。お母さんには触られたくないわよ……」
「ええっ!?」
アリスさん、難しいお年頃なのかな。
神綺さんとアリスさんは家族であって家族ではない関係なんだとか。よくわからないが、そこは家庭の事情。触れてはいけない部分なのだろう。
そういえばヘカさん。今日はピースちゃんは一緒じゃないんですね。お留守番?
「クラピは外で遊んでるわよん。 新しいお友達ができたんですって。 やっぱり一人暮らしさせてみるものねー」
「きゅー!」
「でも時が経つほど、親も子も一人は寂しく感じるものよ? だからアリスちゃん、いつでも帰ってきて良いからね! 」
「一人暮らしサイコーよ 。そもそも一人じゃないし。ねー上海」シャンハーイ!
「アリスちゃん!?」
アリスさん、反抗期なのかな…。
――――――
「これが食べたかったのよん! おいしー!」
「きゅー!」
「 焼きたてってこんなにも美味しいのね! ビックリだわ!」
「いくらでも食べれそうねコレ……うう……太りそう……モグモク……」
今話題沸騰中の人気スイーツ、もみじ饅頭。文々。新聞さまさまである。メディアの力ってすごい。
お店なら焼きたてを提供できるし、テイクアウト用の箱入りセットも販売中だ。
「きゅーっ」
更にこのもみじ饅頭、なんとすくすくもみじが直々に焼いてくれている。 もう言うことなしだね。
たくさん焼いてくれるのでたくさん食べてくださいねー。夢子さんもどうぞどうぞ。
「いえ結構です。私はお客として来ているのではなく、神綺様の付き人として来ているので」
来店してからずっと、神綺さんの後ろに立っている夢子さん。
席を勧めても「メイドですので」と断られた。超キリッてしてる。とてもカッコいいが、少し近寄りがたい雰囲気を放っている。
「きゅーっ」「きゅー!」
「きゅー」「きゅ!」「きゅー!」
が、そんなもので怯むほど、すくすくの警戒心は仕事熱心ではない。お構い無く、夢子さんの足にモフモフたちはすり寄る。
遊んで欲しいのか、スカートをクイクイと引っ張ったり、身体によじ登っているモフモフも。
その光景を、離れた席に座っている阿求さんが指を咥えて見てるのは、今は気にしないでおこう。
「あらー。夢子ちゃんモテモテねー」
「ちょ……コラっ、離れなさい。 そんなに甘えられても……」
そう言って、夢子さんはスカートに引っ付いていたすくすくチルノを持ち上げる。
すくすくチルノと目が合う夢子さん。
「きゅーっ!」
ズギュ―――ン!!
軽いデシャヴである。
また一人、すくすくに心を奪われたようだ。
「………」モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ
『きゅー!』
無言で、無表情。でもどことなく興奮して頬を染めてるかのようにも見える顔で、すくすくたちをモフモフする夢子さんは、とても可愛かったです。
――――――
残ったもみじ饅頭はラッピングしてお土産に。
神綺さんにはそれなりの数の身内がいるようなので、是非みんなで食べてくださいねー。
ヘカさんも、ピースちゃんにあったら渡してあげてください。
「わかったわよん。今日もごちそうさま!」
「きゅー!」
……ヘカさん、気づいてないのかな。
今日来店したときからずっと、ヘカさんの頭の球体の上に、モフモフな球体が乗っている。
言うまでもなく、すくすくヘカさんである。どこから乗ってきたのだろうか。
「きゅー?」
頭に乗っける球体によって色が変わる、カラーバリエーション豊富なすくすくヘカさん。
…すくすく白沢を乗せたら、緑色になるかな?