ここから冬編ですよー。
『きゅー』
こたつで丸くなるすくすくたち。
『きゅー!』
降り積もる雪にはしゃぐすくすくたち。
『きゅー?』
いつも通りのすくすくたち。
すくすくたちの行動は十人十色。みんな違ってみんな可愛いのだ。
ちなみに俺は寒いのが苦手なので、こたつに籠る。今日はお休みだし、すくすくたちとミカンを食べながらのんびり過ごすのだ。
こののんびりスタイル、喫茶店に取り入れたら流行るだろうか。準備は大変だけど、試してみよう。
「ごめんくださーい」
今後の経営方針を考えていたら、誰かやって来たようだ。この雪の中誰だろうか。 こたつから出るのは非常に惜しいが、仕方ない。
傍で丸まってたすくすくおりんを抱き締めながら玄関へ向かおう。モフモフは温かいのだ。
「きゅー…」
ごめんよー。すぐにこたつに戻すから。
――――――
「あぁー……ありがとうございます……温かいですねぇ……こたつにモフモフちゃん……」
「モフモフー!」
「きゅー」
やってきたのは守矢神社の風祝、早苗ちゃん。マフラーしてるとはいえ、へそ出し腋出しの格好は寒いと思うよ……。
買い物途中で雪に降られ、たまたま
この雪の中、露出度の高い女の子を突き返すような俺ではない。雪が治まるまでゆっくりしていってね。
「ではお言葉に甘えて……モフモフちゃん、 一緒にこたつで丸くなりましょう!」
「ミカンおいしー!」
「「きゅー!」」
早苗ちゃんのお気に入りはネコ科のすくすく。早苗ちゃんはネコ派らしい。イヌ科のすくすくはしょんぼりである。
――――――
さて。せっかくの客人だし、何か温かいものを作ろうか。
買い出しは先に済ませてあるから、材料はいくらでもある。良い機会だし、冬の新メニューを作ってみよう。
チョコレートケーキもとい、ガトーショコラ。寝かせるとより美味しいが、焼きたては焼きたて特有の美味しさがあるのだ。
本来、猫にチョコを与えてはいけないが、すくすくは「すくすく」って生物だから大丈夫らしい。阿求さんや永琳さんが言うんだから問題ないだろう。
「「きゅーっ!」」
すくすく咲夜とすくすくようむ、涎を垂らしながらも手伝う準備万端。
すくすくたちは甘いものに目がないのだ。
――――――
「きゅーっ」
「……むにゃむにゃ……すわこさま……それは私のオヤツですよぅ……」
「やったー! ケーキだー!いえーい! 」
作り終えて戻ってきたら、早苗ちゃんはコタツムリと化して眠っていた。頭に緑のモフモフを乗せながら。
すくすく早苗、常識にとらわれないモフモフだ。
……やっぱりすくすくって、人の頭から生えてきるんじゃ……いや、深く考えないようにしよう。
あと、何か、今気づいた。
見間違い聞き間違いじゃければ、見慣れない少女がすくすくおりんを抱きながら、こたつで寛いでいる。
「ねぇねぇ。早く食べようよー」
「きゅーっ」
ああ、これ間違いじゃないね。
こいしちゃんがいるわ。
でも、なんでここに?
「んー……なんでだろうねぇ。 ケーキ食べたら思い出すかもー」
身体を左右に揺らしながらケーキを催促してくるこいしちゃん。
「zzz………はっ!甘い香り!」
「きゅー!!」
早苗ちゃんも起きたことだし、食べながらゆっくりお話しようかね。
――――――
「おもひだひた! ふぉれ、おへえちあんはらあははひ!」
……こいしちゃん、ワンモワ。
「こいしさん。ちゃんと飲み込んでから……ああ、口にチョコがついてます……」フキフキ
「モグモグ……ゴクン! これ! お姉ちゃんからあなたに!」
早苗ちゃんに口を拭かれながら、こいしちゃんは帽子の中から1通の手紙を取り出す。
手紙の内容を要約すると『地霊殿に遊びに来ませんか?』とのこと。
地底かぁ……面白そうかも。せっかくのお誘いだし、次のお休みに皆で行ってみようか。