……死ぬほど気分が悪い……うごご……。
気が付いたら地霊殿の一室で横になっていた。あまり覚えていないが、相当酔っぱらっていたらしい。柄にでもないことを口走ってた気がしてならない。
お酒って怖いね。あたま痛い。
「きゅー」
お腹の上で、モフモフがジト目で俺を見ている。やれやれこの男は……みたいな感じで、3つの瞳が俺を見つめていた。
ピンクのモフモフ、すくすくさとりだ。
……うん、しばらく禁酒だな。
反省します。土下座。
――――――
しんどい身体を引きずりながら、なんとか喫茶店に帰還。さとりさん、お燐ちゃん、お世話になりました。
日帰りのつもりだったのに、朝帰りになってしまった。今日の喫茶店は臨時休業にしよう。なんも準備できてないし。
それ以前に、俺の体調がヤバい。自業自得とは言え、立ってるのが精一杯。少し横になろう。
「きゅー!」
入口に『本日休業』の札を張ってから布団を敷いてると、すくすくえーりんが短い手で薬を差し出してきた。
二日酔いに効く薬だろうか。
有り難くいただこう。
それじゃあ、もう一眠りします。
おやすみなさーい……。
――――――
「むふぅ……今日の夢もモフモフしてますねぇ。でもほんのりお酒臭い。昨晩、飲んでました?」
そりゃあもう。鬼に勧められるがままに。
時偶、夢の中に女性が現れる。名前はドレミーさん。悪夢を食べてくれる良い人だ。
初めの頃は
『貴方の夢はモフモフしてて食べづらいので嫌いです』
ってよくわからん理由で嫌われていたが、
『貴方の夢はモフモフしてて寝心地が良いですねぇ』
ってよくわからん理由で気に入られた。変わった人である。
夢の中の出来事って忘れてることが多いけど、ドレミーさんが出てくる夢は、現実の出来事のように鮮明に覚えている。
それは別に良いのだが、お陰であまり眠ってる気がしないんだよなぁ。俺の脳、ちゃんと休まってるのだろうか。
「安心してくださいな。ちゃーんと快眠してます。ドレミーさんが言うのだから間違いないですよー」
……なんとなく、胡散臭い。
――――――
ドレミーさんと雑談してると、時間があっという間に過ぎていく。夢の中だからだろうか。
よし、そろそろ起きよう。
「えぇー、もうですか? 起きても辛いですよー」
そう言われましても。
すくすくたちも待ってますし。
ドレミーさんは俺……じゃなく、俺の夢を離したくない様子。そんなにモフモフなのか、俺の夢。
「ではせめて、私が安らかに起こしてあげましょう。強く生きてくださいねー」
そう言って、ドレミーさんは本の中から取り出したラッパを、思いっきり吹くのであった。
――――――
「きゅー!」ポフポフ
ほっぺに心地良い衝撃を感じながら起床。おはようございます。
俺を叩き起こしてくれたのは、紺色のモフモフ、すくすくドレミーさん。起こすってそうゆうことですか。
それにしても、清々しい気分だ。流石はすくすくえーりんの薬、頭痛は跡形も無くなった。
ドレミーさんはまだ辛いと言ってたけど、ばりばり元気である。あれはどういう意味だったのだろうか。
「きゅ!」
ん、どしたのすくすくドレミー。
え? メッセージが来てる? どれどれ。
――― GSチャット―――
@ゆかりん(14)
>お み や げ は ?
@ゆかりん(14)
>ね ぇ ?
@ゆかりん(14)
>お み や げ は ?
@ナナスケオルフェノク
>…………
>…………
>……て、てへぺろ。
@ゆかりん(14)
>EXCEED CHARGE
ナナスケオルフェノク さんの アカウントが
灰になりました!
――― チャット END―――