「ひもじいのです……何か恵んでください……」
ノックの音で目が覚めた休日の早朝。
玄関の開けたら、頭に雪を被り、冬にも関わらず薄着の少女に物乞いされた。
「きゅー…」
彼女の足元には、彼女のすくすくと思われるモフモフがちょこんと座っていた。欠けた茶碗を持って『恵んでー…』と訴えかけるように鳴いている。
寝起きの頭ではいろいろ理解が追い付かない。
とりあえず、寒いので中にどうぞ。
――――――
「ふわぁぁ……なんて暖かいのかしら……! モフモフもぬくぬくだわ……!」
「きゅー!」
紫苑ちゃんはすくすく天子が気に入ったようだ。同じ青色同士だからかな。
こたつで気持ち良さそうにすくすくに頬擦りしている紫苑ちゃん。とても貧乏神には見えないが、人は見かけによらないのが幻想郷。
「きゅー…♪」
すくすく紫苑もこたつで暖を取る。今まで見てきたすくすくのどの表情よりも、幸せそうな表情をしている。良いことだ。
話を聞いたところ、先にも言ったが、紫苑ちゃんは貧乏神なんだって。
で、ひもじい思いをしながら歩いてたら幸福パワーが滲み出てる
幸福パワーの要因はきっとすくすくだろう。これだけ居るのだから、そういう不思議や力を持っているモフモフがいてもおかしくない。
だろ?
「きゅー!」
すくすくてゐが元気に反応してくれた。
いつも幸せをありがとう。モフモフ。
「あ、あの……暖かい店内に入れてくれてありがとう。 でも……ここ、お店なのよね? なら私、直ぐに出ていかないと……」
身体の温まるものを作ろうとキッチンに行こうとしたところで紫苑ちゃんにそう言われ、思わず首を傾げてしまった。
ホワイ? なぜゆえ?
「何故って……だって私、貧乏神だから……。普通の人間なら、私が貧乏神だってわかると焦って追い出すよ……?」
……?? 焦る必要性も追い出す必要性も、特に感じないよ俺は。
だって、魔法使いや吸血鬼、閻魔様に魔界神、果てには地獄の女神様。 その気になったら喫茶店なんて無へと還せるような方々が、日常茶飯事で来店しているのだ。
今更貧乏神が来店して何だと言うのか。
なっ、お前たち。
『きゅーっ!』
ほら。すくすくたちもこの通りなので、ゆっくりのんびりモフモフと暖まっていってくださいな。
「……グスッ……ありがどう店長さん……!」
「きゅー!」
どういたしまして。
――――――
身体を暖めるなら、やはりスープ料理だろう。
と言うわけで、ミネストローネを作りました。すくすくゆうかが作った野菜がたっぶり入ってます。栄養も満点です。
「……ハフハフ……こんなにも温かいお料理初めて……!」
「きゅー!」ハフハフモグモグ
紫苑ちゃんとすくすくしおんはガツガツハフハフ食べていく。温かいどころが相当熱いと思うのだが、今は食欲の方が勝っているのだろう。相当お腹が減っていたようだ。
うーん。全てを受け入れる幻想郷でも、貧乏神を受け入れてくれる場所はあまりないのかなぁ。
何とかしてあげたいが、どうしたら良いものなのか。ハフハフ。
「きゅ!」
朝ごはん代わりのミネストローネを一口食べると、見慣れないすくすくが俺のスマホを持って現れた。
オレンジっぽい毛色に縦髪ロール。なんだかすごく綺羅びやかなモフモフである。
ん? チャットに新着メッセージが。
――― GSチャット ―――
@ゆかりん(14)
>追い出す必要性を感じないなら
>しばらく喫茶店に置いてあげなさい。
@ゆかりん(14)
>そこなら貧乏神の力も抑えられると思うし。
@ゆかりん(14)
>昼ドラも見れると思うし。
――――――
…………昼ドラ?