モフモフ幻想郷   作:アシスト

51 / 56
俺氏、修行する。

 

 

今年も残すこと、あと3日である。

 

 

来年に向けて気持ちを新たにするため、聖さんからのお誘いもあり、命蓮寺の修行体験に参加することにした。

 

聖さんが言うには、修行を積んで邪念を捨て、無心になることで本当の自分と真剣に向き合えるとか何とか……。

 

 

「きゅーっ!!」 バシーン!

 

 

あ痛ぁ―――ッ!?

 

 

「ナナスケさん。雑念が残ってますよ?」

 

「きゅ!」

 

 

はい。そんなわけでただいま命蓮寺で座禅中です。すくすく聖は容赦しないのだ。肩が痛い。

 

座禅ってただひたすらに心を無にして座ってるだけなのに、かなりしんどいよね。足は痺れを通り越して、感覚がなくなってきたよ。

 

 

「ナナスケさんは初めてですので、そう思うのも無理はありません。ですが、修行を積めばみんなの様に」

 

「………zzz」

 

「姐さん。村紗が寝てます」

 

「……」ピシッ

 

 

あっ。聖さんの持つ警策(※)にヒビが。

 

 

しかし、イビキこそかいているが、キャプテンの座禅は美しい。背筋もピンとしてるし、何より軸にブレがない。 寝てることを除けば完璧だと、素人目でもわかる。

 

 

でもまぁ、寝てることが致命的な訳だが。

 

 

「南無三ッ!!」ドゴォォーン!

 

「あ゛あ゛あぁぁぁ―――ッ!!?」

 

 

………今、すっごい音しなかった?

 

 

 

 

――――――

 

 

(※)警策……座禅で肩を叩く時に使う板のこと

 

 

――――――

 

 

 

座禅を終えて、次の修行が始まるまでの小休憩。すくすく探しと行こうと考えたのだが、少し考えが甘かった。

 

足がね、動かないのよ。感覚が戻ってきたと思ったらめちゃくちゃ痺れてきた。やっばい。

 

 

「きゅー」ツンツン

 

 

ちょ。足をつつくなモフモフ。今のオレにそれは効ぐあぁぁぁぁ!!?

 

 

「これこれ。ナナ坊が苦しんでおるぞモフぬえ」

 

「きゅー?」

 

 

近くにいたマミさんが、モフモフを抱き上げて助けてくれた。ありがとう親分。

 

モフモフの正体はすくすくぬえ。左右非対称な羽が特徴の、いたずらっ子である。

 

数日前に命蓮寺内で見つけて以来、保護してくれていたのだ。本人と違って割と真面目なモフモフなんだとか。

 

 

「なによー、私が真面目じゃないって言いたいの?」

 

 

あっ。いたのぬえちゃん。ってたんま、羽で足をつつかなあ゛ぁ―――!?

 

 

 

――――――

 

 

 

足の痺れが引き、次にやってきたのは、滝。

 

轟轟と巨大な音を立てる、滝

 

12月のこの時期に、滝。

 

 

え? まじ?

 

 

「滝行は精神統一に最適です。ナナスケさんは初めてですし、季節も季節なので長時間は行わないので安心してください」

 

「きゅー!」

 

 

聖さんは優しい声色でそう言う。すくすく聖も『危なくなったらすぐ助けるね!』と言うようにきゅーと鳴いている。

 

……誘われたとはいえ、自ら志願したことだ。泣き言は言えないな。

 

それに、ほら。

 

 

「「きゅー……!」」

 

 

既に2匹のモフモフが両手を合わせて滝に打たれている。すくすく一輪とすくすく村紗だ。すくすくはホントに真面目だなぁ。

 

すくすくもこれだけ頑張っているのだ。俺も頑張らないと。

 

 

いざ参る。男を見せてやるぜ。

 

 

 

――――――

 

 

 

「きゅー」「きゅ!」

「きゅーっ」「きゅー!」モッフモッフ

 

 

すくすくたちに寄り添ってもらいながら、疲れきった身体を癒す。

 

いやー、筆舌に尽くし難い修行の数々でしたね。キャプテンや一輪さんたちがサボりたくなる理由もわかった気がする。

 

 

「お疲れ様でしたナナスケさん。 もしよければ、こちらを召し上がってください」

 

 

そう言いながら、聖さんは湯飲みと小さなかごが乗ったお盆を運んできてくれた。

 

かごの中に入っているのは、喫茶店でもお馴染みのみかん。

 

 

命蓮寺(うち)で採れたおみかんです。今年のはとっても甘いんですよ」

 

『きゅー!』

 

 

それは良いですね。すくすくたちもお腹が空いてるみたいだし、どれ1つ。

 

みかんを取ろうと手を伸ばしたその瞬間。1つのみかんが煙を吹き出し姿を変える。

 

 

「きゅー!」

 

 

してやったり! 的な顔で出てきたのは、頭に葉っぱを乗せたモフモフ、すくすくマミゾウ。

 

突然の登場に聖さんもびっくり……

 

 

「まぁ、可愛らしいモフモフさん。おいでー♪」

 

 

してなかった。聖母かこの人。

 

すくすくたちはみんな甘えるように、両手を広げる聖さんの胸元に飛び込んで行く。

 

聖さんの母性には、すくすくもメロメロなのであった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。