朝起きたら、壁一面に穴が空いていた。
しかもたくさん。なんだこれ。
『きゅーっ』ピョーン
すくすくが穴の一つにピョーンと飛び込むと、別の穴からポーンと出てくる。マ○オの土管みたいな穴である。
よほど面白いのか、たくさんのすくすくが穴に飛び込んでは穴からポポポポーンと出てくる。
まるでモフモフの滝、かわいいけどシュールである。
「きゅー」
「きゅ?」
穴を作ったのは簪を身に付けた青色のモフモフ。
自身は穴に飛び込むことなく、キョンシーみたいなモフモフに、のんびりとブラッシングをしてあげている。
……まぁ、いっか。
すくすくたちも楽しそうだし。
――――――
モフモフの滝を見て思い出した。
実は100匹を越えたんですよ、すくすく。
3桁までいくと、もうすごいね。モフモフの海だね。一面モフモフ。阿求さんやさとりさんが良く無言で飛び込んでる。
これだけ多いと1日で観察しきれないが、この冬に出会ったすくすくを中心に、改めて見ていこう。
「きゅー」
すくすくヤマメは喫茶店に来て早々、店の角に巣を作っていた。
たまにすくすくラルバが巣に引っ掛かっていることがあるが、その度すくすくヤマメが解放してあげている。捕獲用の巣ではないらしい。
「きゅー……」
今日は別のモフモフが巣に引っ掛かってる。
触角のついた緑のモフモフ、すくすくリグルだ。諦めたように手足をブラーンとさせている。
助けてあげると、光る尻尾をフリフリさせながら、嬉しそうに頬擦りしてくる。これだからモフモフはやめられない。
「「きゅー!!」」
すくすくスカーレット姉妹は好奇心旺盛で、他のすくすくより人懐っこい。喫茶店内を飛び回っては、お客さんの頭の上に乗ってきゅー!と鳴いている。
血は吸わないけど、よく指を甘噛みしてくる。はむはむと甘噛しながらきゅーきゅー鳴く愛らしさに、多くの人が鼻血を流している。おもに阿求さんだけども。
「きゅ!」
「きゅー♪」
すくすく綿月姉妹は真反対の性格。
すくすく依姫はいつ見てもシャキっとしてるが、すくすく豊姫はいつ見てもノンビリしている。モフられるのが好きなのは一緒だけどね。
「きゅー」
たまに、うさ耳の生えた水色のモフモフが、すくすく依姫と走ったり座禅したりしている。訓練だろうか。
「きゅー」「きゅ?」
すくすく霖之助とすくすく朱鷺子は読書が大好き。いつもどこかで本を読んでいる。
たまにすくすく阿求やすくすくバチュリーたちと集まって、読書しながら意見交換をしてたりする。さとりさん曰く、内容はとても真面目なものなんだとか。
「きゅー!」
そこに、鈴のアクセサリーを身に付けたモフモフが、持参した本を読みながら意見交換に参加する。
すくすく小鈴だ。妙に禍禍しい本を持っている。何の本なんだろう……。
――――――
1匹1匹じっくり観察してると、あっという間に日が落ちる。続きは次の休日にして、そろそろ晩ごはんの準備をしよう。
今日の晩ご飯はシチュー。お昼に予め作っておいたものを温めるだけだけどね。
……そう言えば。この前誘われた、立春の日の宴会。霊夢さんから「何でも良いから料理を持参してきて欲しいの。大量に!」って頼まれたのだか、何を作って持っていこうか。
すくすくたち。何か案ある?
『きゅー……』
一斉に首を傾げるモフモフたち。
すくすくは何でも美味しく食べてくれるから、その分好物も多いのだろう。悩み所である。
すくすくと一緒に首を傾げていると、鍵を開けて店内に入ってくるろくろ首さんが1人。
こんばんはばんきさん。
バイト帰りですか?
「そんなところ。良い香りがしたから寄ってみた。……一緒に食べてっていい?」
もちのろんですよ。大量に作ってあるので。
そうだ、ばんきさんは何か案ありません?宴会に持ってく料理。
「……うーん…………水ようかんが良いな」
ふむ、水ようかんか……。少し季節外れだが、作れないわけじゃない。甘いものは何時食べても美味しいよな。
『きゅーっ!!』
すくすくたちも大賛成みたいだ。
よし、それで行こう。ありがとうばんきさん。
「……ん」
そっぽを向きながら頬を指で掻くばんきさん。
照れてるっぽい。かわいいね。