お気に入り数が目標だった100を越えました。
すごく嬉しい。ありがとうございます。
オーブンが欲しい。
喫茶店を開くにあたり欲しいものはたくさんあるが、まずはオーブンが欲しい。
しかしここは幻想郷。
あまぞんは使えない。
慧音さんや阿求さんに相談したところ、河童に作ってもらうのが一番手っ取り早いことがわかった。
ちなみにすくすくにとりよ。
お前は作れたりする?
「きゅー…?」
首をかしげられた。だよねー。
明日ばんきさんに頼んで行ってみようかな、妖怪の山。
――――――
俺はすくすくをナメていた。
「きゅー!」
すくすくジェバンニではなく、すくすくにとりが一晩でやってくれました。
俺がバイト先で使ってたようなどでかいオーブンが、そこにはあった。
埃まみれになりながらもどや顔を見せるすくすくにとり。モフモフするのはお風呂に入れてからにしよう。
さて、作ってくれたので早速使わせていただこう。
パンを焼こう。あんパン。
俺はこう見えてもパン屋で数年アルバイトしていたのだ。作り方は熟知している。
材料も充分。イケルイケル。
「きゅー」「きゅー」
すくすく咲夜とすくすく妖夢も手伝ってくれるようだ。
よし、がんばるぞい。
――――――
「おつかれー」
「「きゅー!」」
あとは焼けるのを待つだけ。
2匹ともよくがんばった。
調理はなかなか大変だった。
パン生地作りは特に問題なし。
問題はあんこだ。
すくすくたちに味見させてみたのが失敗だった。
よほど美味しかったのか、ものすごい勢いでねだってくる。俺の身体をよじ登ってきゅーきゅー鳴いてもダメだ。
「あんパンができてから!」と何とかおさめたが、みんなオーブンの前でうずうずしている。
……あれ、なんか一匹多い。
一番オーブンの近くにいるピンク色のもふもふを持ち上げる。
「きゅー」
すくすくゆゆこ様だこれ。
パンの焼ける香りに釣られたのだろうか。よだれを垂らしている。
もう少しだけ待ってね。
大丈夫。あんパンは逃げない。
――――――
少し焼きすぎたかもしれん。
食べきれぬ。
たくさんいるが、すくすくは少食なのだ。
一番食べたすくすくゆゆこでさえ、あんパン1個半でお腹一杯の様子。
「きゅー…」
みんな満足げだ。
明日の朝ごはんにしてもよかったが、せっかくなので宣伝もかねて人里で配り歩くことにする。
お腹いっぱいのところ申し訳ないが、すくすくまりさにも手伝ってもらおう。
今日からお前が宣伝隊長だ。
「きゅー!」
よし、まかせた。
ちょうどおやつの時間なので、寺子屋に向かってみることにする。
子供の胃袋をキャッチしよう。慧音さんにもいろいろお世話になってるしね。
寺子屋に向かってみると、課外授業中だったのか、慧音さんと生徒たちは外にいた。
慧音さんに話を聞くと、今日は人形使いのお姉さんが来る日のようで、生徒みんなで人形劇の見学に来ていた様子。
お姉さんの正体はもちろん、アリスなんとかロイドさん。うろ覚えですまない。
あんパンの香りに引き寄せられるように子供たちも寄ってきたので、早速配っていこう。
「おいしー!」
「ふわふわー!」
「これは美味いな。給食にも良いかもしれない」
「美味しい…!ねぇ、どうやってつくったの?」
なかなか好評のあんパン。 アリスさんにレシピを聞かれたが、企業秘密にしておく。
お店を開いたらまた食べに来てくださいと伝えると、同業者の方々と来ると言ってくれた。
ナニコレー?
キモチイイー
モフモフジャネーノ!
「きゅー」
すくすくまりさはアリスさんの人形に遊ばれていた。
すくすくのモフモフ感は人形も虜にしてしまうのか。やるなぁ。
もふもふの戯れに和んでいると、一人の女子生徒が寄ってきた。
「ねーねー。この子、あのモフモフさんのおともだちかな?」
「きゅー!」
その生徒が抱えていたのは、間違いなくすくすく。あんパンを食べていたら寄ってきたらしい。
シニョンを付けたピンク色のすくすく。右手には包帯が巻かれている。
……すくすく厨二病?
――――――
そんなこんなで帰宅。
あんパンの人気っぷりに自信がついたので、明日はもっといろんなものを作ってみようかな。
すくすくパンなんてどうだろうか。
すくすくたちの形を模したパン。どう?
「きゅー!」
よし決まりだ。
喫茶店のメニュー。
どんどん増やしていくぞ。
――――――
―――
次から少し時間が飛びます。
喫茶店編、スタートです。