みんゴルをリアルに表現したらこうなった   作:バラセン

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カスタムクラブえげつないな。
使っといてなんだけど笑


番外1

とある店員の話

 

 

島唯一のゴルフ専門のお店。

 

このお店は普通のお店と違ってゴルフ用品なら文字通り何でも揃えられます。

ウェアやゴルフボール、クラブは勿論、コースの会員証、果てはカートに至るまでのすべてをここで買うことができるのです。

もちろん置いている商品は世界中探してもこれ以上ないようなものばかり、

 

どうです?すごくないですか?

 

 

 

そんなすごいお店で私は店員さんとして働いています。

今年で三年目。

いつの間にかベテラン店員さんです。

 

 

 

ここで働く切っ掛けになったのは

パパが「そろそろーーちゃんも社会勉強してみるかい?」

と、このお店を紹介してくれたことです。

 

 

パパはこの島の創設者の人と学生の頃同級生だったとかで、二人は今でも一緒にご飯を食べに行ったりするほどの仲良しさんです。

ここのこともその時聞いたと言ってました。

 

 

 

その時の私は店員さんというものに少し憧れがあったので細かいことは気にしないですぐに返事をしてしまいました。

 

初めてお店に挨拶に来てゴルフ専門店だと知ったときは驚いたものです。

まあ最初は服がいっぱい並んでいたので服屋さんだとばかり思っていたんですけどね。

 

 

働き始めてみれば島だから家に帰れないし!そもそもゴルフに詳しくないし!日本人以外のお客さんが来るし!で大慌て。

 

お盆休みに家に帰ってから泣いていたのは秘密です。

 

 

まぁ今じゃベテラン店員さんですからね、私の鍛えられた語学力と接客能力にかかればちょちょいのちょいですけど!

 

 

 

…嘘です。皆さんやさしいですし、日本語も話せる人が多くて助かっています。

女性のお客さんも多いですし、ポーランドやカナダ、アメリカ出身のお友達もできました。

ぐろーばる、でしょ?

今度のお休みにコースまで行ってゴルフを教えてもらう約束もしているんですよ?

 

 

最初は不安でしたけど、そんなこんなで楽しい毎日です。

 

 

でも、最近悩んでることがあるのです。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

一年前

 

 

あっあの人また来てる…

 

 

最近、気になる人ができました、何て言うとまるで恋をしてるように聞こえるかもしれませんね。

 

あの人というのは男の人で歳は少し上くらいでしょうか、いつもお店にウェアやボールを買いに来ます。

 

それだけなら普通のお客さんなのですが、この人は少し…ううん、かなり変わったお客さんなんです。

 

 

「こんにちは」

 

「こんにちは。今日は新商品ありますか?」

 

「ありますよ。今月はこちらです」

 

「おおーまた変わったウェアを作ってますね。浴衣型ウェアか。これでよくスイングできるな」

 

「それ今一番人気なんですよー。見た目と違って羽みたいに軽いんです。作ったのは私ではないですけどね」

 

 

「うん、では全部ください」

 

 

そう、変わってるのは買い方。

月に一度ふらっとお店に来ては新商品をすべて購入されていくお客さんなんです。

 

 

「色別にですか?」

 

「いつも通り、色別に一着ずつ」

 

 

お店には毎月新商品が入荷されます。

それはウェア以外にもたまに新しいカートや新しいコースの会員証などもあったりします。

 

 

ウェアも最新式、それらも当然、安くありません。

でも、新商品が入荷されればそれが何であれ必ず買いに来るのです。

 

この人はどうして

 

「いつも全部買われていくんでしょうか」

 

 

「えっ?」

 

「あっ」

 

 

いつの間にか声に出てたみたいです。

やってしまいました。

でも気になっていたのは事実。

この際です、聞いてみましょう。

 

 

「…大した理由はない、かな。ただやることがなくて」

 

「?…ここに来られるとなるとゴルファーの方、ですよね?」

 

「まぁ…ね」

 

 

少し言いずらそうに告げる表情は俯いてよく見えません。

もしかして聞いてはいけませんでしたか!?

 

 

「最近…何をすればいいのか分からなくなってきちまったんだ」

 

 

そうお客さんはどこか遠くを見ながら練習、工夫という名の努力の軌跡を語り始めました。

 

ある時はスピンショットの練習を一日中やったり

ある時は人のプレーを観て学んでみたり

ある時は新しいギアを使ってみたり

 

すべてに多少の差はあれど成果はあったらしいですが、

 

 

「努力して努力して、ゴルファーとして成長する度に嬉しい反面、どれだけやっても差が詰まらない現実に落ち込んで……いや、違うな」

 

 

「最初は、差なんて分かってなかった」

 

 

「だから本来あった差が見えてきちまって落ち込んだってことなんだな、多分」

 

 

今ではやる気が出なくて練習もそこそこ。

それでも練習してるうちに下のランクの大会では勝てるようになっていたんでお金はもう結構貯まってた。

だからこれだけ買い物する余裕があるんだよ。

 

 

そう言って無理に笑うお客さんは辛そうで、でも何か言ってあげることもできませんでした。

それは私にはわからないことだから。

 

せめてここにいるときは本当の笑顔で過ごせるようにしてあげなきゃいけません、とその時の私は思ったのでしょう。

 

ある日は着ぐるみ型ウェアを紹介して試着してもらったり、

ある日はカートの代わりにコースで一緒に走り回れる新しい生き物を紹介して驚かせたり、

 

 

ふと気づけばお客さんとよく話すようになっていました。

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

悩んでることというのは最近になってそのお客さんがお店に来なくなってしまったことです。

 

前は最低でも月始めには必ず新商品を買いに来ていたのに先月から一度もお店に顔を見せず、もう今月も終わってしまいます。

 

 

もしかして、ゴルフ…やめてしまったのでしょうか。

 

 

この島が特別であるのはいくら私でもわかっています。

その特別に耐えられない人がいることも…残念ですけど…わかっています。

 

もし、あのお客さんもそうなのだと知ってしまったら私は笑顔のままお店にいられるでしょうか。

 

 

いけません。

これでは他のお客さんに失礼ですね。

 

 

あのお客さんだけではありません。

ゴルファーなら全員が同じ不安を抱えてるはずなんです。

私くらいは元気にお出迎えしなきゃ!

 

 

 

からんからん

 

 

 

どうやらお客さんのようです。

よーし。

 

 

「いらっしゃ…い…ませ」

 

「こんにちは店員さん」

 

 

扉を潜って現れたのは日本人のお客さん二人。

どちらも楽しそうに笑っています。

 

 

「最近ようやくやる気が復活したもんだからここに来られてなかったんだけど…

 

新商品ありますか?」

 

 

私は笑えているでしょうか。

多分無理でしょう。

泣かないようにするのでそれどころではありません。

 

 

「あとこいつ新人のハルヒコなんだけどオススメのウェア教えてあげてくれない?」

 

「こんにちは。ここすごい品揃えですね」

 

 

やっと意識が現実に追いついてきました。

 

 

「ふふっそうでしょう?自慢のお店なんですよ」

 

「ところでハルヒコさんは紹介されましたけど、あなたのお名前はまだ伺ってませんよ?」

 

 

「あぁそういえば自己紹介がまだでしたっけ?」

 

「俺の名前は…」

 

 

 

 

このお店には色々なお客さんが来ます。

不安を抱えてる人もいます。

悩んでる人もいます。

 

私では役には立たないですが、せめて…

 

 

 

元気に笑顔で働いていきます。

 

 

 

 




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