自動人形〈オートマトン〉と生きる第二の人生   作:寅好き

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アニメを見てハマったためまだ小説本編は三巻までしか読んでいませんので、最新刊まで読んでから本編に入りたいと思います。
 知識不足ですが温かく見守ってくれるとありがたいです。


プロローグ

 静寂に包まれる教室にチョークの音だけが響き渡る。

 こんにちは僕は第二の人生をこのヴァルプルギス王立機巧学院で送っております。

 僕がこのようになった理由を少しお話したいと思います。

 

◇◆◇◆◇◆

 

 それは忘れもしない、大きな人生の分岐点であった。

 僕はずっと楽しみにしていたラノベを買い、帰途を急いでいた。

 あとこの角を曲がれば家という所で、横断歩道をフラフラと歩くお婆さんがそして、すぐ近くにクラクションをけたたましくならすトラックが!

 僕は無意識のうちに走り出していた。

別にヒーローになりたいわけではない、『井戸に落ちそうな子供がいたら、見返りなどなくても助けるだろう』

漢文の授業で習ったことをそのまま実践したのである。

 しかし、世の中はそんなに甘くはなかった。

 そう僕は運動神経があまりにも低かったのだ。

 お婆さんは助けることはできたが、僕はトラックに轢かれて16年の短い人生を終えた。

 そこからの49日はある意味地獄であった。

 僕の『死』に悲嘆にくれる家族を見るのは、断腸の思いであった。

 そんな中でも、父親が涙を流しながらも「俺たちの息子は人の命を救ったんだ、誇りに思って、天国で再開するまで頑張ろう!」と家族を元気付けている姿を見て、僕も安心して成仏することになった。

 次に目を覚ました場所は何もない真っ白い空間、例えば出口と入り口がない『精神と時の部屋』である。

 花畑や三途の川はないのかなと回りを見回していると、何もなかった所に突如として天女が着る羽衣のような物を羽織る女性が。

 僕は驚きながらもその女性を凝視していると、僕の目の前まで笑顔をたたえてやって来た。

「はじめまして。貴方が〇〇さんですね」

見惚れるほどの至高の笑みを浮かべた女性は僕に尋ねてきた。

 戸惑いながらも頷くと、女性はどこからともなくタウンページほどの本?を取り出すと、

「貴方はかなりの『徳』を積んでいますね」

「徳?」

聞きなれない言葉のため僕は聞き返すと、

「『徳』というのはね、善行を行うことでたまるもので、人間の人生はこれを貯めるためにしているのよ」

と女性は笑顔を絶やさずに言う。

続けて

「貴方はそれが平均より半端なく多いのよ。たった16年でよく貯めたものね。ここで貴方は二つの選択ができるのよ」

 

そう言うと女性はまず指を一つ立てる。

 

「一つ目は天国へ行く道。これだけの『徳』があればかなりいい所まで行けるわよ。

そして、二つ目は貯めた『徳』を使って特典を持って新たな人生をおくる。転生ね。まあ強くてニューゲームみたいなものね」

僕は呆然としていた。

よく趣味で見ていたSSであった物を、自分が実際に体験しているのだから、当然なんだけど。

 呆然とはしていたが、僕は夢にまで見ていたことなので即断した。

「転生したいです!」

僕がそう答えると、女性は笑顔で頷き、

 

「どの世界に転生する?」

「『機巧少女は傷つかない』の世界がいいです」

死ぬ前までハマっていたラノベの世界であり、本当に行けるのかなと心配しながら女性に視線を送るとニッコリと笑って「大丈夫よ」という。

「じゃあ特典は何が欲しいの?三つまで叶えてあげるわ」

とどこかの神龍が言うようなことを言う。

「じゃあ、超サイヤ人の力が欲しいです」

僕は調子に乗って口に出した。

 その瞬間であった。

それまで、至高の笑みを浮かべていた女性が、色を失った死んだ魚のような瞳でこちらを見て一言呟いた。

「……これだからゆとりは…」

身も凍るような冷たい視線で。

(マズイ、マズイマズイ)

と頭で考えていると女性が哀れな者を見るような感じで僕を見ながら続けた。

「あんたドラゴンボールの設定知ってるの?超サイヤ人は神の力を超えてるのよ。そんな物あげられるわけないじゃない。これだからゆとりは」

吐き捨てるように言う女性に僕は危機感を感じ、土下座しながら謝罪をし、女性をおだて、奉り続けた。

 一時間ほど続けると、女性はやっと気分がよくなったらしく、

「じゃあ抜け道を使って、神の力は越えてるけど、人間が作り出した『知識』をあげるわ」

と言うと、女性の手から現れた光が僕の体に吸い込まれるように入り込んだ。

 その時、僕は新たな世界で本当に役に立つ知識を与えられた。

「はい、一つ目ね。

二つ目は何がいい?」

再び女性の気分を害しては絶対にいけないと、気を使いながらも、願いを言う。

 

「ドラゴンクエストの呪文や特技を使えるようになりたいです」

「それならいいわよ」

と女性が言ったことに、安堵した時だった。

女性はイタズラな笑みを浮かべて衝撃的な一言を言う。

 

「いきなり呪文や特技が全て使えたらチート過ぎてつまらないわ。呪文や特技を覚えられるにしましょう」

女性が手を叩くと僕の中に未知の力が沸き上がるのを感じた。

「覚えられるとはどういうことですか?」

僕はうすうす感じながらも尋ねてみる。

「ドラゴンクエストでもレベルが上がらないと呪文を覚えないように、貴方も自分が成長することで覚えられるようにしたのよ。まあかわいそうだから、初期呪文は使えるようにしてあげたから感謝しなさい」

「……はい……」

何を言っても無駄だと僕はしぶしぶ了解した。

「はい、じゃあ最後の願いは?」

「あの世界では、外国語が話せないといけないけど、僕は外国語とかからっきしなので、効果が一生続く翻訳蒟蒻が欲しいです」

「わかったわ」

女性がまたもやどこからともなく

「ほんやくコンニャクー」

と青狸がするように取りだし天に掲げ僕の口に突っ込んだ。

喉に詰まりそうになりながらも、なんとか飲み込んだ。

もう死んでいたからこそ、飲み込めたのだろう。

コンニャクはよく噛んで食べようと思った今日この頃です。

「はい、三つの願いを叶えてあげたわ。じゃあ第二の人生を楽しんでね」

と言うと、何故か僕が持っていた、ラノベ『機巧少女は傷つかない』が光だすと、僕の意識もそこで途絶えた。

 次に目が覚めた時には、僕は赤ん坊の姿になっていた。

 僕はついに転生したのだ。

 転生した僕は、零夜(れいや)と名付けられた。

名字?何それ?ってことで省略したいんだけど、そういうわけにはいかないよね。

ということで嫌々ながら答えるけど名字は蔕(へた)と言います。

くれぐれも続けて読まないで欲しい。

 あと、僕の境遇はあの女性が仕組んだのか、かなりあれな感じだった。

 父母は僕が小さい頃に他界、自動人形を作る工房を構える祖父に育てられたが、その祖父もつい数ヶ月前に他界。

その為一人暮らし。

 容姿はなかなか整ってはいるが、何故か目は前髪に隠れ、前髪を分けても髪の影で目は見えないという……どんなギャルゲー、エロゲーの主人公だ!!というものであった……。

 

 ああ、もちろん起こしに来る美少女も世話をやいてくれる美少女もいませんよ。

 そしてここから、僕の『機巧少女は傷つかない』での第二の人生が始まりを迎えたのです。

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