自動人形〈オートマトン〉と生きる第二の人生   作:寅好き

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少々オリジナルの話を突っ込みます。


新たな出会いと新たなお誘い

 燦々と輝く清々しい朝日、心地よい鳥のさえずり、そして聞き惚れるような可愛らしい声で起こしてくれる美少女、なんて幸せな日常なんだと幸せを噛みしめながら僕は起床した。

 また新たなあまり変わることのない1日が始まる。

 転生前には無縁だったこれが『リア充』というものかと思いながら身支度を整え学院に向かう。

 しかし、学院で現実をしらしめられるのだが。

「はあはあ…」

「今日も大変でしたね。お疲れ様です」

「あ、ありがとう」

 

けたたましく脈動する心臓を落ち着けながら十六夜の気遣ってくれた言葉に答える。

 そう今日も大変だった。

 キンバリー教授の講義では「〈手袋持ち(ガントレット)〉なら当然この程度の問題は答えられるよな」と結構難しい問題を解かされたり、講義が終わった瞬間勝負を仕掛けられたり、それも逃げきったと思うとその先でまたもや勝負を仕掛けられる、挙げ句の果てにはなんとか逃げ切ろうと飛び込んだ先が女子更衣室で、よくあるラッキースケベかと喜んでいたらボコボコにされる始末。

 以上のように今日も一日大変な日々であった。

 それらの試練をやっとのことで乗りきり自分の安住の地となる〈トータス寮〉に帰ってきたのだ。

 寮の入り口に差し掛かった所で何かオロオロしている女の子がいるのに僕は気づいた。

 髪は右側で結ばれており幻想的な真珠色をしている、容貌は幼さを持ち、気弱そうな顔をしているがとても愛らしい、容貌とは正反対にとても立派でシャルとは対極にあたる女性らしい物をお持ちになっている少女とその少女に寄り添うように黒い毛並みの狼犬である。

「どうしたの?何か困っているようだけど」

僕は気になったので声をかけてみる。

 転生前の僕だったら女性に声をかけるなんて考えられないことであるが、これも成長の証であろう。

「えっ、あ、あの、赤羽雷真さんの部屋はどこになるのかなって……」

「ああ、雷真の部屋はね―――」

僕は懇切丁寧に教えてあげると嬉しそうにお辞儀をされる。

 とても愛らしい子供のような可愛さを感じた。

 で、そこで僕は隣の狼犬に目がいく。

 僕は目は合わせずに手を差し出す。

 初対面の犬に目を合わせるのは敵対行動であるからだ、そして手の匂いを嗅がせるのは挨拶にあたる。

 そして、匂いをかいだあとに顎から撫でていく。

 頭から撫でようとすると、上から手がくることで恐怖を感じる犬もいるからである。

 そしてそこからおもむろにに戯れ始める。ムツゴローさんのように。

 しばらく戯れといると少女が話しかけてくる。

「あ、あの、ラビと仲良くなれるのはすごいです。犬好きなんですか?」

「うん大好きだよ。前に家で飼っていたというか、家族として一緒に住んでいたからね」

転生前に飼っていた愛犬(家族)を思い出しながらそう伝える。

 僕がそう言うとそれまで控えめで少しオドオドしていた少女は

「家族、うん」

と呟くと目を輝かせ饒舌に話始めた。

 僕も嬉しくなりしばらく寮の前で語り合ってしまった。

「ごめん長々と話しちゃって雷真に用事があったんだよね」

 

「うんん、私もとても楽しかったから。それに今日は下調べだから…」

「下調べ?」

僕は聞き返す。

「なんでもない。また話かけてくれる?」

「喜んで」

僕がそう答えると少女は笑顔でこちらに小さく控えめに手を振って去っていった。

 僕はその走り去る少女の姿を見送っていると、そうかあの子がフレイかと今になって気づくのだった。

 しばらく、久しぶりにこれだけ話したので楽しかったなあと余韻に浸っていると、突き刺さるような視線を背後から感じた。

 身震いをしながら振り返ると笑顔のシャルがいる。

「やっぱり男はああいう大きな娘がいいのね…」

「大きい?フレイは小柄だったけど」

「違うわよ。ああいう自己主張の強い」

「ウ~ン、フレイは少し気弱な感じだけど」

僕がそう返しシャルを見てみると、明らかに不機嫌な顔をして怒りだした。

「バカなの?脳みそ干からびてるの?普通こう言えばわかるはずよ」

「ごめんなさい。分からないです……」

明らかにイライラしているシャルを刺激しないように謝罪する。

「む…胸の話よ!」

顔だけでなく耳まで真っ赤に染めて聞いてくる。

(そういうことか!)

とやっと気づくと僕は胸を張って自分の主義主張をはっきりと断言した。

「僕は貧乳が好きなんだ!」

「!!」

唖然とするシャル、そしてここぞとばかりに畳み掛ける。

「シャルのような」

「今回も失言です…」

「ああまったくだ…」

十六夜とシグムントが離れた所でため息を吐きながらそう話し合っていた。

たぶん二人の言っているように僕が畳み掛けるように言った一言は余計な一言だったのだろう。

シャルは嬉しそうでもあり、腹立たしそうでもある中途半端な表情で

「まあ、いいわ。この話はここまで」

と勝手に話を切り上げると、再び頬を朱に染めて話し出す。

 

「明日の午後開けておきなさい!行きたいところがあるから」

「デートのお誘い?」

いきなりシャルにそう言われたので、これは二回目の人生にして初めてのデートのお誘いかと、胸を高鳴らせながら聞き返す。

「な、ば、バカなこと言わないで。貴方が私を手伝ってくれるって言ったんじゃない」

「ああそういうことか」

僕は少し残念に感じながらも合点がいった。

「とある筋からの情報でイブの心臓が多数売りに出されるという話があったから明日行こうと思うからついてきなさいってことよ」

「うん、喜んで」

「じゃあ明日今と同じぐらいの時間に来るから準備しといてよ」

シャルはそう言うと「じゃあね」とだけ言って去っていった。

 辺りを見回すとすでに日は落ち、外灯には明かりが灯されていた。

「ごめんね色々と長くなっちゃって。もう暗くなっちゃったから入ろうか」

「いいですよ。久しぶりに零夜も楽しそうでしたし」

寮の前で相当時間を過ごしてしまったことを十六夜に悪かったと謝罪したが大丈夫と返されたのでそのまま自室に帰っていく。

 夕食を終え、自室に戻り明日のことを考えながら十六夜に話しかける。

「明日シャルと行くところは何かあるかもしれないからしっかり準備したほうがいいよね」

「そうですね。たぶん表だった所ではないでしょうし。しっかり準備しといたほうがいいですね」

十六夜も僕と同じように考えていたので同意して準備を整え、明日に向けてしっかり仮眠をとることにした。

「お休みなさい十六夜」

「お休みなさい零夜」

挨拶をし電気を消す。

 今日も色々あったなと考えていると、疲れからすぐに深い眠りに落ちていた。

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