僕が貰った能力の内の一つ『ドラゴンクエストの呪文と特技を覚えられる』能力をまずは確めようと思っていたけど、転生したとはいえ、体は生まれたばかりの赤ん坊だったので、発声器官ができておらず、他の平均的な子供と同様に、1、2才になるまで言葉を話すことはできなかった。
なので、やっと言葉を喋られるようになったため『呪文』を試みようと思ったのだが、それは甘かった。
まだ2才児の子供を一人にする保護者がいるのだろうか、いやいない〈反語〉そういないのだ。
僕のこの世の両親は、知る人ぞ知る僕の祖父の作った自動人形と共に『裏』の仕事を生業にしていた。
そのため、不定期の仕事で長い時には約一年程留守にしていたが、休みも長い時には長く、休みを取れた時には僕から離れることはなかった。
両親がいないときには、祖父がそうであった。
ということで『呪文』を試みることはできなかった。
ただ、僕は両親や祖父にちやほやされていただけではなかった。
いづれ『祖父の道』でも『両親の道』でもいづれに行っても大丈夫なように、少しずつ鍛練をするようになった。
両親がいないときには、祖父が自動人形制作を、両親がいるときには鍛練を。
生前運動神経は壊滅的で体育の成績であれば5段階の内の2が指定席の僕も、両親のお陰で人並み以上のものを持つに至っていた。
死神とまで裏で言われていた母には、母の獲物の『大鎌』を使った鎌術を。(主に筋力関係で)
侍の生き残りと言われていた父には剣術を。(主に技術と精神修養の面で)
まあ、それも僕が5才になるときまで鍛えて貰った。
僕が5才の時に、両親は裏の仕事で亡くなった。
帰ってきたのは母の形見の『大鎌』と父の形見の『刀』のみであり、亡骸はなんらかの理由で帰ってくることはなかった。
祖父も、悲しみは深かったが、それ以上に僕を不憫に思ってくれたようで、僕により一層目をかけてくれるようになった。
自動人形制作以外には優しい祖父も、僕が両親と同じ道、人形使いの道や敵討ちを口にした時には、烈火の如く叱られた。
それだけ祖父の心にも両親の死は深い傷をつけ、解けることがない鎖で縛り付けるようになっていたのだ。
僕はそんな祖父を傷つけることも、悲しませることもしたくなかったので『禁句』を喋ることはなくなった。
ただし、敵討ちに関しては諦めることはない。本当はこの世界では楽しめたらと思いやってきたのだが、この世界もそう甘くはなかった。
まあ、主人公『赤羽雷真』の戦う理由からして暗く重いのでこの世界もその流れにそうのもしょうがないんだけど。
ということで、僕が6才になる頃には一人になる時間も少しでき、やっと『呪文』を試すことができるようになった。
ただし、依然は目的などなかったが、今はこの世の理由の敵討ちのために。
この世の魔術も魔方陣や長い詠唱を必要としないものとなっていたが、僕が貰った『ドラゴンクエストの呪文や特技』もそれを必要としなかったり、かなり有用な呪文や特技が多くあるので十分やりあえると自負していた。
しかし、何事も思い通りにいかないものであった。
初級呪文は使えるということで一通り試すことにした。
まずは基本通り、『メラ』から、ドラゴンクエストらしく僕が人差し指をだし「メラ」と唱えると思い描いていたものとは違い、線香花火で最後にぽとっと落ちるものぐらいの火球が飛ぶのみであった。
メラをメラゾーマと誤認されるようなことは永遠にないと悟った時だった。
他にも『ギラ』は一瞬閃光が辺りを照らした後に辺りが少し暑くなったぐらいであり、『ヒャド』は手から冷気が迸るだけで、空気中の水分を固めて氷柱をつくることなんて夢のまた夢であり、『バギ』はなかなかよく、かなり小さいが渦をまく風は起こすことができた。
だが『イオ』は中学での実験で電気分解で生成された水素にマッチの火をかざすとポンッといったあれほどの爆発、『ライデイン』に関しては静電気が指先で出るという情けない結果に終わった。
ただし悪いことばかりでなく、いい発見もあった。
父親との剣術での精神修養の効果か、MP切れを起こすことがなかったのだ。
まあ、呪文自体がショボいため使用魔力が少ないためとも考えられるが。
あと、攻撃呪文以外にも補助呪文や、男の夢の呪文(モシャスやレムオル)は当然のように使えなかった…。
それから、僕は学校から帰ると工房で自動人形作りを学び、夜は両親に教わった鍛練と呪文の技量をあげることに力を注いだ。
そして、年月が過ぎ、現在から数ヵ月前に祖父が他界した。
祖父の最後の言葉は「絶対に両親の敵討ちを討とうなどと考えてはいかん」であった。
祖父は両親の死の原因を知っていたらしい。
それを知るのはずっと先のことになるのは、思い出している現在の自分でも知るよしのないことである。
祖父が他界したことにより、悲しみ、寂しさ、気落ちなど様々な感情に襲われたが、やはり時が解決してくれ、ついに僕の一生の相棒になる自動人形を作ることになった。
ただし、ただの自動人形ではない。
転生の特典として貰った知識を最大限に使用した自動人形である。
そう、その人間があみだしし、神をも超える知識とは『Drゲロの人造人間製造知識』であった。
ただし、その知識も16号や19号に限られたものである。
つまり、完全な機械型であり、17号や18号のように生体を使った『禁忌人形〈バンドール〉』を作る為の知識はなかった。
まああったとしても、人間の道を外れたことなどすることは絶対にないのだが。
それに、自然を愛するモヒカン16号やデブ19号だけでもこの世に叶うものはいないだろうし。
ただし、僕には妥協することができない、いや絶対にしてはいけない一線があった。
声を大にして言いたい
『美少女自動人形がいい!!!!!』
はい、当然男の夢です。
生前悲しい一人身だった悲哀を癒すためにも、それにやる気も違うしね(色々な意味で)
そして、僕の美少女自動人形作りが幕を上げたのだった。