自動人形〈オートマトン〉と生きる第二の人生   作:寅好き

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十六夜無双になります。それでもよければよろしくお願いします。


〈夜会〉への参戦【後編】

 ラビ、リビエラ、ルビー、レビーナ、ロビンはすでに牙を剥き出してうなり声を上げ戦闘モードである。

 対する巨大な岩の塊のようなゴーレム型の自動人形は腕を振り上げ、騎士型の自動人形は大剣を地面と水平に構え、後方の魔術師型の自動人形も杖を構えて、臨戦体勢に入っている。

「フレイ前衛のゴーレム型と騎士型の自動人形を十六夜が相手をするから、ラビ達には魔術師型の自動人形を相手してほしい。ラビ達のスピードならば前衛の妨害さえなければ苦もなく近づくことができると思うから」

僕はフレイに近より耳もとで囁く。

「あん、う、うん」

頬を赤く染め、なにやら艶かしい声をあげながらも頷いてくれた。

 その表情と声に戦闘モードが衰えそうになっている僕がいるが気を取り直し、十六夜に指示を出す。

「十六夜、前衛二体頼める」

「大丈夫です。が少し肩慣らしに遊ばせてください」

「あ、うん、ほどほどにね」

いつもならそんなことは言わない十六夜だが、これからの戦いを考慮しての考えだろうと了承した。

「ラビ達には魔術のダメージを弱める呪文をかけるよ。マジックバリア!」

誰にも聞こえるような大きな声で宣言し、僕が呪文を唱えると薄いベールのようなものがラビ達を覆い一体化する。

「おい聞いたか〈一匹狼〉は魔術の効果を弱める魔術を使うみたいだぜ」

「おいおい、あいついきなり自分の魔術暴露しやがったぜ」

「バカだろ」

等々観客は言いたい放題。

「あいつ一体どういうつもりなのかしら」

シャルも僕の行動に疑問を持っていた。

 ただし、他の観客が言うようなバカにしたものではない。

「フフ零夜はよく考えたものだ」

シグムントは分かっていたようだった

 僕の考えはこうだ。

 この世界では一人の魔術師は一つの魔術しか使えない。

 なので、僕が魔術の効果を弱める魔術を使うと信じ込ませることができれば、これからの敵はその魔術に対抗しようと接近戦を望む、そうすれば思い通りに接近戦が強い十六夜と接近戦をしてくれるようになる。

 さらに、不意討ち気味に攻撃呪文を使えば大きなダメージを与えられることになる。

 どちらも〈夜会〉上位者と戦うためのものだ。

 僕にはこれ以降の知識がない。

 十六夜は強いが十分に策を練っておかねばならないための種まきである。

「がう!」

ラビ達が魔術師型の自動人形に向かって弾丸のように走り出す。

 そうはさせないとゴーレム型の自動人形は振り上げていた拳を轟音を鳴らしながら降り下ろす。

 ラビに向けて降り下ろされた拳はラビの前に滑り込むように現れた十六夜によって止められた。

「どうしました、これが貴方の全力ですか?」

片手で軽々と受け止めて微笑を浮かべながら言う。

 ゴーレム型の自動人形はうなり声をあげながらも押し潰そうとするがびくともしない。

 ラビ達はそのまま飛ぶように走る。

 そこに草を凪ぎ払いながら大剣が迫る。

 その光景をちらりと横目に入れた十六夜は拳を開いて止めている手に力を入れる。

 すると指が岩のような拳にめり込みそのまま持ち上げた。

 十六夜にゴーレムの重さが全てかかり地面に沈み込むが涼しい顔をしている。

「貴方の相手も私です」

十六夜はそう言うとゴーレムを騎士型の自動人形に向けて投げつける。

 巨大なゴーレム型の自動人形は地面を抉りながら、しかしながら減速することなく騎士型の自動人形にぶつかり共に砂煙を撒き散らしながら吹き飛んだ。

 辺りに巻き起こる砂煙。

 敵の学生ばかりでなく、魔術師型の自動人形も視界が遮られた状態の中、視界が見えなくても相手を捕捉できるラビ達が吼えた。

 辺りに広がっている砂煙を突っ切るように迫撃砲のような衝撃波が五つ、魔術師型の自動人形が気づいた時には時既に遅し。

 五つの衝撃波全てが命中し、魔術師型の自動人形は破片を撒き散らしなから宙を舞った。

「ウオオーン!」

ラビ達の遠吠えが聞こえるさながら勝鬨を上げているといったところだろう。

 FFでいえば「タタタタータータータッタター」という効果音だろうか。

 ラビ達は嬉しそうに戻ってきてフレイとその護衛の為に残っている黄泉に褒めてもらっているところだった。

「あれぐらいでやられてもらっては困るのですが…」

十六夜はゴーレム型の自動人形と騎士型の自動人形が吹き飛んだ先を見て呟いている。

「くっそー叩き潰せ!!」

敵の学生が大声で叫ぶ声が聞こえると、魔力がゴーレム型の自動人形に送られたようである。

 その横でも同様に騎士型の自動人形に魔力を送っている学生が。

 直後、吹き飛んだ先からゴーレム型の自動人形が赤い光を纏いながらもうスピードで大型ダンプが突っ込んでくるように木々を薙ぎ倒しながら迫り、騎士型の自動人形は大剣に炎をともし、地面を擦って火柱を撒き散らしながら迫る。

 十六夜はその様子を見ると、背に掲げている大鎌『刻死大鎌』を抜く。

 照らしている大型ライトの光さえも飲み込むような漆黒の大鎌を両手で握り大きく振りかぶる。

 十六夜の口元が緩んだように見えた時だった。

 まばたきもしていないのに十六夜の姿はそこにはなかった。

 あるのは走ってくるゴーレム型と騎士型の自動人形のみ。

「終わりましたよ」

「!!」

後ろから十六夜の声が僕の耳に入った時だった。

 ゴーレム型と騎士型の自動人形がバラバラに砕け散った。

 僕やフレイ、相手の学生だけでなく、観客さえも唖然として声すら発することができない程の驚きに見舞われている。

 しばらくすると大きな歓声と共に至るところでザワザワと大騒ぎになった。

 今の攻撃が全く見えなかったので何をしたのか聞いてみると、どうやらすれ違い様に鎌で数十回切りつけたようだ。

 目の前でまさかドラゴンボールのような戦いを見ることになろうとは夢にも思っていなかったが、現実に起こっていた。

 まあ、戦闘力を下げたとはいえ元が人造人間16号なので当然なのだろう。

(もう僕は必要ないような)

と思いながらも、誇らしい気持ちも沸き上がっていた。

 しかし、この戦いから僕はいや、十六夜が要注意人物になってしまった。

〈夜会〉の会場から出るときも、モーゼが海を割ったように、人波が割れ、そこら中からひそひそ話が聞こえるという居たたまれない感じで帰ることになった。

「フレイ今日はありがとう」

「え、何が?」

「今日の相手ならラビ達だけでも十分な相手だったのに、十六夜の準備運動の為に譲ってくれて」

僕はそう言い頭を下げると。

「気にすることないさね。これから共闘する仲間のためなんだし、功を争う戦いでもないからね」

黄泉がそう答え、フレイも微笑み頷いていた。

 その微笑みにつられるように僕も笑顔になる。

 僕たちは天に昇る月に照らされながら寮に帰っていった。




次回から三巻の内容に入ると思います。
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