自動人形〈オートマトン〉と生きる第二の人生   作:寅好き

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 アニメの進むスピードに驚かされている毎週です。
 いったいどこで区切りをつけるのだろう。


潜入、敵の本拠地へ

「イタタタタ…」

「エッチなことしようとしたからです」

僕たち三人は雷真のランプを宛にして暗闇の中を歩いていた。

 そして、そんな中でアンリが崖に落ちそうになり足を怪我をした。

 それを『ホイミ』で回復してあげようとした時蹴りを入れられたのだ。

「雷真もなんか言ってやってよ」

と言っても雷真は笑っているだけであった。

 そして、今は休憩をとっている所だ。

 アンリが雷真が持っていた砂糖がまぶされたドーナツのような物を食べている。

 僕は朝食を食べていなかったので、アンリがドーナツのような物を食べているのを我慢して見つめているところだ。

「なにを獣のような目で見ているんですか。イヤー視〇されるー!」

「貴族のお嬢さんが〇姦って……」

僕は呆れて反論する気も失せていた。

 しばらく、アンリと雷真が身の上話をしていた時だった。

 突然僕は不穏な空気を感じる。

 鳥肌が全身にたっている。

 時間がたつごとに僕になんとも言えない恐怖心が沸く。

 心の底から震えが来る。

 頭の中で警報がけたたましく鳴り響く、『ここに居てはいけない』と。

 そして、ついに閃くここを出る術を。

 ドラクエの呪文でも屈指の使用頻度をもつ呪文。

 ドラクエプレイヤーならば必ず何度もお世話になっている呪文『リレミト』だ。

 どんな深い洞窟やどんなに高い塔でも一瞬で脱出できる呪文。

「雷真、アンリ早く僕に掴まってここを脱出するから」

「いや男に触るなんて…」

「普通ならば近くにいるだけでもいいんだけど今はなぜか精神が安定しないんだ。早く!」

強い口調で言うとアンリがビクッと震える。

「ごめん。でも脱出したいなら早く」

僕の切羽詰まった感じに雷真が代替案を出す。

「俺がアンリを掴んでいるそれでいいな」

「うん。リレ――」

僕が呪文を唱えかけた時。

 雷真が何者かに気付き振り返り、

「撫子…!」

と言った瞬間手を放した。

「――ミト」

僕は呪文を止められなかった。

 そして、僕だけがその場から脱出した。

◇◆◇◆◇◆

 

(私は零夜を信じています。今は零夜の言うようにシャルさんとシグムントを追わなくては)

奈落の底に落ちていく零夜。

 しかし、零夜は笑顔で私に後の事を頼むと言っていた。

(零夜のためにも!)

 私が覚悟を決めてシグムントを追おうとした時だった。

「何処へ行く!」

私に声をかけたのは片腕で夜々さんを掴んでいるキンバリー教授だった。

「零夜の指示によりシグムントを追うんです」

「〈一匹狼〉がいない中で動き回ったらお前が神性――」

「そこまでです教授。私は貴女以外の人に見られるようなへまはしませんよ」

私はキンバリー教授の言葉を遮り、今できる最高の笑顔でそう言い舞空術で飛翔するシグムントを追いかけた。

 シグムントはかなりのスピードで空を駆けている。

 ただし、背に乗るシャルさんを気にしてか低空を飛行している。

 私はシグムントやシャルさんに気づかれないように、そして人に見られないように、気配を消して木々の間を飛行している。

 シグムントが幾度かシャルさんに声をかけている。

 それはシャルさんがあまりにも焦燥した表情をしているから。

(いつも強気のシャルさんでもあんなことをさせられたら)

私はシャルさんを思い拳に力が入っていることに気づいた。

 そしてその時私もシャルさんを心から助けたいんだと思っていることに気づいた。

 そんな時、シグムントとシャルさんが何者かに攻撃され始めた。

 飛び交う弾丸、そしてブリキのおもちゃに兜を被せたような外見で、子供くらいの大きさの、無機質な機械人形、警備用の量産型自動人形〈ヘイムガーダー〉。

 それは、小猿のように俊敏な動きでシャルさんとシグムントに襲いかかっている。

 シグムントは、爪で凪ぎ払い、尻尾で振り払うと必死の抵抗をしてはいるが、多勢に無勢、多くの中の一体がシャルさんの背中に迫っていた。

(あれでは)

私は無意識の内に気功波を撃とうと構えていた。

 しかし、次の瞬間ヘイムガーダーがひしゃげ遥か彼方に吹き飛んでいた。

 シャルさんの危機を救ったのは見慣れない一人の男。

 銀に近い金髪、仕立てのいい紳士服、上着はなく、カッチリとしたベスト姿。

 色つき眼鏡をかけていて、表情は読めない。

 どこか、執事を思わせる男であった。

 男は宙に浮いたままシグムントに何か呟くと、シグムントは頷き直後体が発光し、巨体が瞬時に小さくなる。

 バランスを崩したシャルさんを男が掴んで引き上げる。

 男はシャルさんに文句を言われているが、気にする素振りもなく、予備動作もなく急加速する。

 その速さは弾丸を遥かに超えるスピード。

 私もさらに気を使いながら男を追う。

 男は音もなく、また重さも感じさせない動きで宙を駆ける。

 しばらく真っ直ぐ進んでいたと思うと野戦演習場の手前まで行き、慎重にルートを選んでUターンした。

(えっ!?)

私が驚かされたのは男のスピードではない、大講堂が見える辺りでシャルさんの姿が変貌したのだ。

 きらびやかに輝く金髪がくすんだ茶色に変わり、服が女子用の制服に変わったのだ。

(姿を変える魔術でしょうか)

私がそのように思案をしていると、男は大講堂の裏手に着地していた。

 シグムントも姿が変わり白い鳩となり、シャルさんの肩に停まってポッポーと鳴いている。

(可愛らしい)

私がそう思いながら見ていると、二人は大講堂の中に入っていった。

(ここが黒幕の本拠地ですか)

そう理解した私も、敵地に踏み込む。

 零夜風に言えば『虎穴に入らずんば虎児を得ず』です。

 大講堂の内部は外見通り古めかしいのだが、〈トータス寮〉と違って風格がある。

 建物は三階建て、男とシャルさん、鳩のシグムントはそそくさと建物の中を進んでいく。

 二階、三階と上がっていき、さらに奥に進む。

 三階の外れにある議長室に入っていった。

(ここに黒幕が)

私は黒幕の正体をつかむべく議長室の大きな扉に近づく。

 議長室の中から話し声が聞こえる。

 だが剣呑な感じはしない。

 しばらくは何気無い話をしているが、いきなり声のトーンが変わる。

「時計塔の跡地は崩落、学院長は生死不明だってさ」

綺麗な声ではあるが、人を不愉快にさせるなにかがある。

「学院の地下には大空洞が広がっているそう僕が教えた途端これだ。君は覚悟が足りないよ」

皮肉が籠った声色。

「なによ、私は学院長を殺したのよ」

「フフ、地盤の崩落に巻き込むような回りくどいやり方じゃなくてもシグムントなら全てを塵にできたのに」

「下策よ、昨日の今日よ。学院長には対抗魔術が用意されていたはずよ」

「そう昨日の今日だ。こんな短い期間で君の〈魔剣(グラム)〉に対抗できる魔術を用意できるとはとても思えないけどね」

シャルさんが言いくるめられているようだ。

 あのシャルさんがと少しの驚きを感じる。

 中から聞こえる声のトーンが再び変わる。

「まあ、いいさ。刻限までに約束を果たしてくれれば僕に不満はない。あと二十時間もないね」

「えっ……何を言っているの」

「まだ約束は果たされていないよ。でもそのおかげで彼女、君の可愛い妹さんも死なずにすんだんだよ」

「えっアンリが。どこにいるのよ!」

シャルさんの声に緊迫感が溢れる。

 ここで私にも合点がいった。

 シャルさんは妹さんを人質に取られ言うことをきかされていると。

(ここまで聞くことができれば十分です。今は退きましょう)

私が去ろうとした時、議長室の扉が音を立てて開かれる。

「ここまで聞いてどこに行かれるのですかお嬢さん?」

男が笑みを浮かべて扉の前に立ちこちらを見ていた。

「よく気づきましたね」

「ええ、私も今さっき貴女がいることに気づいたのです。私とダンスを踊ってもらえませんか?」

男は下卑た笑みを浮かべ、言うや否や地を滑るように向かってきた。

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