次回の更新も遅れるかもしれません。
薬品の匂い漂う学生用の医療室。
今この場にいるのは、僕と雷真とロキだけである。
ベッドはカーテンで仕切られているが、雷真の寝息だったり、ロキが魔術書を読んでいるのだろう、ページをめくる音が定期的に聞こえてくる。
心地よい静寂である。
僕も先ほど処方された痛み止めが効き始めたのかウトウトし始めた、そんな時であった。
不意に扉が開く音がし、室内に誰かが入ってくる。
足音が近づいてくる。
そして、仕切りのカーテンに二人の影が映る。
「は、恥ずかしいです、お姉さま…」
「女狐どもがいない今がチャンスなんですよ十六夜!私が手本を見せますから続くんです、いいですね」
「……分かりましたお姉さま…」
どうやら十六夜と夜々のようだ。
最近どういう訳か仲が良いみたいだ。
十六夜にも友達ができた見たいで良かった、良かったと思っていた。
仕切りのカーテンが揺れる。
そして静寂が破られる。
「雷真体をお拭きします。さあ服とパンツを脱いでください」
「いきなりなんだ夜々。体くらい自分で拭ける!」
「私に任せてください。夜々が自分の体で痛みがなくなるほど気持ちよくなるようにお拭きします!」
「時と場所をわきまえろ!」
「今日こそ覚悟してください雷真」
ドッタンバッタンと大きな音がなり始める。
途中で堪忍袋のおが切れたのかロキも看護婦とエロ行為をするやつがどうのこうの言いながら参戦したようだった。
うるさいなと隣の喧騒に耳を傾けていると目が冴え始める。
そして今度は、僕のベッドの回りの仕切りのカーテンが軽く揺れ、白魚のような美しい指でカーテンが開かれる。
そしておずおずとカーテンの隙間から十六夜が入ってくる。
顔を真っ赤にし、うつむいたように背けている。
しかし、僕が視線を釘付けにされたのは十六夜が着用している服が珍しく、またあまりにも似合っているからである。
そう白衣の天使が着用するナース服である。
「え~と、なんでその服を十六夜は着ているの?」
いまだに真っ赤になり僕の方を見ない十六夜に問いかける。
「お姉、いや夜々さんが、この服を着ると元気になるって…」
「えっ?腕は折れてるけど元気ではあるよ」
「夜々さんが仰るには、この服を男性がみると、どんなに萎れた男性でも、ビクンビクンと立ち上がってしまうほど元気になるって」
その答えを聞いて僕は十六夜と夜々が仲良くしているということに危機感を抱いた。
そうもろに下ネタである。
それを真っ赤になった十六夜が言う…本当に元気になってしまいそうだ。
十六夜は、以前あったようにエッチなことにはとんでもなく厳しい。
「お楽しみでしたね」と僕が言っただけでも大変なめにあった。
しかし、今回はそんなことはない。
そういう深い知識は持たせてないからだ。
純粋な十六夜が汚されるという危機感が沸き上がってくる。
いまだにうつむきながらもしずしずて近づいてくる。
「ふ、服を脱いでください。か、体をお拭きします……」
「……はいお願いします」
抗うことはできなかった。
――――
「うっ…、あっ!」
「つ、強すぎましたか?」
「だ、大丈夫気にしないで…」
「はい、では続けますね、どうですか気持ちいいですか?」
「うん…気持ちいいよ」
「喜んでくれて嬉しいです」
室内にシコシコという音と水音が響く。
「なんか隣から卑猥な感じが…」
「ああ」
カーテン越しにそういう声がすると、少し隙間が開き視線を感じる。
「なんだ本当に体を拭いていただけなんですね」
カーテンが開かれると気落ちしたような顔の夜々が。
僕は体を拭いてもらい、終わったので十六夜に服を着させてもらう。
ガッカリしたような表情でそれを見る夜々。
「十六夜、少し今後のことをお話しましょう」
「はい、お姉さま」
十六夜は嬉しそうに夜々に続いて外に出ていった。
僕に新たな悩みができた。
僕は雷真のように精神はしっかりしていない。
もしも夜々のように十六夜が迫ってきたら僕の紙のような理性は破け、いや自ら破って〈禁則事項〉的なことをしてしまうだろう。
どうすればという悩みである。
そこで一人で悩んでいても仕方がないので相談してみることにする。
一人目、僕の唯一の同性の友達雷真。
悩みを打ち明けると
「うちの夜々が申し訳ない」
とひたすら謝るだけで話は進まなかった。
二人目、医師クルーエル。
学校の保健室の先生がカウンセラーをしていたこともあったので、藁にもすがる気持ちで相談にいく。
クルーエル医師は真面目に聞いてくれ、話が終わると、
「リア充爆発しろ!!」
と悔し涙のようなものを流し怒りながら僕は蹴り出された。
三人目、どういう訳だかその場に居合わせたキンバリー教授。
「そういうことが起こっているのか」
真面目な顔でキンバリー教授は呟く。
これはキンバリー教授で正解だったかと思ったその時だった。
「お前の年齢ならしたいのは分かるが。一応お前は学生なんだ。するなら気づかれないようにやるんだな」
口許にうっすらと笑みを浮かべてそう言うと颯爽と去っていった。
四人目、何を血迷ったのか、僕はシャルに相談してしまった。
話をしている最中ずっとシグムントは残念な物を見るように僕を見つめていた。
当のシャルは話が進むごとにプルプルと震えだし、目をかっと見開くと、
「この変態!浮気者!シグムントラスターカノン!!」
と命からがら逃げることになった。
五人目、またもや女性フレイ。
「変態」
と一言呟くように言うと黄泉やラビ達を連れて去っていった。
立ち去り際に黄泉が
「頑張ってのりきるんだ」
と言ってくれたのが唯一の救いであった。
結論、『レベルを上げて理性という名の精神力をあげる』
つまるところこれしかなかった。
まあ十六夜ならいくら夜々に毒されても性格までは変わらないだろうと願うように信じるしかなかった。
そして発散して賢者のようになり悟りを開くということもありかなと考えながら覚悟を決めて帰っていった。