自動人形〈オートマトン〉と生きる第二の人生   作:寅好き

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流れ流れて本編突入

 清々しい朝を迎え、僕は手早く登校する準備を整え、十六夜と共に学院に向かった。

 チュンチュンという鳥の囀ずり、そして注がれる心地のよい朝日。

 隣を歩く十六夜の黒く長い美しい髪が朝日を浴びて煌めいている。まさに黒い宝石と言い換えることもできる。

 対して僕も、黒い髪を持ってはいるが朝日を浴びることはない。

 なぜか?コソコソしているからです。

 

「零夜はなぜそのように人目を避けるように登校しているのですか?」

 いつの間にか目の前に来ていた十六夜が首を傾げて問いかけてきた。

 息がかかりそうなほど間近にある可愛らしい容貌。

「………」

そのあまりの可愛らしさにじっと見つめるだけで答えることすらできないでいた。

 そんな時だった。

 

「見つけたわよ」

「!!」

甘い空間(僕だけが思っている)をドスが効いた声が切り裂いた。

 恐る恐る振り返ると、こちらにも朝日に照らされて輝く金髪を持ち、他を圧倒する美貌を持つシャルが見惚れるほどの笑顔を浮かべて立っていた。

 ただ、口元は笑っているが、目元はけっして笑っていなかった。

「見つけたわよ昨晩の無礼者。もう逃がさないわよ。昨日のあの魔術について詳しく話してもらうわよ」

どうやらシャルは昨日の『アストロン』について尋ねているようだった。

 そりゃあそうだろう、分解し消し去ることができない物はない森羅万象さえもねじ曲げるシグムントの『ラスターカノン』を防いだのだ、当然のことであろう。

「転生特典でもらいました!!」

なんて言える訳がない。

 例え言ったって信じるわけがない。

 ジリジリとどす黒いオーラを放ちながら笑顔で迫ってくるシャルを前に、僕は冷や汗ダラダラ、頭真っ白の思考停止間近であった。

 しかし、僕は答えの前に別のことに関心が向いていた。

 そして、言葉に出してしまった。

「あ、あの~、一つ聞いていいですか?」

「何かしら?」

「その、胸の大きさが左右で違うような…」

ブチッと何かが千切れるような音が聞こえたような気がした。

『ハァー……』

十六夜とシグムントの大きなため息が聞こえた。

「シグムント、ラスターカノン!!」

ハイライトが消えた瞳でシャルはいい放った。

 鳥の囀ずりはなくなり変わりに僕の断末魔が辺りに響き渡った。

 そんなこんなで僕は夜会のドップランカー〈十三人(ラウンズ)〉の一人〈君臨せし暴虐(タイラントレックス)〉に命を狙われることになってしまった。

 シャルから身を守りながら、数ヶ月経った。

 平和な一時など、自室しかなかった。

 しかしながら、大きな進歩が一つあった。

 学院の定期考察でかなりの高得点を叩き出したのだ。

 これはSSにありがちな【ご都合主義】では決してない。

 しっかりした理由があるのだ。

 その理由とは、僕が類いまれなる【ぼっち】だからだ。

 僕はおとなしく友達を率先して作れるような性格はしていなかった。

 転生したとはいえその生前の性格など変わるはずがないのである。

 この性格と〈君臨せし暴虐(タイラントレックス)〉に命を狙われているということが僕の【ぼっち】を加速させた。

 そりゃあ好き好んで命を危険にさらしたいやつなどいるはずはない。

まあ、そんなことは置いといて、十六夜は僕と一心同体だから置いといて、【ぼっち】というのはある意味【ストイック】を極めし者とも言える。

休み時間、昼休み、放課後と遊んだり、恋愛をするなどの我欲や煩悩を排し学問に全力を注ぐ。

 まさに【ストイック】【修験道】な【ぼっち】であったからこそメキメキと学力が上がり定期考察で高得点を残したのだ。

 隣で十六夜が慰めるように頭を撫でてくれている。

 僕はけっして悲しくて泣いているわけではない!

感動の涙を流しているのだ。

ということで、僕は『夜会』に向けてまた一歩前進した。

 この世は何かの犠牲なしに結果が得られることなどない!!とこの世界でもまた学ぶことになった。

 そして、また時が過ぎ、ついにこの世界の主人公『赤羽雷真』がこのヴァルプルギス王立機巧学院の門をくぐる日がやって来た。

 僕は表立って話に加わる気はないのだが、一度本物の『赤羽雷真』を間近で見ようと行動を起こした。

 『赤羽雷真』がシャルに喧嘩を売るところを隠れて見ようと思っていた。そう思っていただけなのに……。

 神は僕を恨んでいるのかと思えるほどに、ことごとく行動が裏目に働き、酷い巻き込まれ方をすることになった。

 気づいたら、シャルに喧嘩を売る10人の学院生の真っ只中に僕は立っていたのだ。

 ラノベの本編にはシャルを討とうとした10人の生徒がいた場所については深く書かれてはいなかった。

 それが問題であった。

 離れて影から見守るつもりだったのに、僕が立って見守っていたところが10人の学院生の群れの真っ只中であったのだ。

 そのまま10人の学院生が飛び出し僕も流れで戦場にIN

 

「もう嫌だーーー!!」

心からの叫びだが、そんなものが神に届くことはない。

あったとしてもあの転生させてくれた女性というか女神がニヤニヤしているところしか想像できない。

 いきなり巻き込まれ、僕はシャル、シグムントのコンビと赤羽雷真と夜々を相手することとなってしまった。

(この二人に勝ったら僕は十六夜と添い遂げるんだ)

なんて、現実逃避しながらも、なぜか少しワクワクする自分もいることに驚く僕であった。

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