ダンジョンにエルフを求めるのは間違ってるだろうか   作:遊真

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今回彼の過去の背景を出します。
もっと細かい話は物語が進むごとに出します。
次こそは、豊穣の女主人へ向かいます。


プロローグ
エピソードゼロ 【ユウマ・アルセルド】


ユウマ・アルセルドのことを彼という風に呼ぶことにしよう。

彼は生まれたのも迷宮都市オラリオ、育って来たのも迷宮都市オラリオ。どこにでもいる家庭に生まれ育ち、元気に育っていった。

 

そして物語は彼が17の時に動き出すが、彼が昔どんな環境で育っていったのか私は綴ろうと思う。

 

彼が5歳の頃。ダイダロス通りには彼がいた。彼らはダイダロス通りに住んでいるというわけではない。彼がここにいる理由としては、鍛錬という言葉に尽きるだろう。

 

「ック............ッはぁ............」

 

「それくらいで泣くな。さあ、立て!」

 

彼の父親は拳を構えると同時に、彼の父親は声を荒げた。

 

彼の父親の名はガリュ・アルセルド。【疾風迅雷(しっぷうじんらい)】呼ばれる。現在Lv.5。所属ファミリア【アストレア・ファミリア】

 

彼は立ち向かう気力もなく、初日の鍛錬は失敗に終わった。

 

ガリュははぁと自分の不甲斐なさにため息をつき、彼に帰るぞと告げた。

 

そして帰ると彼は母親に抱きつき、涙を出しながらわんわん泣いた。母親は優しく抱きしめ、よしよしと慰めてくれた。

 

******

 

「ユウマ!どこに行った!」

 

「あなた、きっと五歳のあの子には辛かったのよ。もうちょっと大きくなってからにしませんか?」

 

「だめだ。根性を叩き直すためにも、あいつは今育てる必要がある。ユウマ!」

 

ガリュはそのまま家を飛び出し、探しに行く。

 

今一番賑わってる都市と言われているオラリオで子供一人見つけるのは大変だろう。ただ彼はLv5の実力者、本気で探せば、1時間もかからない。ガリュは屋根から屋根へ飛び移り、探し始める。

 

彼の母親、ユーナ・アルセルドはその姿を心配そうに見ていた。

 

一方彼はというと、ダンジョンの目の前の広場にいた。彼も子供だ。逃げるには体力が足りなかったみたいだ。

 

ユウマの家はオラリオにあるがダイダロス通りに近い場所で、ダンジョンの広場まで結構距離がある。そしてここまで逃げたのはいいが、逃げ疲れて、広場の噴水で座っている。

 

その時、彼には大きな事件が起こる。

 

「これより、ダンジョン深層への遠征を始める!一班は僕が指揮をとる、ニ班はガレスが指揮をとる、合流は18階層だ。未到達領域47階層を目指す!みんな心してかかれ!」

 

『おう!!!!』

 

小人族(パルゥム)が大所帯の前で指揮をとっていた。彼はこの人を見て、感じとった。父さんより強いと。

 

ガリュは立派な冒険者で、いつも正義の味方と名の高い【アストレア・ファミリア】に入っているガリュが彼はとても誇らしく思っている。

 

けれどあの小人族(パルゥム)はガリュに持っていない何かを持っているのかと思った。それは何かわからないが、きっと【勇者】でいられるほどの強さを持っているんだと思った。

 

そんな【勇者】を見て、感情は高鳴らなかった。【勇者】を見たところで自分とは違うんだし、彼のようには絶対になれない。そのことがわかっていたから、ただの景色のように彼は見つめていた。

 

しかし彼の心を動かす人物がいた。それが、【リヴェリア・リヨス・アールヴ】彼は一瞬だけ、景色だった光景が景色じゃなくなった。

 

そう、彼は5歳の時に彼女に惚れた。その時は、心臓が高鳴った。つばを飲み込む時に、大きく喉を鳴らし、その人だけを見続けた。

 

「おいクソガキ、こんなところで何やってやがる」

 

「あ、父さん!あのな!さっき.......イデデデデデデデテッッッ!?」

 

ガリュはやっとの思いで見つけた彼の後頭部を掴み、軽々と持ち上げる。

 

「まあ、こんなもんにしといてやる、で訓練だが............「ねぇ、父さん!」............なんだ?」

 

「オレ強くなりたい!あの人を守れるくらい!」

 

彼が指をさしたのは、リヴェリア・リヨス・アールヴ。彼はリヴェリアよりも強くなって、彼女を守りたいとそう父親に宣言した。ガリュは呆れた顔をしながら、ため息をつき、言葉を告げた。

 

「彼女は俺をよりも強いぞ、俺を超えなければ話にはならないぞ?それでもお前は彼女を守りたいと願うのか?」

 

彼は曇りない笑顔で、すぐさま答える。

 

「うん!強くなって守ってみせる!」

 

「なら、俺と鍛錬して一緒に強くなろうな?守りたい女を見つけたのはいいことだ」

 

ガリュはフッと笑いながら手を伸ばし、彼の頭をくしゃくしゃと撫でた。くしゃくしゃと撫でた手をそのまま彼の左手を握りダイダロス通りに向かうのであった。

 

彼の恋心はいつまで続くのかガリュは心配であったが、ただ今は、父親と息子という感じがしてガリュは幸せを噛み締めていた。

 

******

 

「うわぁ、今日も可愛いなぁ」

 

彼は日課のように、【ロキ・ファミリア】の遠征が始まると見に行っていた。理由としては、それはもちろんリヴェリアを見るためである。

 

いつも鍛錬して、辛い思いを吹き飛ばしてくれるそんな存在がリヴェリアだった。大きな声で叫んだりはしなかったが、いつも噴水の上で、リヴェリアさんのことを心の中でずっと応援し続けていた。

 

彼女はいつも凛々しく、遠征の時は緊張しているファミリアの人にいつも声をかけ、緊張を和らげさせていた。それを見るたびにリヴェリアさんがいる【ロキ・ファミリア】に入れたらなんていいことだろうと、何度思ったことかわからない。

 

彼は【ロキ・ファミリア】遠征を見送ると、父さんがいるダイダロス通りに急いだ。

 

******

 

彼が12歳の時、彼の父親は死んだ。昨日まで、時間があれば鍛錬をしていたガリュが死んだ。

 

その現実に直面したのは、ユーナからの報告であった。ユーナはギルドからその報告を受け取った。その報告は、【アストレア・ファミリア】Lv3、二名。Lv4、八名。Lv5、一名死亡。そう書かれていた。

 

死因は怪物(モンスター)によるものだが、はっきりとした死因が書いていない。ユーナはギルドで話を聞く時は、流石に衝撃を受けていたが、泣きはしなかった。ユーナの中には消失感と絶望の中にズブズブと入っていく感覚がしていたのだろう。

 

家へ帰るとユーナは玄関で泣き崩れた。子供のようにわんわん泣いた、いつぞやの訓練初日後の彼のように。

 

そして彼はというと、彼は泣きはしなかった。もちろん悲しみは確かにあったのだろう、けれど冒険者が死ぬことなんてよくあることだし、よく知っていることだった。

 

いつか、父親も死ぬのではないのだろうかと思っていた。彼は怒りという感情の方が強かった。ダンジョンというのはなんなのかを考えるうちに、自然と怒りが湧いてきた。彼は父親を屠った怪物(モンスター)を殺してやりたいと改めて思った。

 

******

 

彼は父親が殺された後、父親の父親でもある。彼の祖父に剣を教えてもらっていた。拳で戦っていた彼からしたら剣なんて使ったことないから、びっくりするほど難しかったが、剣の使い方を17になる時まで祖父に剣の扱い方を教えてもらっていた。

 

 

そして彼が17歳になった頃、ファミリア探しを始めた。【アストレア・ファミリア】というのを最初は探したが、この都市から消えたと言われていて、見つけ出すことができなかった。

 

そして好きな人のいるファミリアに向かおうとしている時だった。彼と同じく門前払いを受けている、白い髪の人間(ヒューマン)がいた。いかにも弱々しくて、兎みたいな印象で、オラリオに今日来た人物なのか、ワタワタしていた印象があった。

 

「すっ、すみません!」

 

白い髪の人間(ヒューマン)は街中で歩いていると肩がぶつかり、謝っていた。ぶつかったのは悪い冒険者とも知らずに謝り、その場から歩いていた。彼は金を取られたなと、そう感じた。

 

なんだか彼から目を離せなくなり、彼についていくことにした。そして夜になり、宿に泊まるのか、宿屋に入っていくが、やっぱり金を取られたようで、渋々宿屋から出て来た。

 

「ど、どうしよぉ〜」

 

そんな弱々しい声で、頭を抱えていたヒューマンに彼は飛び出して行き、ヒューマンの前に出る。

 

「あのさ、よかったらうち来るか?」

 

「へ?あ、あなたは?」

 

「オレはユウマ・アルセルド、君は?」

 

「ぼ、僕はベル・クラネルです。あ、あのそれでうちに来るっていうのは?」

 

ベル・クラネルと名乗った少年は彼の差し伸ばされた、手を握り立ち上がる。彼はこのベルに愛着が湧いたのだろう。彼は想い人(リヴェリア)がいるが彼とはそんな感じではなく、ただ純粋に彼のことが気に入って、守ってやりたいというそんな感情が出てきた。

 

「で、でも見ず知らずの僕を家にあげるなんて、迷惑じゃないんですか?」

 

「まずオレが君をここに放置して来たら、オレが母親に怒られちゃうからさ、オレを助けると思ってさ。一緒に来てくれないか?」

 

「で、でも............」

 

「あぁ〜もう!優柔不断な人は女の子から嫌われちゃうぞ!」

 

「ッ!?い、いきます!行かせてもらえませんか!」

 

ベルは女の子から嫌われちゃうぞという単語を聞いたら、ベルはすぐさま、返答してくれた。彼とベルは一緒に歩きながら、自身のことを話していった。

 

彼の父親のことや、過去のことまで話すなんて彼は思ってなかったが気が緩んで話してしまっていた。ベルは真面目な子だ。彼の長い話も真剣に聞いてくれる。時には、彼と想い人のことを話すと目を輝かせて聞いていた。

 

幸いなことに今日は母親は夜勤に出ている、家についても、明かりは付いておらず、ベルと二人きりで過ごした。自分の部屋に、布団を二枚ひいて、ベルと一緒に今日は過ごす。

 

ベルの話も聞いた、生まれた時から両親がおらず、代わりに変なことを教える祖父と暮らしたという。そんな話を聞きながら、彼とベルは一緒に笑いあっていた。

 

「ねぇ、ユウマさん」

 

「ユウマでいいよ、オレの方が年上だけどあんまり気にしなくていいよ」

 

「な、ならユウマ。ねぇ、よ、よかったらだけどさ。僕と同じファミリアに入らない?」

 

ベルは恥ずかしいのか、少し顔を赤くしながら彼に尋ねた。彼は素っ頓狂な顔をしながら、答えた。

 

「え?何言ってんの?オレ、もうベルと同じファミリアに入るつもりだったけど」

 

「え!?そうなの!?結構これ言うの恥ずかしかったのに............ユウマは僕の最初の友達だからさ、ユウマと一緒に冒険者になれたらいいなぁなんて思ってたんだ」

 

「オレも同じ気持ちだったよ」

 

彼とベルは少しだけ見つめあって、耐えきれなくなって、笑いだす。彼は想い人と最高の友達を冒険をする前に見つけた。

 

さあ、これで私からのお話はおしまい。ユウマ・アルセルドの過去はこんな風に彩られている。これから彼とベルはオラリオで大きな存在へと動きだす。さあ、始めよう。

 

これは少年達が歩み、女神が記す。

———【眷族の物語(ファミリア・ミィス)】———

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