【最初の冒険】
「お願いです、僕たちをファミリアに入れてください!」
「お前らみたいなひよっこはうちのファミリアに必要ねぇなぁ、ガハハハハ!!」
三日月が浮かぶ夜、二人の少年があるファミリアの前で交渉する。だがその言葉は神には通らなかった。二人の少年は三日もファミリアを探し、歩き回っている。
この最大都市オラリオにはファミリアがいくつか存在するが、この三日間探し回るが、どこも
「はぁ、今日もダメかぁ」
「そんな落ち込むなってベル。いつかオレらの魅力に気づいて家族にしてくれるファミリアがあるって」
はぁ、と落ち込む少年ベルに一人の少年がポンポンと肩を叩く。
ベル・クラネルこの少年はダンジョンに出会いを求めて、オラリオにやってきた少年。
「けどこんなにこの街が広いなんて思わなかったよ。ユウマはここに住んでるからわからないと思うけど」
「まあな、生まれた時からこの街にいたしなこの街はそこそこ詳しいからファミリアにすんなりと入れると思ったら全くそんなことなかったな」
夜道を歩きながらベルとユウマは喋り出す。
ベルとユウマが出会ったのは四日前、ベルがこの都市に着いたばかりのこと、ベルが財布を冒険者から盗まれてしまい、それを見ていたユウマが拾って、今ユウマの家に住まわせてあげてるのだ。
「ユウマでもほんとにいいの?一緒に住ませてもらってるけど迷惑じゃない?」
「迷惑じゃねぇよ。むしろ母さんが喜んでるだろ。『息子が二人になったわ!』なんて言ってるし」
ユウマはオラリオに二人暮らし、母親と息子のユウマだけの二人暮らしだ。父親は昔冒険者だったらしいが、今はもういない。冒険者として消えていった。
ユウマは父親のことを思い返し、拳に力が入る。ユウマは物心ついた時から拳を握っていた。父親に鍛えられていたのだ。いつも父親が言っていたことがある。
「もし俺がいなくなったら、お前が母さんを守ってやってくれ、母さんに寂しい思いをさせるなよ?」
この言葉はいつもユウマの脳裏の片隅に残っていた。
「ユウマ?」
心配そうにベルはユウマの顔を覗き込んでくる。
「あぁ、大丈夫だ。そろそろ帰ろうか」
「うん」
帰宅するのに歩いて15分くらいの場所にユウマとベルはいる。ベルと一緒に歩いて帰ろうとユウマは顔を上げる、何かしらの違和感がユウマは感じ後ろを振り向く、目に入ったのは偶然だった。
ユウマの母親がバベルの塔に向かってフラフラ、右左に大きく揺れながら歩いている。歩き方が普通じゃない。まるで何かに取り憑かれてるようだった。
ユウマはなぜか心臓の音が強くなった。まるで心臓がユウマの体内から出てくるような錯覚までしていた。呼吸が、荒くなり、過呼吸になっていく。ユウマは突然の過呼吸にうずくまってしまう。
「ユウマ!?大丈夫!?」
ベルがユウマの背中をさすってくれたおかげなのかだんだん呼吸ができるようになる。
「............うっ!?............ッッ!..........はぁ...はぁ」
「ユウマ!」
「だ、大丈夫だ。問題ない」
「ユウマ体調悪いの?なんなら僕がおぶってあげようか?」
ユウマは立ち上がり、拳をぎゅっと握りしめた。
「お前の方が身長低いだろ!ちょっと気になることがある。先に帰っててくれ!!」
ユウマは荒い呼吸を整え、一気に走り出す。何か嫌な予感が、ぐるぐるとユウマの体内で渦巻いていた。
******
ダンジョン
金稼ぎをするならダンジョンが一番手っ取り早い。
オレが母さんに追いつく前に、地下にあるダンジョンに潜ってしまっていた。「おい!母さん!」と叫んでいるがその言葉に返事はなく、そのまま、ダンジョン潜ってしまった。
「見つけた!おい!母さん!」
母さんは奥のルームで、動きを止めていた。一目散にこのダンジョンから出たい。オレだけならまだしも、母さんもいる。しかもオレも母さんも恩恵を持っていない。
オレは母さんを揺らしてみるが、反応はない。オレは大きな声で呼びかけ、揺さぶるすると突然、目を覚ました。
「............ここは?家?」
「何やってんだよ!ここダンジョンだぞ!何考えてるんだ!」
「ダン、ジョン?ユウマ?私は何を」
「事情は後で聞く、母さんとりあえずここから早く出よう」
オレが手を引っ張り、奥のルームから出ようとする。するとそれをさせないとばかりか、ダンジョンに亀裂が入る。ビキビキと音を立てて、
そう、これがダンジョンの恐ろしさだと、オレは身に染みてわかることになるだろうと、理解することができた。オレは背中に背負っている形見の剣を握りしめて、生き抜くことを決意した。
******
「ッア!............はぁ............はぁ............」
「ユウマ!もうやめて!私を置いて逃げて!!」
身体が灼熱の炎で包まれているかのように、燃えている。身体から汗がぶわぁと吹き出し、視界を曇らせる。背中も腹も腕もそして顔までが血を流し、顔は苦痛に苦しんでいた。
母親は叫んでいた。ユウマからの返答はない。彼には母親を見捨てて逃げるという、選択肢は存在しない。なので彼は眼前の敵だけを見据えていた。彼の背中には母親がいて、後退することは許されない。
数は半分といったところだろうか、だがここまで本気で戦って半分も残っている。まだユウマは諦めてはいないが、どの冒険者が見ても口を揃えていうだろう。
「あぁ、またダンジョンで死ぬのか」
「くそったれ!はぁぁあああああ!!」
力を振り絞り迫ってくるゴブリンをなぎ倒す、余力は残されてないため、技も何もない、ただの素人が剣を振ってるだけ。
後ろから横から、それだけではない上からも攻めてくる。
これがダンジョンか、ユウマの父親死んだダンジョンか、ユウマの父親はいつからだろうか、いつものように行ってきますを聞いてダンジョンに行き、帰ってこなかった。ただそれだけ。母親がギルドに行くと死んだという。たったそれだけ、それだけの人生でしかなかった。彼の父親は冒険をして死んだのだ。
ゴブリンを切る、斬る、キル!殺す!屠りまくる!ゴブリンが消えていく、致命傷だけは防ぎ、切る、腕が切り刻まれても、斬る、足が削がれても、キル、内臓が出そうなくらいの一撃を食らっても、殺す。ユウマの戦い方は簡単に言えば、
だが数が多い、だんだんユウマの
「ッッガ............!」
「ユウマ!!!」
肺に入っていた少ない空気が全ていきなり全て出ていく。
母親が近寄り、血だらけのユウマを抱き寄せる。
「お願い目を開けて!ユウマ!」
もうまぶたも開けられないくらい、余力は残っていたない。もう死を悟りうっすら微笑みながら、幕を終えようとしていた。
「あぁ、ごめんなさい母さん、オレはあなたを守ることができなかった。もっと強くなって、あなたを守っていきたかった。ごめんなさい。ごめん、父さん」
母親が叫んでいるのが聞こえる。暖かい何かがユウマの頬につたっていく。
「もし俺がいなくなったら、お前が母さんを守ってやってくれ、母さんに寂しい思いをさせるなよ?」
わかってるよ、わかってんだよ!そんなことは!お前は!なんでそんな言葉をオレに残したんだよ!もう辛いんだよ!
「一回地獄を見ただけでか?」
あぁそうさ!地獄は一回見れば十分だ!その一回も耐えきれなかったんだよオレは!もう寝かせてくれ............
「オレの息子はそんな弱くないだろ?お前はオレの息子だろ?」
「くそったれが、まだ終われねぇ、まだ死ねねぇ!オレには守るものがある!約束があるんだあああああああッッ!!」
立った、彼は立った。剣を握り、不屈の闘志を燃やし、立ち上がる。
正面から襲いかかってくるゴブリンを下からの斬りあげで屠る。彼は窮地だから使える祖父から嫌という程教わった技をそして父親から教わった戦い方も混ぜることにした。ゴブリンの血を剣を振り、払い落とす。
「こいよ、虫。今度はオレが狩る番だな」
斬りあげ、回し蹴り、渾身の拳の一撃、回転斬り。頭をフルスロットル回転させ、最善手を打ちまくる。彼は剣を使うよりも、拳の方が得意だった。剣は一本、右手に持てば左手が余る。その左手で恩恵がないため屠るまでとはいかないがノックバックさせることができる。足もある、頭もある。身体で全て使えるのもは全て使う。それがオレの流の戦い方だった。
「ぐぉぉおおおおおおおおおああッッ!!!!」
屠る。屠りまくる。頭は冷静だが、ショート寸前。口から炎が出るのではないかと錯覚させる。彼の戦いはもうすぐ幕を閉じる。
******
「..................マ!............ュウマ!......ユウマ!」
起きると知らない天井。な訳ないか。オレの家だ。
「お母さん!ユウマが起きました!」なんて声を聞きながら、オレは体を起こす。
まだフラフラするがあれだけ傷ついていた。傷がふさがっていた。ポーションか、うちにあるポーションがいくつかなくなっていた。きっと母さんが使ったのだろう。
「ユウマ!よかった!本当に良かった!!ごめんなさい............ごめんなさい............あなたに辛い思いをさせてしまってごめんなさい............」
母さんが涙を流しながら、オレに抱きついてくる。何度も何度もごめんなさいと謝っていた。オレは照れくさかったのか、体はそのままに、言葉は震えていた。
「............すまなかった。素直に謝る。母さん、ベルすまなかった」
オレは視線を落としながら、母さんとベルに深く謝罪する。涙が出そうだった。母さんの鳴き声と、ベルの泣きそうな顔を見るだけで、涙が出そうな上に、心が痛かった。
母さんから話を聞くと、オレと母さんダンジョンに入ってから三日は経っていた。オレは意識はないが、
母さんがダンジョンに入ったことは覚えていないという、そしてオレにあったあの悪寒はなんなのかも、原因は不明だった。考えても答えは出なさそうだった。
母親は「ユウマが目を覚まさなかったらどうしよう!」といつも暇があったら泣いていたそうだ。
そんな話を聞いてますます反省したオレはすまん、すまんと謝りながら聞いていた。オレがこれからすることはベルとオレのファミリア探しだったが、オレにもう一度冒険ができるのか?とそう思ってしまった。
トラウマを植え付けられたわけではなかった。ただ単純に、オレがダンジョンに戻れば、母さんやベルが悲しむのではないかと思ってしまっている。
母さんはわんわん泣いていたことをいつの間にかやめていて、涙を拭いて立ち上がっていた。
「本当に良かった。............さぁ!ご飯にしちゃいましょ!ほらほら三日も私のご飯を食べてなかったんでしょ?ユウマが好きなカルボナーラよ!ささっ!ベルもユウマも食べましょ!」
母さんはリビングに向かって歩いていく、オレの中に何かあったかいものが渦巻いていく、そしてそれを教えてくれるかのようにオレに手が伸びてくる。
「ユウマ!次はさ、ユウマだけじゃなくて、僕も連れて行ってね!」
「ベル、オレはさ、今不安なんだよ、ベルを悲しませて、ましてや、最後は母さんを守らずに死のうとしてた。そんなオレがこれからやっていけるの...........」
ベルが笑顔でオレの言葉を遮る。
「僕はさ、生まれた頃から両親がいなくて、小さい頃から祖父に育てられてたんだ。おじいちゃんがいつも言ってたんだ。『ベル、
「僕はね、英雄になりたい。って最初は思ってたんだ。けどね僕気づいたんだ。ユウマが起きない三日間。僕はユウマと一緒に英雄になりたいんだって。だからさ、ユウマ、僕と一緒に冒険してくれないかな?」
あぁ、なんて愛くるしいだろう。目頭が熱くなっていく、オレはベルと出会わなかったら、救いがなかったらきっとここで冒険はやめていただろう。けど今のオレには
「あぁ、オレと一緒に冒険してくれないか?」
オレとベルの冒険はここから始まる。
どうでしたでしょうか?
こんな感じで続けていきます。次回は更新がもしかしたら遅れるかもしれませんが、許してください。
ユウマとベルとの出会いはどこかしらのエピソードゼロで書きます。お待ちを
ではまた次回お会いしましょう。
【追伸】
大幅に書き直しをしました。