ダンジョンにエルフを求めるのは間違ってるだろうか   作:遊真

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【もっと強くなりたい】

「ベルくん!ユウマくん!お帰り〜!!」

 

オレ達がホームに戻ると、ヘスティア様はオレとベルに抱きつき、オレ達の帰りを祝福した。

 

「ただいまです神様」

「ただいま帰りました」

 

「大丈夫かい?怪我とかしてないかい?ボクは君たちに死なれてしまったら悲しむよ」

 

オレの体をベタベタ触り、怪我のチェックが入る。オレの体には今日もらったお金と背中につけている剣しかない。怪我も少しはしているが、そこまで痛くない。耐久上がったならいいだろうと思いながらヘスティア様のチェックを受ける。

 

「ベルはミノタウロスに殺されかけて、血だらけになったけどな」

 

「え!?大丈夫なのかい!?」

 

ヘスティア様のチェックがオレからベルに移行される。オレはフッと息を吐き、台所をかりる。今日の料理の魚料理考えながら今日買った食材を台所に出す。

 

「あ、ユウマくん。ご飯作る前にステイタス更新しようか」

 

「あ、はい」

 

オレは一時中断して、ヘスティア様の寝室へ向かう。ベルも寝室にある椅子に座り終始ニコニコしていた。あーヴァレンさんと会ってテンション高いのか。

 

「さあ、今日はどっちからにする?」

 

「ベルからでいいですよ、オレやっぱりベル更新してる間になんか作っときますね」

 

オレはそのままキッチンに向かい料理を始める。あぁ、魚が少し焦げてる。この焦げてるやつはヘスティア様の分にしよう。

 

******

 

「ほい、ステイタス更新終わり。じゃあ次ユウマくんの番だよ〜」

 

「ほーい、今行きますよーっと」

 

オレは一通り料理し終わったものを皿に並べようとしたが、時間が足りず断念。はぁとため息ついているベルにバトンタッチしてあとは任せる。

 

「更新させながら聞いてくれるかい?」

 

「あ、はい」

 

ベットに寝転がり、ヘスティア様は自分の指に針を刺し、滲み出るその血を、そっとオレに滴り落とす。

皮膚に落ちた血は波紋を広げ、オレの背中に染み込まさせる。

 

ヘスティア様はオレに一枚の紙を渡してくる。ベルのステイタスだ。

 

「君にだから見せるよ、ちょっと見てくれないか?」

 

ベル・クラネル

Lv.1

力 : I 82 耐久: I 13 器用 : I 96 敏捷 : H 172 魔力 I : 0

《魔法》

【】

《スキル》

憧憬一途(リアリスフレーゼ)

・早熟する。

懸想(おもい)が続く限り効果持続。

懸想(おもい)の丈により効果向上。

 

「え!?これって!」

 

「しぃぃぃぃ!声が大きいよ!」

 

「す、すいません」

 

慌てて口を押さえて、謝る。これってあのヴァレンさんと会ったからだよね?運命的な出会いをしたから発現したとかかな?

 

「ベルくんがボクの手以外で変わってしまったなんて悲しいよ!君はボクの手以外で変わらないよね?なあ!ユウマくん!」

 

「ち、近いですよ。ヘスティア様」

 

グインと顔を近づけ、オレによく見せてくる。ちょっと怖いよこの人。愛が重いのかな?いや子供達に向ける愛が重い神とかいるらしいし、ほら【アポロン・ファミリア】とか有名だし。

 

「ほら、君のも終わったぜ?まあ、君のステイタスも駆け出しの癖なのに化け物だけどね〜」

 

ヘスティア様はオレに共通語(コイネー)に書き換えてある用紙を受け取る。

 

ユウマ・アルセルド

Lv.1

力 : H 187→G 201 耐久: H 120→H 145 器用 : G 243→F 300 敏捷 : H 199→G 229 魔力 I : 0

《魔法》

【】

《スキル》

大切守護(ライカルムノーヴェ)

・守りたい思いが強ければ強いほど早熟する。

・守りたい思いが続く限り効果持続。

・絶望から立ち上がる時、超効果向上。

 

オレの【ステイタス】普通の冒険者からしたらすごい成長速度だな。懸想(おもい)を心の奥底から強く、思ってるけど、これがオレの成長速度の限界みたいだな。

 

他の人よりも成長速度は速く上がってるはずだから、文句は言えない。3つ目にある、絶望から立ち上がると『超』効果向上ってところがベルとは違うみたいだな。絶望から立ち上がると、これよりも成長速度上がるのかと思うと、ドキドキしてしまった。

 

「ふふん、どうだ君はボクの偉大な話を聞いてから発現した超レアスキルだぞ!ユウマくん、そんなにボクのことが好きだったのかいぃ?」

 

ヘスティア様はふふんとオレをからかうように、言ってきた。

 

「うーん、はい好きですよ」

 

「なんだいなんだい!君もベルくんもひどいや!ボクがこんなに愛してやまないというのに!」

 

ヘスティア様はプンプン怒りながら、リビングに向かっていく。

確かにこのスキルはヘスティア様の眷属になった時に発現したものだが、別にヘスティア様は関係ないような............。

 

まあ、この『スキル』のおかげでなかなか早い成長速度で上がって行く。一人では少しきついが、オレには戦い方の技術があるので、7階層くらいなら一人でも余裕で帰ってこれるレベルに成長した。

 

オレは自分のステイタスを見ながら、ベルのステイタスと見比べる。【憧憬一途(リアリスフレーゼ)】か【守護大切(ライカルムノーヴェ)】どっちが上か勝負だな、ベル。

 

ヘスティア様が「うわああああ!!どうしてボクの魚だけ焦げてるんだああああっ!?」と叫んだのはまた別の話。

 

******

 

「ほらベル、コボルトが出たぞ。勝ってさっさと魔石集めんぞ」

 

「む、無茶言わないでよおおおおおっ!?」

 

『『『『『『ガアアアッ!』』』』』』

 

次の日ダンジョンでオレたちは一階層にいた。今回はミノタウロスの残党がいるかもしれないのでベルの特訓ついでに、一緒にいる。

 

ベルは遭遇(エンカウント)したコボルト六匹に追いかけられるはめになっていた。ダンジョンは迷路闇雲に動くと迷うこともある。なのでベルがコボルトに追われてる後ろにオレも距離を取り追いかけていた、二股道、十字路、緩やかな下り坂をベルは腕を大きく振って逃げている。

 

「おーい、逃げてるばっかじゃ強くなれないぞ、アイズ・ヴァレンシュタインさんに嫌われちゃうぞ」

 

ベルの肩が逃げながらもピクリと動く、ベルは何か決めたようにその場で止まる。おいおい、そんなところで止まるとコボルトにやられるぞ。

そしてベルはコボルトの体当たり攻撃を真正面から受けた。

 

「グッッ!?」

 

「ベル!!」

 

ベルはくの字に曲がり、大きく吹っ飛んでいく。ベルはすぐさま立ち上がり、自分の持っている小振りの短刀を取り出す。

 

ベルがやけになって正面から立ち向かうのかと思い、オレは愛剣を取り出しコボルトに斬りかかろうとする。オレはやけになると危ないということを経験していた。このままじゃベルが危ないと思いオレの危機能力が発動した行動だ。

 

「ユウマ、手を出さないで」

 

「ッ!?」

 

オレは攻撃しようとした手を止め一歩下がる。ベルの真剣な眼差しを見てオレは、あぁ、ベルは男してるなって少し笑ってしまった。この戦いをオレはゆっくりと見守ろう。

 

******

 

僕はユウマの戦いを何回も見ている。どんな時も冷静でいることそれが戦闘のコツだと彼は言っていた。頭は冷静に、身体は剣のように。

小振りのナイフを右手に装備しコボルトが来るのを構える。まず1匹仕留める!

 

「はあああああっっ!!」

 

『キャウン!?』

 

僕の特攻で、コボルト心臓に僕のナイフが刺さる、そのままナイフを引っこ抜き、コボルトの死骸を投げつける。怪物(モンスター)は死滅した後黒い煙となって消える。だけど数秒間だけは死滅しても、原型をとどめる。そのあと数秒後に、煙となって消える。僕はその目くらましにコボルトを使い、黒い煙で一瞬動揺したところで、追撃をかける。

 

******

 

「ベル、どんな武器にもメリットとデメリットがある」

 

「うん、それはなんとなくわかる」

 

僕はコボルトと遭遇(エンカウント)する前に、ユウマに指導してもらっていた。ユウマは自分のナイフを取り出し、目の前にゴブリンをターゲットにした。

 

「いいか?まずナイフのメリットは............フッッッ!!」

 

『ギィヤァァ!?』

 

ユウマは敏捷に任せてゴブリンに突撃する。ゴブリンはユウマの敏捷に反応できずに首を刈り取られる。ゴブリンの首が飛んで、そのままごろっと首が転がり、魔石を残して消える。

 

「敏捷を丸々使えることだ」

 

自分のナイフを上に投げ、キャッチする。僕はユウマの言ってることが理解できなかった。

 

「えっと、つまりどういうこと?」

 

「大剣とかハンマーとか、ましてや剣だって重さというものがある。しかしナイフには重さがないっていうのがメリットだな」

 

「うん、なるほどね」

 

ユウマは後ろいたゴブリンを僕に説明しながら上へ飛び、後ろ回し蹴り、そのままナイフを投擲、心臓にあたってゴブリンは死滅。

 

「あとは神様用語でいうならトリッキーな動き方ができるかな」

 

「とりっきー?」

 

「あぁ、今みたいに、投擲をしたり、斬りかかると見せかけて殴るとかな」

 

「うーん、僕にはまだできそうにないなぁ」

 

ユウマの動きはすごい動きが多い、初心者の僕にもわかるくらいのすごい動きが、けどユウマはその動きを何年も鍛錬してきたからできるもので僕が半月で覚えるなんて無理難題な気がする。

それを顔で察知したのか、ユウマはフッと唇をあげて笑う。

 

「大丈夫だ、オレが一応教えてやるから技術的なことは」

 

「うん!ありがとうユウマ!」

 

「お礼はいいから、ほら次はデメリットの話だ」

 

ユウマはナイフを刃の部分を体の逆に出し右手の五本指で強く握る。そのまま風を切る音がして右から左に流す。これがデメリット?ナイフが早かったからデメリットとは思えないんだけど。

 

「リーチが短い」

 

ユウマは自分の愛剣を取り出し比較を出してくれる。たしかに武器としては一番リーチが短いと言える。

 

「そっか!だから相手の懐に入らないといけないってわけだね?」

 

「そう、リーチが短いから相手が大剣ならリーチで圧倒的に負ける。だから相手の懐に入って攻撃しないといけない」

 

「そう言われると、ナイフって不利なのかな?」

 

僕は少し不安でユウマに聞いてみる。リーチが短いから相手の初撃を食らう可能性が高いということ。それを躱して相手の懐に潜り込めるかどうかと聞かれれば、答えは無理と答える。

 

僕は自分のナイフ見つめて、シュッ、シュッと右から左へ、左から右へ動かす。

 

「まあそれを補うのが、『技と駆け引き』ってやつなんだがそれはまた今度な、ほら怪物(モンスター)来たぞ」

 

僕はナイフをギュと握りしめて、コボルトと向き合う。

 

******

 

「フッッ!!」

 

『『キャインッ!?』』

 

黒い煙で動揺した、コボルトたち2匹を同時に首を裂く。

この武器はリーチが短いなら、これでどうだ!

 

「だあああっ!!」

 

『ブボォッ!?』

 

僕はそのままナイフを飛びかかって来た、コボルトの心臓めがけて投擲するが、うまく当たるはずもなく、顔にあたり、転がってゆく。まずい、武器がない。ユウマは助けてはくれない。そんな甘えは僕が許さないからだ。

 

『ギャオオオ!!』

 

コボルトがここぞとばかりに攻めてくる。あと三匹倒せば僕の勝ちだ、ナイフを取りに行く時間もない、しかも三匹同時に攻めて来てるから狭い通路であるこの道で、通り抜けることはできない。なら僕がとる行動は!!

 

「うおおおおおおおッッ!!」

 

「ベル!?」

 

襲いかかってくるコボルトは僕に向けて飛びかかってくる、けれど僕はコボルトよりも高く舞い上がる。

 

『キャウンッ!?』

 

そのまま飛び蹴りを脳天にかます、自分でもわかる弱点攻撃(クリーンヒット)したのがわかり、煙となって消える。そのまま落ちてるナイフを素早く拾い、ナイフで斬り上げ、腹部を裂いて、死滅。残り一匹。

 

『グルルルルルル!!』

 

距離は遠い、なら投擲!

 

『キャウンッ!?』

 

額に刺さり、黒い煙となって消えていく。魔石が落ち、その横で腰が抜け、ぺたりと座り込む。

 

「か、勝てたぁ.......」

 

「カッコよかったぜ!ベル!」

 

ユウマは親指をグッとあげて、僕を褒めてくれる。ここまでの意地は僕にとっても初めてで、負けたくないって気持ちがたくさん芽生えた。

 

「ありがと、ユウマ僕なんか成長できた気がするよ」

 

「そうか、なら」

 

ユウマはそこまで言うとグッとあげていた親指を自分の後ろの方にさし、クイッ、クイッと前後させた。僕は頭を左にずらし奥を覗く。

 

「オレが引き連れてきた、ゴブリンもよろしくな!後は任せたぞ!ざっと見た感じ十五匹ぐらいあるからよろしくな!」

 

「ちょっとおおおおおおおお!?」

 

僕の戦いはまだ終わらないみたいだ。




豊穣の女主人のところまで書くつもりでしたが、文字数により断念、次回もまた見てください。
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