ダンジョンにエルフを求めるのは間違ってるだろうか   作:遊真

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【魔法発現】

「彼は一体何者なんだい?」

 

小人族(パルゥム)の英雄フィンはつぶやく。【ロキ・ファミリア】はリヴェリアを置いてホームへ帰還している。いつものように馬鹿騒ぎしているファミリアが静まり、先ほどの戦いを皆考えていた。

 

「んー、よくわからないけど、強かったね!」

 

「そうね、確かに私たちよりはLvは下だけど、彼には技があったわね。ま!団長には及ばないけど!」

 

「うん、強かった」

 

ティオナ・ヒリュテ、ティオネ・ヒリュテ、アイズ・ヴァレンシュタインが答える。ティオナは先ほどの戦いを見て興奮しながら、ティオネは若干興奮しながら答える。

 

アイズはというと、先ほどの白い髪をして、少ししか見えなかったが、確かにあの服を着た冒険者を助けた覚えがあった。その子をアイズのせいではないが、アイズは責任を感じずにはいられなかった。そのためアイズはとてもなんとも言えない感情に包まれていた。

 

「彼は推定するにLv.1?いやLv.2なのかな?ンー...........それよりもあの技は僕もどこかで見たことが..........」

 

「団長、あんな戦い方をする人見たことあるんですか?」

 

あんな武術を大きく知っていて、危機感知能力も高い。そんな人物がもう一人見たことあるなんて、ティオネは思えなかった。

 

「ンー確かいたような気がする。実際には見たことないけど、噂程度で聞いた気が............」

 

フィンは手を顎にやり、考えていた。

 

「あの子さ!ベート相手なのに頑張ってたよね!」

 

「うん、一歩も引いてなかった」

 

ティオナは先ほどの戦いを思い出し、うわぁとなぜか歓喜している。確かにベートはオラリオにいる冒険者の中でもトップ中のトップ、その彼に喧嘩を売って、三分も戦えたことはすごい奇跡的なことだ。

 

もちろんベートが最初から本気を出し、殺す気でかかれば三分ではなく三秒でケリがついただろう。ベートは酒が入ってるとしても、闘いと戦いの区別くらいはついている。

 

彼はベートに黒い髪を振り乱し、少年から青年へ成長も間近といったくらいの顔で、碧色(タンザナイト)の瞳を輝かせ、強者に立ち向かっていた。

 

「確かあんな子、神会(デナトゥス)で見たことないわ、もしかしたらアイズたんより、ランクアップしとんのか?いやいや、そんなことありえへん!うちのアイズたんが一番やああああっ!!」

 

あの一部始終を見たロキが小さい声で、わなわなと震えながら答えていだが、だんだん不安を押しつけるように大きな声で喋り出す。そして「アイズたーーーん!」と言って飛びつくが、「ぶへぼぉ!」と声とともに倒れていく。

 

「彼は強くなりそうかい?アイズ」

 

「うん、きっと強くなる」

 

アイズはロキを吹っ飛ばした後、リヴェリアに連れていかれた、青年を思い浮かべる。そしてそのイメージは消え、先ほど傷つけてしまった。深紅(ルベライト)の少年を思い出す。

 

(私も勇気を持って謝らないと)

 

青年とベートとの戦いは、アイズに勇気を与えた。満月が輝き、アイズの腰までまっすぐ伸びる金髪と金色の瞳がより輝く。

 

******

 

いま、オレは夢で怖いなにかに追われていた。

夢と認識できたのは、そう感じ取れたとしかいえない。

 

その怖いものとは黒くて、禍々しいオーラを放ち、そいつは禍々しいオーラに覆われていて、輪郭すらわからない。けれどそいつは、オレよりも大きく、オレなんて息をフッと吹いただけで消し飛ぶほどの存在。それを見た時、オレは人類が倒すべき存在である黒龍をオレは思い出す。

 

オレは恐怖でおかしくなりそうだった。夢でも怖いものは怖い。もしこれが現実で起きていたら、オレは気絶していたかもしれない。それくらい恐ろしいものだった。

 

もしかしたら、今後の未来こんな奴と闘うのかもしれない。オレは恐怖に耐えきれず走り出す。その漆黒のオーラを放つ存在は『ウォオオオオオオオオオオッッ!!』と雄叫びを轟かせる。

 

******

 

————————走る。

自分が■■■■に食われないように、

 

————————速く。

自分が■■■■に追いつかれないために、

 

————————強い一撃を。

自分が■■■■をいつか殺すために、

 

————————もっと強く。

憧憬に近づくために、憧憬に追いつくために、

 

————ならば、貴様は強くなりたいか?————

強くなりたい、もっと強くなって大切な人を守りたい。

 

—————どんな風に強くなりたい?—————

今の自分より速く、今の自分より一撃を強く。

 

————そうか、なら強くならなくてな————

ああ、もっと強くなりたい。

 

————さあ、時間だ。目を覚ませ————

 

******

 

「おわっ、ぷっ!?」

 

オレが勢いよく起きると、オレの顔には柔らかい何かがあった。なんだこれ?と思いながら手で触ってみる。柔らかい何かと言うしかないような............

 

「たわけ!」

 

「ぶべっ!?」

 

そんな罵声と頭に感じた衝撃と共に目がさめる。オレの眼前にはエメラルドのとても綺麗な髪をして、とても整った王族(ハイエルフ)がオレの瞳を見つめていた。その人は眉間にしわを寄せて、少し怒っているようだった。

 

オレはだんだん意識がはっきりしてきて、オレが今何をしたのかはっきり理解した、オレの顔が羞恥の顔に染まっていくのがわかった。

 

「リリリリリリリヴェリア・リヨス・アールヴさんっっっ!?」

 

「大声で叫ぶな、耳が痛くなる」

 

「す、すいません」

 

アールヴさんは顳顬(こめかみ)を抑え、ふぅ、と息をついていた。多分この状況を整理するに、まずオレが今どんな状態であるのか、うん。アールヴさんに膝枕されてるね。

 

「うぁああああああああああ!!」

 

オレはすぐさま立ち上がり、頭を下げる。「すいませんでしたあああああ!!」という言葉を添えて。

 

「もういい、私が好意的にやったことだしな」

 

アールヴさんは立ち上がり、疲れていたのか、首をぐるっと回す。オレは状況を把握しようと、周りを見渡す。場所はオラリオということは間違いない、オラリオのどこにいるかというと、ダンジョンに最も近い噴水広場の奥にある、草むらにオレはいた。

 

オレもオラリオに住んでいるからここがどんな場所であるか知っていた。オレも父さんの修行をサボっていた時によく隠れていた場所で、ほとんどの人がこの場所の存在を知らない。

 

「あの、アールヴさん。ここって」

 

「ああ、アイズがよく私の講習をサボろうとした時によく隠れていた場所だ、あの頃のアイズは言うことを聞かなかったからな」

 

ヴァレンさんもよくここに隠れていたのか、確かオレも小さい頃に「どこに行った!」という声に怯えていた子供がいた気がしなくもないが。

 

オレは「あははっ」、と苦笑いしながら辺りを見渡す。時間はもうすぐ日の出という時間だ。ってことはオレ3時間くらいアールヴさんの太ももに!そう考えるとオレは顔をまた真っ赤にしていた。

 

「あの、ところでなぜアールヴさんがオレなんかを看病してたんですか?」

 

「なに、私が招いたというのは違うが、私をかばって怪我をしたんだ。私が看病するのは当然だろう」

 

そうだオレは怪我をしたんだ。オレは背中に大きくぶつかってできた大きな傷を手を後ろに回し、ペタペタと触りだす、痛みはない、傷も無くなっていた。それを見たアールヴさんはフッと笑っていた。

 

「私が治したに決まっているだろ」

 

「あ、そうですよね。アールヴさんですもんね」

 

「あとは、貴様のことが気になっていたというのも滞在理由になるな」

 

「えっ!?」

 

オレはその言葉を聞いた途端、脳の機能が停止した。

 

「貴様のことはよく知っている。小さい頃から遠征の時私のことを見ていただろ?」

 

「えっ!?なんで知ってるんですかっ!?」

 

「当然だ。私はLv.6だ。これくらい気づかずどうする」

 

「えっと、アールヴさんは元から気づいていたってことですか?」

 

「ああ」

 

オレはアールヴさんの真面目な顔を見て、嘘はついていない真顔でそう真実を告げた。オレは「うぁああああああああ!!」と草むらでうずくまる。

 

「憧れってやつだろう、それくらい誰にでもある。あとアールヴじゃなくてリヴェリアでいい」

 

「へ?」

 

「リヴェリアと呼んでいいと言ったんだ。一応助けてもらった側なんだこちらは、そんな謙虚にならなくてもいい」

 

「は、はい。アー..........リヴェリアさん」

 

「ああ、それでいい。まだ貴様と話したいことがあったが、今日は用事があるので失礼する。機会があるとしたら............ふむ、怪物祭(モンスターフィリア)は用事はあるか?」

 

「い、いえ!ないです!」

 

「なら怪物祭(モンスターフィリア)の時、少し時間をくれないか?」

 

「は、はい!ぜひ!おおおおおお願いします!」

 

オレは一生懸命平静を装うとしたが、やっぱりダメで体が思うように動かなかった。

 

そんなことよりも、オレは先ほどいただいた、リヴェリアさんからのお誘いのことに想いを馳せていた。そんなことがあるだろうか、しかも別のファミリアでもある人に、憧れの人に誘われるなんて!

 

「ではな、当日に十時ごろでいいだろう。この噴水広場で会おう」

 

リヴェリアさんは後ろを振り向き、エメラルドグリーンの髪が揺れる、オレに背を向けながら帰っていく。

 

オレは今伝えないといけない。あなたを見ていたのは憧れよりも違う感情を抱いていたことに、こんなチャンスはないと思った。

 

「あ、あの!!リヴェリアさん!!」

 

「どうした?」

 

オレはリヴェリアの顔を見て、今から言おうとしたことを考えた。口が思うように動かない。顔が熱い、いや体全体が燃えてるように熱い。だからなのかオレは............

 

「オレの名前は、ユウマ・アルセルドです!!!」

 

「........................あ、ああ覚えておこう、ではな、ユウマ」

 

リヴェリアさんがオレの視界から消えていく。「あぁっ............」という言葉を残しながらオレは吐血した。

 

******

 

オレがホームに帰ると、ベルがボロボロの服を着ていて寝ている、ベットの横のソファに立ち上がりヘスティア様は「むむむむむっっ!」とほっぺたを膨らませ、とてもご立腹の様子だった。

 

そりゃ朝帰りだもん、ヘスティア様に怒られるだろう。と覚悟していたが、ベルがボロボロの状態で帰ってきたことが反動して、オレの方向(ベクトル)に怒りが注がれている。

 

「ユウマ君、朝帰りだから、今まで何をしていたのかきっちり問い正そうとしていたけど、聞くまでもなかったね」

 

「へ?それはどういう.......」

 

オレの言葉が終わる前にヘスティア様は、飛びかかってきて、きてオレの背中に足を絡ませてくる。そうオレはもう逃げられない状況に陥った。

 

「君の体から女の子の匂いがするんだああああああああっっ!!」

 

「ご、ごめんなさいいいいいいいっっ!」

 

ヘスティア様の怒りに勝手に口が動き、謝っていた。これオレが悪いのかな?てかベルくんの方が叱るべきではないのか?とオレの脳が処理しているが、それの言葉をヘスティア様に投げかけると面倒なことになるので抑えておいた。

 

******

 

「全く、ベル君といい、君といい、僕に心配かけることしかしないね」

 

「め、面目ないです」

 

いつも【ステイタス】更新はベッドでしているが、ベルが寝ているため、隣のソファーで更新していた。ヘスティア様には昨日の夜何があったのか全て話していた。

 

「で、そのベート・ローガ君って人と決闘して、ハイエルフ君を助けて、膝枕されていたと............」

 

「は、はい一応そういうことになりますね............あ、あのヘスティア様、そろそろ痛いんですけど」

 

ヘスティア様はオレの背中に赤い雫を落とし、赤い波紋が広がっていた。ヘスティア様は左手に持っている針でオレの背中をチクチクつついていた。「ふん!ユウマ君なんてユウマ君なんてこうだ!」とか言いながら、オレが結構痛いと感じるほどの力でチクチク刺していた。

 

「まあ、あの第一級冒険者にやられたんだ、それ相応の【ステイタス】があっても............ってえええええええええっっ!?」

 

「ど、どうかしたんですか?」

 

ヘスティア様の驚く声が、ホーム中に響き渡る。首だけグイッと振り向いてみると、ヘスティア様の【ステイタス】更新する手が止まっていた。

 

「ま、魔法が............発現してる」

 

「はぁああああああああ!?」

 

「へぶにゅ!?」

 

オレが勢いよく立ち上がるとオレのお尻の上に乗っていた、ヘスティア様が転げ落ちる。オレは【ステイタス】が更新された紙を受け取る。

 

ユウマ・アルセルド

Lv.1

力 : G 201→ F 302 耐久: H 145→G 207 器用 : F 300→ F 374 敏捷 : G 229→ F 348 魔力 : I 0 → H 97

《魔法》

【ブースト】

・五段階詠唱

・身体能力強化

・唱えるごとに魔力(マインド)大量消費

・詠唱式【強化(ブースト)

・解呪式【弱体(ロスト)

《スキル》

大切守護(ライカルムノーヴェ)

・守りたい思いが強ければ強いほど早熟する。

・守りたい思いが続く限り効果持続。

・絶望から立ち上がる時、超効果向上。

 

「ほああああああああああっっ!?!?」

 

オレの声がベルを起こすほどの叫びを出したのはいうまでもない。




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