魔法が発現して、ベルを起こすほどの声量を出した後、ベルが完全復活を遂げ、ヘスティア様に【ステイタス】更新を受けていた。
オレはわなわなと【ステイタス】の紙を握り、震えていた。震えていた理由としては驚きというのはあるが、それよりも嬉しさの方が勝っていた。
「うひゃ!?」
「ど、どうかしたんですか?神さま」
「い、いやなんでもないよ」
ヘスティア様はベルに【ステイタス】を口頭で伝えることにした。あまりにも成長が早すぎたんだろう、けれどヘスティア様はベルの【ステイタス】の成長速度を嘘つくのをためらった。
もし真実を告げれば、ベルが傲ってしまうかもしれないとヘスティア様は思ったからだ。傲りは一瞬の隙になる、そのせいで何人もの冒険者が死んだ。傲れば傲るほど心に隙を生む。
「ベル君、ステイタスを口頭で伝えてもいいかな?」
だがヘスティア様は信じた、ベルを。ベルなら傲ることはないと、ヘスティア様は朝ベルを更新してる間に作ったオレのコーヒーを一口飲み覚悟を決める。
ベル・クラネル
Lv.1
力 : I 82→G 221 耐久: I 13→H 101 器用 : I 96→G 232 敏捷 : H 172→313 魔力 I : 0
《魔法》
【】
《スキル》
【
・早熟する。
・
・
ありえないほど早い成長速度をヘスティア様はベルとオレに告げた。ついでにオレの魔法のことも。
「えええええッ!?ユウマ、魔法が発現したんですか!?」
「ああ、まあな、なんか起きたら魔法発現してたわ」
「いいなぁ............」
「あほぉーッ!!君の成長速度も羨ましがれ!」
「ご、ごめんなさい!?」
ヘスティア様は声を荒げながらベルに説教していた。
「さて本題に入ろう。これを見る限り君はきっと強くなる。そして君自身も今より強くなりたいと願っている」
「........はい」
ヘスティア様はベルに自分の思いをベルに伝える。ベッドに腰掛け、ベルはヘスティア様から目を離さず、じっと見つめている。
「約束して欲しい、無茶はしないって。この間のような真似はもうしないと、誓ってくれ」
「ぼ、僕は............」
ベルの瞳が揺れる。きっとこれからも、無茶をするだろうと悟ったからである。オレはその光景を目を離さず見つめる。
潤みそうになった瞳を我慢して、ヘスティア様はベルに願った。
「お願いだからボクを一人にしないでおくれ」
ベルとヘスティア様の間に長い沈黙が訪れる。ベルは瞳を閉じ、自己の内面と向き合う。
「はい、無茶はしません。頑張って、必死に強くなりにいきますけど............絶対、神様を一人にしません。それは約束します」
「その答えが聞ければもう安心かな」
ヘスティア様はふう〜と息を吐き体の向きをオレの方向に変えた。オレは内心ドキッとした。なぜなら、オレはベルみたいに無茶をしないとは言い切れない。
オレは強くなりたいと思っているが、誰かを守りたいという、気持ちに支配されている。誰かを見捨てたりすればオレは、自分の『スキル』が消失する上に、もう冒険することはできないだろう。
「ユウマ君、君はきっと無茶をこれからもするだろ?」
「え?なんでそれを............」
「ボクはこれでも神さまだぜ?そのくらいわかるさ、けれど一言だけ伝えるよ。強くなってくれ」
ヘスティア様は自分の胸を押さえて、苦しそうに答える。ヘスティア様はオレに無茶をしてもいいということを伝えるのはとても心苦しかったのは気づいた。オレも逆の立場なら心苦しいというよりも、伝えることができなかっただろう。
「強くなって、無茶をしてくれ、誰にも負けないくらい強くなって、無茶をしてくれ、これがボクからのお願いだ」
そのかわり、ヘスティア様はたった一つの条件をつけた、強くなってくれと、誰にも負けないぐらい強い力を、そして無茶をしてくれと。オレはそういうことなら胸を張って言える、大きく息を吸って吐く、そして瞳に力を込める。
「はい!オレ強くなります!誰にも負けないくらいに!」
「なら君も大丈夫だ」
ヘスティア様は何か決めたように「ヘファイストスもくるよね?」とか小声で呟いていたが何をするのかわからない。
ヘファイストスってあれだよね?神匠って言われてる鍛治師だよね?確か『神の宴』がガネーシャ様が開くとかなんとか言ってるけど、それにヘファイストス様がくるかどうか、言ってんのかな?オレはめっちゃ気になったが、オレはそれよりもうずうずしていることがあった。
「ベル!ダンジョン行こうぜ!ダンジョン!」
「え、いいけど、やけに張り切ってるね」
「そりゃ、魔法発現したんだから張り切るに決まってるだろ!よし!15階層とか行っちゃおうかな!!」
「ぶっ!!あほぉーッ!!そんなのボクは許さないからなああああ!!」
勢いで言ったつもりがヘスティア様が飛びかかってオレの頬を引っ張ってくる。オレは頬を引っ張られてるため、「へはいへぇす、へふてぃあしゃま」と呟いた。
******
「【
オレのステイタスが強化されたのがわかった。黄金色の光がオレを包む。敏捷も力も誰が見てもわかるくらい成長した。オレは強化された体を使い、
サイドステップでオレを切り裂こうとする一撃を軽々とかわし、そのまま強化された力で一撃で拳で粉砕。【
「げ、結構下まで来てたのか............」
多分予測するに9階層。なぜわかったかと言うと、理由としては、コボルトの強化種がでた時だった。コボルトは黒い毛皮に覆われ、鋭い瞳と鋭い爪を持っているが、今回のコボルトは毛皮が赤い、まるで冒険者を食って、赤い血を浴びたように赤かった。
この魔法がどこまで、通用するか試したかったので、そのまま特攻。強化されたこの体で突っ込むが、強化種の大きな爪が、俺の進行を阻む。そのままかわすためにブレーキかけながら、バックステップ。そしてオレはそのまま詠唱する。
「【
ギアが2段階目になる。ガチリッとオレの脳内で音を立てる。オレにまとっていた黄金色の光がより輝きが増す。魔力と引き換えに、体がより強くなったと実感できた。オレはその強化された身体を使い、突っ込む。
強化種のヘルハウンドの爪がオレを食い殺そうとするが、オレの魔法がその攻撃を躱す。右に大きく躱し、ダンジョンの壁を使いヘルハウンドの脇腹を粉砕する。そのまま黒い煙となって消える。
「【
オレはフッと息を吐き呪文を唱えると、黄金色の光が消え、オレに脱力感を与える。魔法を使って結構な時間がかかっている。それくらいのデメリットがあったとしてもおかしくはない。
体感時間でダンジョンに潜って、十時間といったところだろうか、休憩を挟んだり、魔法を解除したりを繰り返していたので、オレの今の力では4時間が限界といったところだろう。だがギアを一段階にしている状態で4時間程度なので、五段階まであげたらどうなるんだろうと、想像ができなかった。
オレは自分の力を把握しながら、ダンジョンの上層へ向かっていく。しばらく歩いたところで、地上の光が降り注ぐ、オレはバックパックにパンパンに入っている魔石を背負い直して、ギルドへ向かう。
******
「な、な、な、なにこれえええええええッッ!?」
ギルドにエイナさんの絶叫が響く、オレとベルは耳を抑えて、耳が痛むのを防ぐ。ベルとはダンジョンでは別行動していたが、ギルドでオレのことを待っていたみたいだ。
「なにって魔石だけど..........」
「そんなの見ればわかります!この大量の魔石をどうしたのって意味!」
「いや、
「その魔石の量は異常だよ、ユウマ。それで、換金してきたの?」
オレとエイナさんとベルは移動して、いつもオレらが話している、ギルドの隅にある小さな一室で話していた。エイナさんはオレに説教じみた声量を出しながら、オレは真面目に淡々と喋り、ベルは若干驚きながら、疑問をオレに投げかけた。
「換金したら45000ヴァリスだった」
「「えええええええええッッ!?」」
エイナさんは「冒険者始めたばっかりなのに、45000ヴァリスって............45000ヴァリス............」などと放心状態になっていた。ベルはというと、
「今日の夕食ちょっと豪華にしない?」
などと遠慮気味でオレに頼んできた。45000ヴァリスも稼げたんだ。それくらいいいだろと思い、コクンとオレは頷き、ベルと一緒に食材を買いに行く。
「じゃあ今夜は豪華にステーキといきますか!」
「ユウマがお肉なんて珍しいね!お肉久しぶりだから楽しみだなぁ」
ヘスティア様が待っているホームにちょっと高い、お肉を三枚買って、オレとベルは上機嫌で帰って行く。
次回はモンスターフィリアと神の宴になります。ここの場面は一つの大きな区切りかなと思っております。原作も第1巻の区切りがここでしたので、次回はベルとユウマは別行動です。
ベルは原作通り、シルバーバックを。
ユウマはリヴェリア様とどこかに............