とりあえず本編へどうぞ
「ボクこれから用事があるから、数日留守にするけどいいかい?」
「いいですけど、どこに行くんすか?」
「神の宴に行くのさ!」
ヘスティア様はオレたちにグッと親指を立てながらキメ顔で答えた。オレらはその姿に圧倒されて、「おぉぉ............」と声を出た。
「いってらっしゃいませ」
「うん!行ってくるよ!」
こうしてヘスティア様は数日間家を留守にすることになる。
******
ヘスティア様がいなくなって数日、オレたちはいつも通りベルと一緒にダンジョン探索を終え帰ってきた。1階層の『始まりの道』とも呼ばれる横幅が限りなく広い大通路を進み終えると、地上へつながる大穴を見つけた。そして現在地は、白亜の巨塔『バベル』、その地下一階。
何人もの冒険者を目撃するが、一つ巨妙なことがあった。巨大なカーゴがあり、その箱がガタガタッ、と箱が揺れた。ベルは「いっ!?」と声を出したが、オレはそれを見て理解できた。
ベルはオラリオに来たばっかりの田舎者だ。この祭りを知らないのだろう。
「あーもうそんな時期か」
「え?時期って、なんかあのカーゴと関係あるの?」
「ああ、あれはな
「............
オレはベルと帰る途中に
******
「いつまでそうやってるつもり?」
「............」
紅眼紅髪の女神ヘファイストスが、呆れたような疲れたような声音をこぼしていた。その彼女の視線の先には床に跪いてこれでもかと頭を下げている丸い物体、ヘスティアの姿があった。
「私これでも忙しいの」
「............」
「ちょっとヘスティア?」
「............」
「............はぁ」
かれこれ丸一日ヘスティアはヘファイストスに頭を下げ続けている。『神の宴』があった日にヘスティアは武器を作って欲しいという依頼をヘファイストスは、ばっさり断った。
【ヘファイストス・ファミリア】の武器の作品は、最高品質であるため、一流冒険者などに使われている。そのためいうまでもないが値段が高すぎる。ヘスティアがバイトを何百年すれば稼げるのかわからないほど、高すぎる。
ヘスティアはベルとユウマのために武器を作って欲しいと極東の神タケミカヅチ直伝の土下座をヘファイストスに絶賛公開している。
「ヘスティア、あんたがなんでそこまでするかわからないのだけれど」
「あの子達の力になりたいんだ!」
ヘスティアは土下座をしながら強い声音で吐き捨てた。
「いまあの子たちは変わろうとしている!ベル君は、高く険しい道のりを走り出そうとしている!危険な道だ、だから欲しい!ユウマ君は誰かを守ろうと無茶ばっかりしている!だから欲しい!あの子たちの手助けになる武器が!」
ヘスティアは叫ぶ。自分の惨めな格好を崩さず、自分の秘めてる想いをヘファイストスに叫ぶ。
「............何もできないのは嫌なんだよ」
しばらくして、ヘファイストスはヘスティアの想いを、彼女は認めた。
「............わかったわ。作ってあげる、あんたの子にね」
ばっと瞠目した顔を振り上げたヘスティアは、ヘファイストスに擦り寄る。
「うんっ!ありがとうヘファイストス!」
満面の笑みで、ヘスティアはヘファイストスに抱きつく、ヘファイストスは少し顔を赤らめ、「鬱陶しいから離れなさいっ!」と告げ、突っぱねる。
「で、言っとくけどらちゃんと代価は払うのよ。何十年何百年かかっても、絶対にこのツケは返済しなさい」
「わ、わかってるさ!ボクだってやるときはやるんだ!ベル君とユウマ君への愛が本物だって、身をもって証明してあげるよ!」
「はいはい、楽しみしてるわ。で、あんたの子達が使う
「えっと、ベル君はナイフで、ユウマ君は拳と剣かな」
「ちょっと待って、ユウマって子。拳で戦ってるの?」
ヘファイストスは驚いた顔をしながら、ヘスティアに尋ねる。ヘスティアは困ったように顎に手を当て、ユウマの武器を考える。彼は剣よりも拳の方が得意と知っているから作るものは、拳で戦う時手助けできる武器がいい。
ヘファイストスがヘスティアの真面目な顔を見て、ユウマの武器を考える。
「............拳で戦うってことは、ガントレットってところかしら」
「そう、だね。ナイフとガントレットを頼むよ!」
「簡単に言ってくれるわね、これからやる作業あんたも手伝いなさい。今からしっかり働いてもらうから」
(駆け出し冒険者に持たせる、一級品装備)
武器の威力が高過ぎれば、成長を妨げ、かといって、適当に作ればヘファイストスの名折れ。
ヘファイストスは首をぐるっと回しながら、自分の工房へ向かう。隣で嬉しそうに付いてくるヘスティアをちらりと見やりながら、心中で呟く。
(さて、どうするか............)
******
ヘスティア様がいなくなってから3日目の朝。オレは10時から特別な用事がある。そのためにはベルに断りを入れないといけないが、ベルの決心した顔を見ると、言いづらい、オレだけデートなのか?デートぽいことをするなんて。
オレは少しため息をつきながら、西のメインストリートをベルと一緒に歩いて行く。豊穣の女主人を通った時、アホっぽい声がオレの耳に響いてくる。
「おーいっ、待つニャ!ユウマ、白髪頭ー!」
呼ばれた声の方向に振り向く、そこにはネコ耳と細い尻尾を生やしたキャットピープルの少女が大きく手を振っていた。そうアーニャさんがこちらを呼んでいた。
「これをシルに届けて欲しいのニャ!」
「ええっと」
アーニャさんの手にはお金を持ち運ぶための財布を持っていた。うーんシルって結構おっちょこちょいだからなぁ。
「アーニャ。それでは説明不足です。ユウマもクラネルさんも困っているでしょう」
リューさんがひょっこり店の中から現れ、オレたちに近寄ってくる。ナイスタイミングっていうぐらい、オレは歓喜していた。
「リューはアホニャー。店番サボって祭見にいったシルに、忘れていった財布を届けて欲しいなんて言わずともわかるはずニャ」
「いや、わからないですよ」
「ということです、言葉足らずで申し訳ありません」
「あ、いえ、じゃあユウマ、一緒に行こうか」
「あーすまんベル。今日10時から予定があるんだ」
ここでオレは切り出すことに決めた。シルを探しに行くのは実質ベル一人ということになる。すまんなベルと付け加え、オレは噴水広場まで走り抜ける。ベルの叫び声が大きく聞こえるが、オレは無視を突き通し、走り出した。
******
「す、すみません、遅れちゃいました」
「ちょうど5分前といったところだな。女性を待たせるのは感心しないぞ」
「す、すみません」
噴水広場まで駆け出し、ちょうど5分前といったところで、オレは息を整えながらリヴェリアさんに返答した。
リヴェリアさんはいつもの冒険者の服を着ていた。
ちなみにオレの格好はというとオレも冒険者の服を着ている。
「さてこれからどうするかだが、どこか行きたい場所とかあるか?」
オレはことに質問は来ると思っていた。リヴェリアさんという憧れの女性がいるのに、どこ行くのかも決めてないのは男として、ダメだと思ったので、事前に決めておいた。
「あ、あの!服屋とかに行きませんか?」
「服屋?別に私は困ってないが、ユウマは見たいものでもあるのか?」
「い、いえ。それもあるんですけど、いつもその服でしか見かけないので、なので自分も買える機会が欲しいなと思ったので」
「別に私はいつもこれだけを着ているわけではない。外に行くときは大抵この服というだけだ。............まあお前も見たいものがあるというのなら、そこに行こう」
「あ、ありがとうございます!!」
オレはリヴェリアさんをエスコートすべく、少しだけ前に立って歩き、オレらは歩幅を進める。
******
「ふむ、次はこれを着てみろ」
「は、はいぃ」
オレは完璧に疲れ切った声で、リヴェリアさんから服を受け取る。そしてまた試着室に戻って行く。なぜ今リヴェリアさんの玩具になっているかというと時は数分前に戻る
まず、オレは目をつけていた商品を探すことにしたが、見つかることはなく、多分売れたんだろうと理解した。まあ、リヴェリアさんが喜んでくれるならとリヴェリアさんに視線を向けると、男用の服を持ち出し、オレに着てみろと告げた。
オレの試着を見てから、リヴェリアさんは歯止めが効かなくなり、オレを着せ替え人形のようにどんどん着替えさせ始めた。これでオレが着るのも17着目だ。
17着目の服を着終わると、リヴェリアさんは少し考え始めた。
「ふむ。見た感じこれが一番似合うだろう、ユウマはそれがお似合いだ」
「あ、ありがとうございます............」
心底疲れていたが、リヴェリアさんに似合っていると言われるだけで解消された気がした。なんて単純な男なんだと落胆するとともに、とても嬉しかった。
「り、リヴェリアさんもこんな服どうですか!!」
「これか?」
オレは着せ替え人形にされるうちに着たら似合うだろうなと思った服をリヴェリアさんに提示する。オレが提示した服は、真っ赤なフリル付きのドレスを渡した。
「私も調子に乗ってユウマを着せ替え人形にしたんだ。わたしもこれくらいなら着てみよう」
そう言って服を持ち、試着室に入る。ガサゴソと音を立てていて、リヴェリアさんがあそこで着替えてると思うと少し興奮したが、すぐにそんな思考は振り落とす。
しばらくするとリヴェリアさんは更衣室のカーテンを開けオレにお披露目してくれる。
「どうだ?少し家のことを思い出してしまったが、悪くない」
「.........」
「ユウマ?聞いているのか?」
「............は、はい!!とっても綺麗でございますです!!」
リヴェリアさんの整った容姿に、スレンダーな体が合わさりそのドレスが、驚異的に見えて、脳の処理が追いつかなかった。
オレは訳のわからない敬語を使い、それぞれ会計を済ませ店を出るのであった。
「あの、それ買ってよかったんですか?」
オレたちは、オレは服を奢ることができなかったので、今回はお金を無理やり出し、ジャガ丸くんの小豆クリーム味を買って食べ歩きしているところだった。
ストリートは賑わっていて、人混みがたくさんいたが、リヴェリアさんの貫禄なのかオレたちに人がぶつかることなく、スイスイストリートの中を進めた。
「なんだ?似合ってなかったのか?」
「い、いえ!似合っていたんですけど、オレなんかの言葉を受けて買ってしまうなんて」
「ユウマ、自分をそこまで卑下するな、謙虚になることは悪いことではないが、ある程度自信を持った方がいい。人としてもそうだが、冒険者としても大切だ」
「冒険者としてもですか?」
「そうだ、いつか冒険者と呼ばれるためには冒険をしないといけない。ランクアップもそうだ。自分を卑下していけば、人としても、冒険者としてもダメになる。私はそうやって朽ちていく人間を見てきた」
リヴェリアさんはジャガ丸くんを一口食べながらそう答えた。冒険者として何十年もやってきた、彼女がそう言ったんだ。何十年もかけて第一級冒険者と呼ばれるほどに成長した彼女が言ったのだ。
ならばオレが信じないわけがないだろう。ましてや憧憬である彼女の言葉を鵜呑みにしないのは、ダメだと思ったからだ。
オレはこのムズムズした気持ちをリヴェリアさんに伝えようとして、ちまちま食べていた、ジャガ丸くんを一気にガツガツ食べ、胃の中へ放り込んだ。
「リヴェリアさん!ダンジョンに付き合ってくれませんか!」
「ダンジョンに?」
リヴェリアさんはこちらを少しこちらの顔を見て不思議そうな顔をしていた。それもそうだ、
「あれ?ユウマ?」
そんな声が聞こえると、オレは少し嫌な予感がした、何かあるたびにオレに怒りを向けてくる、ロリ巨乳がある気がしたからだ。
そうそこには、際ほど逃げて、面倒ごとを押し付けた。ベルと女の子と一緒にいるといつも怒るヘスティア様がいたからだ。
「な・ぜ・君・は!いつもいつもおんなのこといっしょにいるんだぁああああああああっっ!!」
ヘスティア様はオレの首に足を絡めて、飛びついてきた。
オレはこの瞬間ほどオレの顔に巨乳が当たって、嬉しくない日が来ようとは思ってもいなかった。
次回はダンジョンに潜ろうと思ってます。リヴェリア様と一緒にね!