【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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本日から連続投稿スタートです!
DARKNES SHEELS-Lili-も更新されてるのでお忘れなく! 舞台版もそうだけど人間体ベリアルさん凄い好きなんですよね。
DARKNES SHEELSはベリアルさんやジャグラーさんはもちろんのこと、他3人の解釈も最高に素晴らしいので舞台ということで遠ざけてる人は見てほしいですね。
特にイーヴィルティガのキャラクター性がびっくりするほどタイプだったんですよね。

感想、評価お待ちしてます

誤字脱字、ご指摘ありましたら気兼ねなく





1

 

 

 …………ここは? 

 気が付くと、私は辺り一面真っ暗なその空間で身体を動かすことが出来ずに宙に浮かんでいた。

 そうか、ティアマトとの戦いが終わってまだ私は眠ったままなんだ……。

 

『あはは! 今日も()()()は平和だねお母さん!』

 

『そうね。でも忘れちゃだめよ? 宇宙警備隊のみんなが毎日頑張ってくれているからこの平和は続いているの」

 

 今置かれている状況を理解してきた私の耳に、そんな会話が届いてきた。気になって意識をそちらの方へ向けると、宙に浮いている感覚から一変して、全身が何か硬いもので締め付けられているような感覚が襲ってきた。

 

 一瞬のことで驚いてしまったけど、私はこの感覚に覚えがあった。身体が動かせない状況で、光の国に生きる人たちの日常を延々と見せ続けられる。

 “宇宙監獄”キングが作り出したベリアルさんただ一人を閉じ込めるための監獄だ。

 

 けど、どうして今になってその時の夢を見るんだろう? 

 しかも宇宙警備隊やその訓練生を見ているんじゃなくて、それ以外のこの国で普通にに生きている人たちに視線が向けられている。

 

『ああ…………。くだらねえ…………』

 

「ベリアルさん?」

 

 もうこの頃の夢を見る事なんてないと思っていたから、何で見ているんだろうって疑問に思っているとベリアルさんの、監獄に囚われている方のベリアルさんが口を開いた。

 

『何が平和だ、ふざけるんじゃねえ。 宇宙のそこかしこで怪獣や宇宙人どもが暴れ続けてるってのに平和だと? お前らは“生きてすらいねぇ”』

 

()()()()()()()()()()

 

 誰かの聞かれるでもないその中で呟いた一言だったんだろうけど、私はその言葉が気になってベリアルさんが見ていた光の国の住人の方へと意識を集中させる。

 そこに生きる人たちは、争いもなければ喧嘩だってしない。戦士たちが脅威から守ってくれているから安全な生活が保障されている。

 

 だから、そこに生きる人たちの表情は自分たちには不満や悩みなんて一つもないんだ、毎日が幸せで嬉しいって気持ちが痛いほどに伝わってくる。

 それを“生きていない”なんて言うのはベリアルさんの方が可笑しいんじゃないのか? 

 

 

 

 

 

 

 

「て、前ならきっと、あなたの言葉を否定してた。その言葉の意味を深くも考えもせず、聞いたまま受け入れて否定していた」

 

 いつの間にか私の身体が監獄から抜け出せていたから、声が届くはずのないのに隣で恨みを溜め込むベリアルさんに向かって話しかけた。

 恨みや怒りを募らせ続けてきた。けど、誰よりも、何よりも見てきた貴方だからこその言葉なんだって今なら思える。

 

「そういうこと、ですよね? ベリアルさん」

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 ────これは、敗北から始まった戦いだった。

 人類の誰もが、気づかぬまま魔術王ソロモンに殺された。

 ソロモン王が没した紀元前931年から綿密に積み上げられてた、人類史最長の殺人計画。

 

 この馬鹿げた企みを破り捨てるために、机上の空論でしかないと証明するために七つの特異点を渡る長いながい旅をし続けてきた。

 一人の少女は、盾を構える少女と共に出会いと別れを繰り返しながら成長しあっていった。

 

 一人の男は本当ならばこの場所に立っていなかった。ソロモンに殺された全人類のうちの一人になるはずだった。

 そんな彼は、その身に最恐最悪の力と魂を宿し、その魂と向かい合うことで己も成長することが出来た。

 

 

 きっと敗北から始まったからこそ、この物語は紡がれた。

 誰よりも大きな野望を、底知れない野心を持ち続け、誰よりも敗北するということがどれだけ屈辱なのか知っていたから。

 

 

 ────そんな彼ら彼女たちの物語が、今終わりを迎えようとしている。

 

「君たちならソロモンになんか負けやしない。さあ、最後のオーダーを始めよう」

 

 [レイシフトプログラム、スタート]

 

「敵は魔術王ソロモン。作戦の成功条件はこれの撃破と、君たちの生還とする!」

 

 [アンサモンプログラムスタート。 電子変換を開始します]

 

 いつも通り、これまでと何も変わらない準備と、ほんの少しだけ強い気持ちを持って立香とマシュはコフィンの中で待機している。

 一人一人別のコフィンに入るため、相手に声は届かないことが分かっていても、二人は声を掛け合う。

 

「いこうマシュ。これが本当に最後の戦いだ」

 

「絶対にソロモンの企みを打ち砕きましょう、マスター」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────そういうことか。随分と手間のかかることをしたみてえじゃねえか」

 

(立香ちゃんたちがいない? ベリアルさんこれって……)

 

 レイシフトが完了したそこは辺り一帯、今私たちが降り立った地面すらも魔神柱たちの肉で出来たそんな気色の悪い空間。

 いつものように隣に立香ちゃんたちがいないけど、彼の反応からそれは違うものだということが分かる。

 

 ドクターたちとも連絡が付かないけど、すぐにアリスちゃんが立香ちゃんたちのいる場所を特定してくれたから、彼女たちの元へ向かおうとしたその時だった。

 まるで、というか実際そうなんだろうけど私たちの行く手を阻むように、無数のそれこそ数えるの億劫になるほど大量の魔神柱がそこかしこからはえてきた。

 

「邪魔だ。消えろ」

 

『────無駄だ。いくら貴様の力が強大であろうと、この空間、この領域で我らを完全に消滅させることは不可能だ』

 

 ベリアルさんがナイザーから放った稲妻が目の前に群がる魔神柱を消滅させたけれど、消滅した魔神柱は十秒もかからないうちに再生し、無数の眼球が私たちのことを嘲笑ってくる。

 

『我ら七十二柱の魔人ある限りこの空間(固有結界)は滅びず、またこの世界が存在する限り我々が滅びることもない! ────ベリアル、我らの同胞の名を騙る貴様は強い。その圧倒的な実力は確かに認めよう! だが、奴らはどうだ?』

 

 コイツら最初から私たちを、ベリアルさんを倒す気なんてなかったんだ! 私たちと分担させた立香ちゃんたちの方を先に排除しようと、それなら簡単だからって! 

 

『確かに奴らは七つの特異点を乗り越え、力を養い成長していっただろう。その努力は認めようとも! 

 

 

 しかし────』

 

 それは貴様(ベリアル)ありきの話だ。

 そう言いながら文字通り四方八方から嵐のような魔力の弾幕が襲い掛かってくる。

 今立っている大地、そして空すらも奴らで形成されたものだから抜け出そうにも抜け出せないし、変身しようにもその隙がない。

 

 これもアイツらの計画の内なんだろうな。いくら無尽の軍勢が襲い掛かってこようがベリアルさんが巨人になってしまえば無意味に近い。

 けど巨人に変身するには私が表に出てライザーを操作するわずかな時間が必要になってくる。その時間を作らせないための攻撃。

 

 

「上手くオレたちの弱みをついてきたみてーだが、甘いんだよ」

 

『『『グォオオオオオ』』』

 

 嵐の中に立とうとも、膝をつかずむしろナイザーを振り回して一度の大量の魔人柱を屠りながらベリアルさんは、疑うこともなく強く宣言する。

 

「アイツらは、お前らが思っているほど雑魚じゃねえぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔神柱撃破! ですがっ!」

 

「倒しても倒しても終わりが見えませんね。べりあるが言っていたように本当に蛆虫かなにかなのでしょうか?」

 

 マシュと連れてきたサーヴァントの一人である清姫のコンビで魔人柱を一体ずつ倒していっているけど、倒しても倒してもその傍から再生されてちゃキリがない。

 

 

 

 最後の特異点へ辿りついた私たちを出迎えたレフは、私たちが今まで頑張ってきた行動は無駄だって嘲笑ってくる。

 これまでと違い、相手の策略によってベリアルさんと離れ離れにされてしまった私たちだけでは世界は救えないって。

 

『ベリアルの居場所が特定できた! 彼らはソロモンの王座のある中心地点から更に奥の奥! 離れ小島のような場所に隔離されてる!』

 

『それを知ったとしても貴様らに出来ることはなにもない! くくくっ、はーっはっはっはっはっはっはっ! 実に、実に滑稽だ! 捧腹絶倒とはこのことだ! 貴様らが心の拠りどころとしていた異端の者の助けなく終わりを迎えるのだ!』

 

「──ッ!」

 

「マスター!」

 

「っと、心配すんなマシュ! コイツはオレが守る、お前はその竜娘と一緒に戦ってろ!」

 

 大地が、無数の枝分かれした柱が張り巡らされた床がミミズのように蠢いたことで私は姿勢を崩し膝をついてしまう。

 そんな私の身体を貫こうとする柱の先端が迫ってきたけど、両手剣ばりに大きくなったクラレントを片手で軽々と振るうモーさんがそれを防いでくれた。

 

 けど柱の猛攻はそれだけでは終わらない。私たちを狙って無数の柱が殺到してくる。マシュと清姫と合流したいけどそれを拒んでくる。

 

『ははは! 諦めろ、我らを殺したければ七十二の同胞すべてを殺し尽くすことだ! それができるであろうあの異端者はこちらが封じた! もはや貴様らに勝ちはない!』

 

「ッグ! なっ、めんじゃねええええええ!!!!!」

 

 モーさんが魔力を解放させて迫ってきた柱たちを一気に消滅させる。そんなモーさんは柱が再生するまでの一瞬の隙を逃さず、私のことを脇に抱えてマシュたちとの元へ走り抜ける。

 私たちが来たことを認知したマシュは大盾を使って小結界を展開する。その結界が展開される前に柱が攻撃してくるけど、それをさせまいと清姫の炎が、モーさんの剣戟が柱を葬っていく。

 

『哀れ、実に哀れだな! このまま耐え続けられるとでも言うのか? ベリアルが開放されるその時まで! 無駄だ、ムダムダムダムダ抗うだけ無意味だと知れ!』

 

 ベリアルさんの後押しのおかげで強化された清姫と聖杯の力で強くなったモーさんの力があったとしても魔人柱との差を埋めることは出来ない。

 防戦一方のこの状況が攻勢に転じるチャンスすら見つけられないけど、こんな所で諦めるわけにはいかない! 

 

『まだ敵を睨むだけの強がりが出来るとはな! だがもういい、諦めが悪いのは十分に理解した! ゆえに潔く死ぬことを選ぶがいい! 我々を愉しませた礼だ、痛みを感じることなく虫ケラのように殺してやろう!』

 

 レフが、魔人柱フラウロスが私たちのこれまでの旅路を否定し、侮辱してくる。もう興味がないのか無機質な眼球を所在無げに動かしながら、私たちの事をこの場から完全に消滅させるための行動に移る。

 

『お前たちの戦いは全てが無意味だった。カルデアもろとも、諸君らの旅は此処で終わる。ハハ、ハハハハ、ハーッハッハッハッハッ!』

 

「その汚い口、閉じてもらいましょうか?」

 

 どこからともなく聞こえてきたその声と共に、魔人柱が邪炎に灼かれて消滅した。

 振り向かなくても、探そうとしなくても誰が私たちのことを助けてくれたのか、それは魔術王の企みによって産み出され一度は私たちと敵対していたこの長い旅で出会った最初の敵。

 そんな彼女が放った全てを焼き尽くす邪悪な炎が、今の私には不思議と温かく感じた。

 

「まったく、だから最初からこの私のことを連れていけばよかったのよ。無能なマスターちゃん?」

 

「オルタ! けど、どうやって?」

 

 ジャンヌ・オルタが嫌味を言いながらも、その顔に確かな喜びの表情を浮かべながら私たちの前に立つ。

 ────でもどうやって? 頼もしすぎる味方の登場ではあるけれど、この特異点にレイシフトする時に連れて行けるサーヴァントの総数は3基だけだったはず。それなのにどうしてオルタがこの場所に? 

 そう疑問に思っているとオルタがその手に持つ旗を空に向かって掲げる。

 

「さあ、宇宙(ソラ)を見上げなさい! あの星一つひとつが我欲に囚われた生命、己が信念を曲げることなんてできやしない愚か者たちの末路!」

 

 ────流星が、空一面を彩る。

 オルタに言われるままに空を見上げた私たちの瞳に映ったのは、一つひとつが異なる輝きを放つ流星の雨。

 

「聞き届けなさい! この領域に集いし一騎当千、万夫不当の英雄たち! 例え人理が燃やし尽くされるのが定められた運命なのだとしても! その運命を否定するのなら、覆したいのなら! 敵だろうが味方だろうが時代が違う? そんな些細なこと関係ないわ! 今まで、これまで、これからも! 運命に叛逆し続けたコイツに力を貸しなさい! さあ────覚悟を決めなさい!」

 

 

 

 

 

 




魔術王のベリアル対策その1、隔離作戦。
 作中でも説明があったようにウルトラマンベリアルに変身するためには、身体の支配権が博樹である状態でライザーを使用しなければいけない制限が存在する。
これはベリアルが精神体であるため、巨人になるにはライザーでリードしたカプセルを解放させるのに内部で集中する必要がある。巨人化初登場が4章だったのもそのため。
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