【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
それは、きづいたころにははなれていてめのとどかないばしょまでとんでいった
だけどまだ、おわってない。
まもるべきものは、のこってる
いつの間にか自分を形成する
数十万の時を生きてきて初めて味わう感覚。プラズマスパークに拒絶された時でもここまでの喪失感を味わうことはなかった……。
マシュ・キリエライト、
あの蛆が放った人類史そのもの灼き尽くす熱量、光の戦士たちの放つ必殺光線よりも威力のあるそれを、マシュは受け止めた。だが、その代償にマシュはその命を散らした。
その時、こんな瞬間にならねえと気づくことができなかった。マシュはオレの『守るべきもの』だったことを……。
そして同時にアイツが言ったことも理解できた。藤丸立香もオレの『守るべき』だってことがな。
だが気づいた所でもう遅い。宮原博樹との繋がりが絶たれたオレはあと数分もしないうちにこの地から消える。
結局はこんな情けねえ結末か、人間の味方をするなんてらしくもないことはするもんじゃねえな。
「ははは、あんなヤツ相手に諦めるなんてキミらしくもない。言ってくれたじゃないか、
お前は……、ふはははは、そうか! ようやく、
⦅いや、いいや、何もかもが違う、何もかもが! 貴様があの男の筈がない! ⦆
自身の一部であるフラウロスのことを罵倒してしまうくらいに動揺しているゲーティア。それはマシュが消え、今度こそベリアルさんたちを消滅させようと宝具を展開しようとしたその矢先に起きた。
ただの人間、レイシフト適性を持っていないはずのドクターが博樹さんを守るようにゲーティアの前に立ち塞がったから。ドクターは、最初から人間じゃなかった。ううん、聖杯戦争を勝ち抜いたことで
⦅外道! 冷酷! 残忍! 無情! 貴様のような存在に人並みの願いなど! 感情などありはしない!!⦆
「……ボクのこと嫌いすぎるだろ、おまえ。だけどそうだね、だからボクは
激昂するゲーティアとは対照的に、ドクターは自分のこれまでを話し始めた。聖杯戦争の勝者として人間になれたソロモンは、そのすべての能力を失う瞬間に人類の終焉を見た、見えてしまった。慌てようにもすでにただの人間になったソロモンにできる術はなかった。けど、その事件に自分が関わっていることだけは理解できたソロモンは、一人で人類の終焉に立ち向かう旅を始めた。
「我が名は魔術王ソロモン。ゲーティア。お前に引導を……いや、違うな。私はお前の最後を見届ける者だ」
⦅ふ、フハハハハハハ!! この状況下で! 敗北を覆すことの出来ない中で何故? と思ったが! 傍観ときたか!! やはり、生前ですら見ているだけだった貴様が出来るのはその程度ということだ! なんの策もなく死地へと飛び込んでくるとはな!! やはり貴様は何も出来ぬ無能な王だ!! ⦆
「何の策もない、か。策ならちゃんと用意していたさ。ゲーティア、お前がその存在を知ってはいたものの真名を知り得なかった宝具────【
⦅
「神から与えられた恩恵を天に帰した逸話が元となったこの宝具。この宝具の発動はすなわちボクの持つ全て、存在そのもの全ての消滅を意味している。お前ならこの宝具の怖さが分かるだろう? ゲーティア」
存在そのもの全ての消滅? アーラシュさんの宝具のようではないってことはゲーティアの狼狽ぶりから理解できるけど……。
《────まさか、【無】に至るというのか! 英霊の座からも消滅し、人類史からも痕跡を消す覚悟だったというのか……! 貴様のような臆病者が!!》
「ああそうだ。そうすればお前たち七十二の魔神は自壊を始め、固有結界であるこの場所破壊されるだろう。どうだい? すごいものだろう、ボクの隠し球は? ま、使わないんだけどね」
こんな状況で、しかも姿もソロモン王のそれに変わっているのにその相手をおちょくってるように見える笑みは、たしかにドクターのもので、彼は隠し球として持っていた宝具を使わないことを宣言すると両手を大きく広げた。
「だってそうだろう? 宝具を使用したらボクはお前よりも先に消滅して、お前が完全に消滅したのか見届けずに消えることになる。そんなのあんまりじゃないか、この世界から完全に消えるというのなら、ボクはお前の最後を見届けた上で消えたいんだ」
《笑わせるな! 神より授かりし全能も持たない、
「はあ? そうやって怒りっぽいから周りが見えなくなるんだぞ? なあゲーティア、確かに今のボクには全能の力を振るうことも、お前たちを従えることすらできないさ。でもね────
⦅────まさかッ!! しまっ!!⦆
ゲーティアが気づいた時にはもう遅い。いつ消えてしまってもおかしくないんじゃないかってくらい光が弱くなっていた球体となっていたベリアルさんが、ドクターの中へと入り浸透していった。
さっきから驚きの連続で頭がどうにかなっちゃいそうだけど、ゲーティアが慌てている今がチャンスだと見た私は、念話だと悟られてしまうだろうからアイコンタクトだけで3人に合図を送っておく。
そうこうしている内に、ベリアルさんと同化したドクターは赤黒い光に包まれる。ゲーティアがそれをどうにか阻止しようと一斉に展開させた魔術による攻撃、目にも止まらぬ速度の打撃を加えていくけどそんなものは無意味だというように光の球体には罅一つ入らない。
コンクリートで出来た建物に向かって思い切り拳を叩きつけたような痛みが何度も襲ってきて、私の拳から血が流れ始めたのを見ると、むしろ攻撃しているゲーティアの拳のほうにダメージが入っているみたい。
⦅クソオオオオオッ!! 壊れろ、壊れろ、壊れろぉおおおおおお!!!!⦆
「『その気色悪い手を止めろ。
渾身の力を振り絞って放ったゲーティアの拳を、片手でいとも容易く止めながらドクターとベリアルさんの声が重なった言葉が響く。
羽織っていたマントは血のように赤く染まり、ソロモンの時は白髪だった髪は赤いメッシュの入った黒髪へと変わり額が全部見えるように逆立ってる。
一番特徴的なのは顔に出来た模様。本来の姿であるウルトラマンの時でも特徴的だった鋭い瞳を模したような模様が目の周りに入ってる。
そんなベリアルさんとソロモンが混じり合ったような見た目をした彼は、アイツの手が傷つく、隠すことなく私の事を心配する言葉を言うと掴んでいたその手を下ろす。その言葉を嬉しく思っていると、私の傍まで戻ってきたゲーティアは動揺を隠そうともせず声を荒げる。
⦅ハア……ハア……だから、だからどうしたと言う!! この女がいる限り、ベリアル! 貴様は我らを攻撃することすら出来ない!! 何をしようと無意味だ!! は、ハハハハハハハッ! 所詮は無能な王と、蛍火しか残っていなかった者が合わさっただけの存在、我らを止めるなど到底不可能なのだ!!⦆
「『そうだ、
⦅────ッ!⦆
自分を貶す言葉、ベリアルさんの性格上そういう事を言われたら即座に反応して、物理的に否定してくるのが普通だったけど、逆に肯定の一言で返す。
不安を煽らせようとしたのか、それとも挑発してわざと攻撃させようとしたのかも知れないけど、それもあえなく失敗に終わった。
「『何万年も独りだったからな。こんな簡単なことに気づくのにも、ここまで時間がかかった。テメーの言う通りだ! 消えかけのオレと、戦う術すら持たないコイツが合わさった所で引き出せる力の限界なんざたかが知れてる。────だからな』」
ベリアルさんらしからぬ弱気な言葉。ソロモンと同化した今の状態ではゲーティアには勝てないと、正直に宣言した。
けど、諦めてない。勝てないって言ってるのにベリアルさんは負けることなんて想像すらしていない不敵な笑みをゲーティアに向けると、
「『宮原博樹!! …………最後のその一瞬まで、オレにはお前が必要だ』」
『クウッ!! がああああ……!! まい、ったなあ……。博樹さんは、いつも、こんな痛みを耐えていたっていうのかい?』
『その痛みを乗り越えて、アイツはこのオレの隣に立つと言った。ここまで歩き続けた』
魔人柱ベリアルを内包していたからこそ、ベリアルとの同化を果たしたロマニだったが、同化したことで流れ込んできた今までベリアルが感じてきた痛み、数万年かけて積み上げてきた恨み辛み。それを浴びた彼は、意識を保つだけでも精一杯という様子で、隣に座ってどこか遠くを見つめているベリアルの視線の先を追った。
そこに映っていたのは、惑星全体が炎に包まれた場所。始まりの特異点である冬木のような場所だった。
そこで戦闘を繰り広げる3体のウルトラマンと、強力な重火器を体全体に搭載している機械の龍。
『知的生命体は平和を望みながら、争いをやめることも、星を汚すこともやめられません。矛盾と欠陥を抱えた弱い存在……』
だからすべてをリセットするのだと、まるでゲーティアと同じような考えに至った機械龍の言葉がロマニの耳に響く。
それもその筈だ。彼の機械龍ーギルバリスは永遠の平和を築く為に作られた叡智の結晶。その結果宇宙に知的生命体は不要であると判断し、自らの惑星を葬り去った存在。ゲーティアが辿ることになる未来の姿とも言える存在がギルバリスなのだ。
『確かに僕たちには欠点もある……。欠点だらけさ!』
そんなギルバリスの出した結論に反論したのは、ベリアルに似た瞳を持ちながら優しい空色の輝きを放つウルトラマンだった。
彼が言う欠点。自分の身の回りにいる人たちの悪いところ、悪いと言っても全部が全部聞いてしまえばしょうもない日常の中の一コマ。
世界から、宇宙から見れば誰も気にしないようなちっぽけでどうでもいいような事が欠点だと、
『僕も欠点だらけだ! でも、みんなは僕を信じてくれた……信じて頑張ってくれた!』
『ふ、フハハハハ。そうだ、その通りだジード! まさかたかだか20年そこらしか生きてねえお前がその答えに至るとはなあ!』
心の底から嬉しそうな声を上げたベリアルは、ギルバリスとジードの決着を見届けることなく立ち上がり、倒れているロマニのことを担ぎながら後ろの方へと歩いていく。
『さ、最後まで、見ていかなくていいの、かい?』
『結末は見えている。それよりも早いとこ掴まなきゃいけねえもんがあるからなぁ』
『それ、って……』
『このオレの欠点を補うとかほざいたくせに、カッコつけて先に逝こうとしてやがる大馬鹿野郎の手だ』
必要。そんな言葉を、かけてくれるなんて思いもしなかった。
だって、ドクター、ベリアルさんと同じ名前を持つ存在をその身に宿していた人が彼と同化したんだ。これに勝るものなんて他にない、あるはずがない。
べリアルさんと分離するとき、彼が自分の力の残滓を私の身体に少しだけ残してくれたからどうにか生き永らえているけど、それだけだ。
元から死に体だった私の身体は、支えとなるベリアルさんが消えたことで既に立ち上がる力すら残されてないくらいにボロボロで、この先の結末を見届けて眠ってしまおうって。そう思ってたのに……。
「『お前がこのオレに言ったんだぞ? 思いを貫け、心に正直でいろとな。だからそうすることにしたんだ』」
⦅やらせるものか!⦆
「それはこっちの台詞なんだよ!」
「ふっ、あっちにばかり目が行ってて私たちに気づかないなんて随分舐められたものねえ? マスターちゃんは返してもらったわよ!」
⦅だからどうしたという! 我らに攻撃を加えてみろ! 傷つくのはかの「んなの知ってんだよ!!」────ッ!⦆
「私のますたあがそれ程度の覚悟もなく立っているとお思いで? あまり下に見るも限度があるというもの」
「────ッ! すうぅ、はあぁ……行くよモーさん、オルタ、清姫! ベリアルさんたちの時間を稼ぐ!!」
「『────。このオレの、ウルトラマンベリアルの隣に立つと確言した男は誰だ? 並び歩くと主張したのは何処のどいつだ? お前だろう、宮原博樹』」
そうだ。言った、言ってやったさ! あの森の中で確かに言った! 彼が抱えていた闇を知って、リクくんのように受け止めるんじゃなくて、ベリアルさんの隣に立って、一緒に歩いて! 知らなかった、今まで感じたことのない旅をしようって!!
出来ることなら最後まで戦いたい! だけど身体が!! 顔を上げる力もない、伸ばしている手がどこにあるのかも分からない!!
そんな私に何が出来るって言うんだよ!!
「『────やはり、オレではお前がガキの頃から憧れ続けた存在にはなれないか?』」
「グッ!嗚呼ぁああああああああッ!! 」
────
卑怯だ、あなたはいつもいつもいつも卑怯だ!! そんなこと言われたら!! 何がなんでも!! 立つしかないだろっ!!!
動け、動け!! うごけうごけうごけうごけうごけっ! ここで動かないで、何がベリアルさんの隣にいるだよ!! ふざけたこといってんな!!!
「『マスターとサーヴァント。そんな曖昧な繋がり、断って正解だ』」
「あああああああああああああッッ!!! 」
そうだ、最初っから不満だったんだ! 魔術で繋がれた主従の契約なんて!! そんなあってないような鎖がないとベリアルさんとのつながりを感じれないことが! 無くなったらそれきりだって不安がいつも胸の奥の奥の方にあったから!!
「『他の誰でもねえ。適正だとか相性なんかじゃねえ! お前じゃなきゃダメなんだよ。……だからこのオレを手を取れ!』」
こんな最高のチャンス! 二度とあるわけないんだ!! あの人が! ベリアルさんがぼくのことを求めているなら、それに応えるのが!! ぼくが憧れた! ぼくが目指した! 今この一瞬でしか掴めない!
ぼくがなりたい! ウルトラマンなんだああああああああああ!!!
────────ガシッ!
「……
ソロモンinベリアル
ソロモン七十二柱を内包していた。その中にベリアルという名前の魔神がいたからこそ出来た同化。
しかしながら、ベリアルが消滅寸前だったこともあり博樹と同化している時ほど力を引き出せないためゲーティアが本気で潰そうとすれば勝てるくらいの戦闘力しかもたない。
見た目は完全にダクヒ版の人間態ベリアルさんをイメージ。
なりふり構わず倒そうとしたが立香ちゃんと彼女のサーヴァントに邪魔されたために一番起こしてはいけない事態へとつながった。
ロマニが宝具を使ってゲーティアが崩壊していく(攻略可能になる)のが本筋ですけど、んな弱体化したゲーティア相手にして何が面白い?
最強の状態のゲーティアをぶっ倒してこそだろ!!
明日!ようやく、ベリアルはあの姿へ……。