【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
むすこのさいだいのしょうがいとしてあらわれた、さいあくのすがた
そのそんざいがいま、じんるいをすくおうとするものへ
きばをむく
────小さな宇宙が、そこで生まれた。
「やった! 博樹さん! ベリアルさん!!」
「へっ! ようやくか、よッ!!」
「随分と待たされたじゃない、一時間くらいかかったんじゃないの?」
ベリアルの手を博樹が掴んだ瞬間に起きた、超新星の爆発にも似た輝き。自分たちが稼ぎ続けた時間は無駄じゃなかったことが証明された立香たち。
ずっとベリアルへ注意を払っていたゲーティアはその光で一瞬だけ視界を奪われ、彼を一分一秒でも長く押しとどめようと全力を出していた立香たちはその光を背中から受け、勇気を奮い断たせる。
「────! こ、い? そこに、飛び込めばいいの! ベリアルさん!!」
「っておい立香!! っちたく、しょうがねえな! 最後まで付き合ってやるよ!!」
そんな時、立香はその光から自分を呼んでいる声が聞こえたのか。迷うことなく、ゲーティアに背を向けてその光に向かって走りだした。
それを見たモードレッドは直ぐさまその後を追い、ジャンヌオルタはゲーティアの道を阻むため槍の雨を降らせて足を封じる。清姫はというと……。
『お乗りくださいますたあ!』
「清姫! ────うんっ!!」
迷わずに自らを竜の姿をへと転身させ、立香のことを背に乗せたまま光へと一直線に向かう。
どんなにゲーティアが自らに攻撃を加えて立香のことを止めようとしても、もう遅い。
別れに耐え、絶望を振り切った彼女を止められるものは誰もいない。どんな痛みが襲ってこようがお構いなしに、立香はその光の中へと飛び込んでいった。
「────はあっ!!」
さっきまで感じていた苦痛がなくなっている。やるべきことは分かってる。
私が掌を上に向けた状態で右手を前に出すと、そこに粒子状の光が集まってくる。
『そうか、コレはマシュの……。なら、ボクの力も使ってくれ。ないよりはマシなはずさ』
右手に集まる粒子がマシュちゃんの中に宿っていたリトルスターだといち早く気づいたドクターは、もうベリアルさんと同化している意味がないからか、自らの力を全て移してくれた。
そうして完成したカプセルがどんなカプセルなのかも確認もせずに、私は装填ナックルの中に一本目のそのカプセルを挿入する。
視なくても分かるさ。このカプセルは、過去に飛んででも未来を救おうとした、人から人へ繋がる明日こそが未来だと自分自身に証明して見せた
「もう一本は………………これだ」
私が取り出したカプセルは、ベリアルさんがこの地球にやってきて
あの時、立香ちゃんがベリアルさんに歩み寄ってくれた、その時にはもう生まれていたもの。
期待のルーキーとして送り出されたけれど、地球に降り立った時は未熟の一言。だけど、その星に生きる人々と、大切な仲間たちと時間を共にしていくことで、最後には光の国の宿敵である暗黒の皇帝を打ち倒すほどに成長した。諦めず仲間たちと何度でも立ち上がる不死鳥の戦士。
そのカプセルを起動させるために起動部に手をかけながら前に突き出すと、それを遮るようにベリアルさんの声がこの空間に響く。
『フハハッ! こんなものじゃねえだろ
「当たりまえだあああああああ!!!!」
ベリアルさんの声に応えて、立香ちゃんが外からこの場所へと飛び込んできた。
その勢いのままカプセルを持つ私の手を強く握ると、はあ、はあと息を整えながら、立香ちゃんは掌に刻まれた令呪を輝かせる。
「第一、第二、第三!! 全ての令呪を持って命ずる!! 私のこれまでの旅の証明を!! 夜闇を照らす綺羅星よ!! 今ここに集ええええええええええ」
死痛の隷属の中でも、私とベリアルさんのためにゲーティアと戦っていたから、女の子なのに手はボロボロで、身体の至る所から血が流れているのに、一言も弱音なんて吐かずに、思いっきり叫んだ。
カルデアの令呪に絶対的命令権はない。けど、令呪3個分にも及ぶ魔力と立香ちゃんの強い思いが込められたその願いは、この空間を超えて、ソロモンの宙域全体に響き渡る。その証拠に、一つとして同じものがない流星が、立香ちゃんのウルトラカプセルの中に集束していく。
特別な力も持たない少女の元に、100を超える偉業を為した英霊たちが力を貸してくれる。光の戦士が、絆を紡いだ人間たちと一緒に皇帝を打ち倒したのとは正反対。だけど、彼女を中心に無限の輪が生まれたのは同じだ。
溢れる熱が抑えられないのか、カプセル自体が赤く、燃え上がるように赤く変化したそれを装填し、目の前で私が掴むのを待ってるアリスちゃんからライザーを受け取る。
「アリスちゃんも、一緒に行こう!!」
「ええおじさま。わたしにみせて!
リードさせたライザーから聞こえる声は、心なしか今までよりも気合の入ったものになり、装填した戦士たちの名前を強く、つよく叫ぶ。
その二つの力が混じり合い、ライザーのスイッチを押す前から力が溢れ出している。そんなライザーを天に向かって掲げスイッチを押すと、私たちが今いるこの場所が変化する。
「綺麗……」
一瞬暗闇の世界に飛び込んだのかと思ったけど、ぽつ、ぽつ、と数えきれないほどの星々が輝きだしたことで、星が瞬く銀河がこの小さな空間の中に生まれたことが分かった。その美しすぎる光景に目を奪われてしまうけど、気持ちを切り替えて叫ぶ。
「いくぞ立香ちゃん!ドクター!マシュちゃん!ベリアルさん!!! そして百を超える英霊たちよ!!」
「「『『『『
「────ッ!?」
「おお? どうしたゼロちゃん! んな張りつめた顔してよお?」
「あ? いや、気のせいだったみたいだ……」
あるものは、その戦士がそんな力を持つなど有り得ないと信じきっているために勘違いをし
「────ベリアル。……お前、なのか……?」
「ケン? どうかしましたか?」
「む、ああ。なんでもない、なんでもないんだ(闇は消えていない、だが至れたのだなベリアル)」
「その割にはうれしそうですが……?」
またあるものは、光を持っていた時を誰よりも知っているからこそ気づき、厳格な雰囲気を壊すくらいに満面の笑みを浮かべ心の底から喜んだ。
「父さん!?」
そして彼の血を唯一受け継いだ息子は、誰よりも早く、誰よりも正確にその力を感じ取っていた。
「光と闇が調和してる。まるでプリミティブの僕、いいや違う。光と闇だけじゃない、沢山の力が一緒に混じりあって極限まで力を引き出していってる。これは……ウルティメイトファイナルと同じ……究極の力?」
今まで幻だと思っていた、自分の中に潜む願望が見せる夢だと……。けど、これは違う。今まで見ていた夢が全部本物だったと証明する力。
同じ道を歩むことは出来ないと決別した父が、
「ふうぅ────はあああああああッッ!!!!」
光が収まらないうちに、この宙域全体を震わせる咆哮が響く。
同時に、ベリアルの背中からエメラルドグリーンの輝きが放出し、何かを取り込んでいる。
「善も! 悪も! 秩序も! 中立も! 混沌だろうが何だろうが関係ねえ!! 勝手にテメーらの未来を守ってやるんだ、テメーらも、力を寄越しやがれええええええ!!!!」
ベリアルが求めたのは、今を生きる全ての人間たちの持つ
⦅なんだ……なんなんだ貴様のその姿は!! 自らが宇宙を内包する存在だと!? 何なんだ貴様は!!⦆
「聞きてええか? 聞きてえよな!! オレの名は
骸のような灰色の装甲は以前と変わらないが、黒を基調としていた肉体は黒に近い紫へと変化しゲーティアが言っていたように宇宙を内包しているのか数えきれないほどの星が煌めいている。その輝きが灰色の装甲を照らしているのか、銀に輝いているように見え【銀色の巨人】そのものになっている。
そして、怒っているようにも笑っているようにも見えた黄色い目も、光の国を追放され闇に堕ちてから変わることのなかったカラータイマーもその色を変えている。
全てを受け止める、空の色。息子であるジードと同じ、水晶のように綺麗で、涙を固めたようにも見えるその優しい色に、瞳もカラータイマーも色づいていた。
そうして巨人サイズに変身をしたベリアルは、ゲーティアと同じサイズなで縮まりながらいつものように首を鳴らす。
「時間がねえからな。さっさと決めさせてもらうぞ!」
⦅────ッ! ガッ!!⦆
魔人の目でも捉えられない。地面を蹴る音が聞こえたと思ったら自分が殴り飛ばされていたことに驚きを隠せなかった。
例えどんなにベリアルが強くても、ビーストとしての真の姿を見せた自分ならばどうにか対処できるのではないか? そんな甘い期待をただの拳一発で砕かれた。
「はあ……どうした? オレも
⦅クッ……貴様、そうか! 死痛の隷属を自らに移したか!!⦆
ゲーティアの言う通り。彼によって立香つけられた死痛の隷属は今、ベリアルが請け負っている。
立香も同化して一緒に変身した際に自分にだけダメージが来るように、そしてベリアル自身の力で閾値を超えないように調整して。
「ほらどうした? ご自慢の魔術とやらを繰り出してみろよ?」
⦅クッ! クソがあああああああ!!!!⦆
舐めらている。つい先程まで負けることすら想像出来ない盤面が一気にひっくり返された。
怒りの声を上げるゲーティアは、しかして冷静に、ティアマトの光線には届かないが、1発1発が並のサーヴァントの宝具と同じ威力を誇る魔術を数百と展開する。した。したはずだった。
パリーンッ!
「悪いな、チンタラやってるもんだから全部壊しちまった」
《な、な、な……!!》
言葉が出ない。今何をされたと七十二の意識たち誰も答えの出せないことが目の前で起こった。お気楽なソロモンの時では不可能だった魔術の詠唱速度を神代のそれに限りなく近づけたゲーティアの魔術。
それに加え、威力はもちろんだがその強度も相当のもののはずだ。それをベリアルはゲーティアが知覚することすら出来ない速度で破壊してみせた。
魔術、そもそもベリアルに魔術の素養はないためゲーティアを超える魔術を使用した痕跡はない。加えてベリアルが主に手から放つエネルギーを凝縮させた球体や光線の類いを使用した跡も見当たらない。
ならばどうやって? 答えの見つからないゲーティアの思考は、どんどん目の前の存在への恐怖に埋められていく。
「次は邪魔もしなけりゃ避けもしねえから放ってこい。当たればこのオレに傷をつけれるんだろ?」
⦅────ッ!!! 後悔するがいい!! ベリアルぅうううう!!!!!⦆
下に見られていることが堪忍ならないゲーティアは、先程よりも速く、そして精巧に魔術を練り、それに加えて両手を合わせたその中心に凝縮させた魔力の塊をベリアルに向けて放出させた。
傷をつける。決してそのような生易しいものではすまさないと放った魔術はベリアルのことを包み込む。
放たれた魔術は相手を逃がさないため、確実に葬るためベリアルを中心にドーム状に広がり魔術が絶えず襲い掛かる結界を作り出した。
一撃でベリアルを倒せないのなら。1秒に数百、数千を超える魔術ならばどうだ。ティアマトの攻撃に一度は破れた貴様ならばこの攻撃は耐えられまいと……。
バンッ!!!
⦅────これでも、駄目だというのか!!⦆
絶えず魔術が飛び交い続けた結果、結界の内部はベリアルを中心に全てを溶かすマグマの海へと変わるが、それさえもベリアルは簡単に破壊し、その熱の中を歩いてくる。
一切堪えた様子もなく歩き、熱を浴びながらも曇る事なく輝き続ける胸に輝く空色の一等星と、ゲーティアのことを捉えたその瞳は美しささえ感じさせるほどだ。
「これでテメーが出せる手品は終わりか? なら、こんどはコッチの番だ!」
⦅ガアッ!⦆
来る! と思った時には既に遅い。ベリアルの拳はゲーティアの事を捉え、上空へと殴り飛ばす。
一撃の重さに悶えながら態勢を立て直したゲーティアは、自分の方に向かってくるベリアルを今度は目視できたため《死痛の隷属によるダメージでベリアルも同時に弱っている》から遅くなったと信じ、向かってくるベリアルに向けて魔術を何重にも掛け合わせた右腕を振りぬく。
そうして振るわれた拳だったが、ベリアルは自分に向けられた拳を片手で受け止めると、そのままゲーティアの拳を握りつぶした。
⦅──────!!!⦆
「こんなんで終わりな訳ねーだろ」
原型がなくなるほど強く握りつぶされた拳。声が出ない痛みが襲ってくるのはベリアルも同じであるはずだというのに、何食わぬ顔で、痛みを感じている右手で殴りかかる。
何発も、何発も、何発も……右の拳を掴まれて逃げられないゲーティアは何とか抜け出そうと空いている左手を行使しようとするが、右手から出した光輪によって斬り落とされ、終いにはその斬った腕を鈍器に地面に向かって叩きつけられた。
⦅グウッ……はあ……はあ……⦆
「どうした? もう終わりか?」
地面に叩きつけられたゲーティアは、潰された拳と、斬り落とされた左腕を再生させながら立ち上がると、ちょうどベリアルが空から降りてきて彼の事を見下す。
⦅……ぜだ。……なぜだ。……何故貴様は我らの邪魔をする!!⦆
「ああ?」
⦅貴様は本来人間など救う価値もないと嘲笑う存在のはずだ! その貴様が何故人間如きに肩入れする!!⦆
「…………ハハハハハハハ!! 何だ、まだそんな簡単なこともわからねえのか」
⦅何? ならば答えろ! 貴様は何故戦う! どうして悪の存在である貴様が正義を為そうとしている!⦆
無意味かも知れないが何重にも重ねた魔術障壁を張りながら魔術で攻撃をしてベリアルの足止めをするゲーティア。
変身した最初に時間がないと言っていたのなら何とか耐えることが出来れば自分にも勝機はあると、そう踏んで行動する。
「逆に聞いてやるよ? お前が行った人理焼却。あれは悪なのか?」
⦅────否、否だ! 我らが大偉業が悪だと? ふざけるな、我らの偉業が悪と呼ぶなら! 憎悪と絶望の物語しか刻めない人間どもの一生の方が悪に等しい!! どうあがいても消える、最後には死に対する恐怖しか残らない不完全な生物! 死を前提とした、生まれてから死に至るまで! 全てが悪意で染められた人間ども生こそが悪だ! 故に! 我らが望む永遠は未来永劫輝き続ける! 極点へ至るのは我らの行いだけが全であり、善なのだ!!⦆
「
⦅ガッ!!⦆
その言葉が聞きたかった。だからこそ直ぐにでも割れる障壁も、効きもしない魔術も丁寧に弾いていた。
ゲーティアの言葉を聞き終えると、ベリアルは相手の顔を掴んで地面へ叩きつけ、起き上がれないようにゲーティアの胸部を片足で踏みつける。
「お前は人間を
ウルトラマンベリアルアトロシアス(究極体)
使用カプセル・ウルトラマンギンガ:ウルトラマンメビウスフェニックスブレイブ
ベリアル本人すら考え至らなかった究極のアトロシアスの姿。ウルティメイトファイナルが『究極の一』だとしたら、このアトロシアスは『究極の全』。
本来は宇宙に広がるキングの力を全て吸収し、ジードをも吸収した姿こそが完全なものだったがまったく別の要因で進化した。
カルデアの紡いできた絆は勿論。復活した位相反転器官【ストルム器官】を使って今を生きているはずの人間たちの
立香とゲーティアを繋いでいた『死痛の隷属』を解除するのではなく、自らに移したことでゲーティアに与えるダメージ分全てベリアルに跳ね返ってくる。同化しているはずの博樹や立香ちゃんにダメージがいかないのはベリアルがそういう風にあの一瞬のうちに改造したため。
世界中の子どもたちの【光】を、光の巨人の石像から【光】を貰ったグリッターティガとは別で、アトロシアスの場合同意拒否関係なく全人類を強制的に吸収しているため完全に別物。
ストルム器官により、吸収した【光】は【闇】に変換され、【闇】は【光】へと変換されている。
全ての英霊を吸収しているため設定状英霊たちの宝具をウルトラマンレベルで発動することが可能だが、使わなくても強すぎるので使うことがない。(特撮あるある)
【絆すぜ!未来!!】
未来をつなぎとめる。そしてこの旅で自由だったベリアルの心が旅をしてきた仲間たちによって絆され、未来へ向かうことへの証明。立香ちゃんが、マシュが、そして博樹さんが彼の心を前へと進ませたことで起こった奇跡を現している。
デモニック・フュージョン アンリーシュにしようかアルティメットエボリューションにしようか。「〇〇ぜ、○○!」は何にしようかとこの小説を書き始めた当初からこのタイミングで登場させようと考えていたくせにギリギリまで決まらなかったり……。最初はギンガとメビウスのカプセルを反転させたルギエルとエンペラを使用とか、メビウスならインフィニティ?それともフェニックスブレイブ?逆にギンガをストリウムとかギンガビクトリーにしちゃうとか。ゼロビヨンドみたいにメビとエンペラ、ギンガとルギエルでエボリューションカプセルを産み出して〜とか色々悩みに悩んだんですよね……。本当、ここまでたどり着くのに長いこと長いこと。