【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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わるものは、せいぎのみかたにたおされる

それがあたりまえ。かわったりしない。

けど、いちどでいいからみてみたい。

わるものがみらいをつかみとる、そんなけつまつを




7

 

 

 

 

 

 

「お前は人間を価値なきもの()として切り捨てた。なら、守ってやるのも一興だろ! オレは光の国の罪の証、()()()()()()()()なんだからな!!」

 

⦅そんな……そんな馬鹿げた理由で我らの邪魔をしてきたというのか! 貴様はっ!! ⦆

 

「善の前に悪が立ちはだかる、数えきれないほど宇宙が存在していようがその事実だけはどんなに行ったって変わることはない! 真の平和? 未来永劫続く永遠の命? そんなもの外から脅威が襲ってくれば一瞬で崩れる。いちいちそんなことの為に時間を使ってる方が無駄でしかねえんだよ。まあ、無能だと罵っておいて大層な能書きを並べねえと叛旗の1つも翻せなかったテメーみたいな愚図が出す答えにしては、考えたほうだったんじゃねえか?」

 

 数多の世界を、星を、宇宙を渡り歩いてきたベリアルだからこそ、不変のものだと、善と悪がぶつかるのは自然のモノだという。

いくら地球と言う一つの星に恒常的な平和が、永遠の命が訪れたところでいつかは崩壊することを知っているからこそ、ゲーティアの行いは無駄でしかないと。

 

⦅ならば! 貴様が悪などしたら大人しく善に滅されるべきだ! 悪は善によって滅される! これも変わらない不変の事実のはずであろう!!⦆

 

 ベリアルに蹴り飛ばされたゲーティアは空中で態勢を立て直し、もうベリアルを倒すにはこれしかないとマシュのことを消し去ったあの宝具を発動させる準備をし始めた。その姿はまるでどんなに傷ついても、どれだけピンチに陥っても諦めないで立ち向かい続け、最後には必殺技で勝利を飾る正義の味方のようで……。

 

「悪いな。そんな理屈、オレには通用しねえ。()()()()()()()()。オレはそれを、身をもって経験してるからな」

 

 宝具の準備によって大気が震えるなかで、ベリアルもそれを迎え撃つために力を解放させる。それはこのソロモンの地を崩壊へと追いやるには十分すぎるほどの力場を発生させ、大地が、そして空までもが崩れていく。 

 負けるはずがない。このまま勝利するのは自分だと信じ切っているその姿は、まさか起こるはずがない偶然、奇跡によって敗北を喫する悪役のようで……。

 

⦅何を! 何を訳の分からないことを…………!! 貴様も、そして貴様と同化しているあの無能な王も!! ここで消える、我らが消す!⦆

 

「あってもいいだろ。奇跡が起きて復活なんてクソな展開をぶち壊す、相手を完全に葬りさって勝利を飾る悪役がいてもよおぉっ!!」

 

⦅貴様らを滅ぼすことこそが、人類史の終焉。我らが大業成就の瞬間だ!! この一撃を持って、この星は転生する!! あらゆる生命は過去となる、ウルトラマンベリアル!! 貴様もだ!! 讃えたまま消えるがいい! 我らが偉業! 我らが理想! 我らが真意! 貴様ごときに、受け止められるものかああああっ!!!⦆

 

 ゲーティアが背負っているのは、この世界の生末を案じる愛故の行い。人類全てをより良いものにしようという人類愛によるものから来たもの。

今よりもよくなりたい。そんな子供ですら持つ当たり前の願望、進化しようとする意志がゲーティアを動かした。進化させるために古いモノ(今の人類史)を切り捨てるという結論を持って。

 

「人類を守るなんざ『ついで』でしかねえんだよ。オレはオレの守るべきものだけ守れればそれでいい。テメーみたいに、世界なんざ背負ってられるか!!」

 

 背負うのは守ると決めた、ようやく気付けた守るべきものとその未来だけ。たったそれだけでいい、それだけで満たされるものだったのだ。

ベリアルは地面に向けた両腕を交差させると、内包している星々がその輝きを強くする。

 

はああああああああああッッッ!!!!  

 

 組んだ腕を上空に向かって突き上げると、星々はその輝きをさらに強め、ベリアルのことをその眩い輝きで包み込む。

 世界を震わせる雄叫びをあげ、手を左右に広げると、全身から赤黒い稲妻と黄金のエネルギーが放出し、瞳からも光が溢れ出る。

 

 

 人類史の熱。3000年という歴史の中で人類が発生させた全ての熱量を集束させた極大の光が、目の前に残された唯一にして最大の脅威に向かって放たれる。

 

ア ト ロ ス ノバッ!! 

 

 相手の方が早いから、極大の光が迫ってきているからとベリアルが態度を変えるわけがない。開放させたエネルギー全てを凝縮させた腕を十字に組んで光線を放つ。星の光を含ませた黒紫の光線が、空色の稲妻を走らせながらベリアルの腕から放たれ、人類史そのものと激突する。

 

文字通り、身を粉にして立ち向かうベリアル。この地に留まっていることすら限界に近く、アトロシアスの姿自体消耗が激しいため身体は分解を始め、ベリアルの身体から粒子が漏れ出ている。それでも、ベリアルは光線を弱めるどころか更に勢いを強めていく。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「創世へと至らんとする光と創世を破滅へ齎す光の衝突か。全員、衝撃に備えろ!!」

 

 映像からゲーティアの宝具とベリアルの光線の衝突を確認したダヴィンチは、カルデアに衝撃が襲ってくるのを予期して職員たちに指示をだす。

ダヴィンチの言う通り、創世への時間逆行を可能とするゲーティアの宝具と、新星(ノバ)を冠するベリアルの光線のぶつかり合いはその中心点にブラックホールが生まれる。

 

 生まれた黒点によってソロモンの地が崩壊を始める。その衝撃の余波はカルデアに届くことは容易に想像できたからダヴィンチは指示を出したのが、いくら待ってもその衝撃は襲ってこない。

 

「ははは、まったく。キミには驚かされてばかりだね、ベリアル」

 

 コレが最後の戦い。カルデアで見守っている全員もそれを感じ取っており、見守りながら唯一英霊の中でベリアルの力に入らなかったダヴィンチがその光景と、今カルデアに異常事態にため息をこぼさずにはいられなかった。

 

「ダヴィンチちゃん、やはりこの緑の結界のようなものって」

 

「十中八九ベリアルだろうね。『ついで』か……。差し詰めココは立香ちゃんと博樹さん、それにマシュの帰ってくる場所だから守ってくれているのかな?」

 

 当初、ゲーティアがその真の正体を現した時、魔神柱がここカルデアに侵入してきて破壊しようと暴れるのをどうにか抑え込んでいた。

それが今ではその心配をする必要がない。ベリアルがアトロシアスへ変身を果たした瞬間に、緑色の結界がカルデア全体を守るように張られ、侵入していた魔神柱も一瞬で消滅していた。

 その結界が黒点から生まれる余波すらも防ぎ、ダヴィンチやカルデアの職員たちを全員守っている。

 

「やってやれロマニ。これが迷い続けた、悩み続けたキミの答えなんだろ? 見届けてやるさ……」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラッどうした!! オレを、オレたちを消して見せるんだろ!!」 

 

⦅何故だ! 何故まだ立っている!! この火を! この熱を前にして! 何故まだ貴様はそこにいる!!⦆

 

 盾だけを残してマシュを消滅させたように、宝具【誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの(アルス・アルマデス・サロモニス)】の熱量を上回るものはこの地球上には存在しない。

 ベリアルの身体から粒子が飛び出ているのを見て、ゲーティアは後一歩だと、このまま押し切れると思ったが、いくら経っても相手の光線を撃ち消すことが出来ずにいた。

 

「それが分からねえから、テメーは負けるんだよおおおおおおっ!!!!」

 

⦅グッゥゥ! 負けぬ! 負けられぬ!! この星を! 世界を! 人類を救うため!! 私はああああああッッ!!!!⦆

 

 ベリアルが腰を落とし、光線がその勢い更に強める。それによって拮抗していた光線同士の衝突は崩れ去りアトロスノバが相手の光線を押し返し、黒点すらも消滅させゲーティアに迫る。

 

()()()()()()()()()()ヤツが! 生命(いのち)を語るな!!!」 

 

⦅あ、ああ! あああああ!! 来るなっ、来るなっ!!⦆

 

 迫ってくる光線を押し返そうとさらに魔力を込めるが、どんなに込めても押し返すことが出来ず錯乱し始めるゲーティアは、エネルギーの隙間からベリアルを見る。

 

「はははははははは!!! 泣け! 喚け!! それが死ぬってことだ!! お前らが嘲笑った死を、覚えて逝きやがれッッッ!!!」

 

⦅ああああああああああああああッ!!!!⦆

 

 願望、野望、自信、全てを正面から叩き潰し包み込んだ光線は、ゲーティアが作り出したこの特異点の天まで届き、光で包み込んだ。

 

『カルデアのこと…………、みんなのこと……お願いね。反英霊だろう貴方にこんなこと言っても無駄かしら? そうね、みんなじゃなくてもいいから────────』

 

「……地球人との約束一つまともに守れねえんだ。宇宙を手に入れるなんて、最初っからオレには不可能だったんだ。なあ? オルガマリー・アニムスフィア」

 

 

 

 

 

()()()()()()のこと、守ってね? ベリアル

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ここは……』

 

 ベリアルさんがゲーティアを倒した光線の光に包み込まれた私は、辺り一面真っ白で何もない空間に突っ立っていた。

何が起こったのか分からなくてキョロキョロ辺りを見渡していると、私の目の前にベリアルさんのカラータイマーと同じ色をした球体が現れる。

 その球体は光を放つと、この旅で何度も私たちのことを助けてくれたウルトラマンの姿をとる。

 

『ベリアルさん!』

 

『よく、ここまで歩き続けたな。立香』

 

 穏やかな表情を浮かべながら、ベリアルさんは私に向けて激励の言葉をかけてくれた。

今まで、真っ直ぐに褒めてくれることなんて一回もなかったベリアルさんからそんなことを言われてしまったせいで、色々と察してしまって視界が歪んでいく。

 

『みんなが、い゛だがら゛……。 私ヒクッ一人じゃ、ごごまで、辿り、づげながっだ!!』

 

『それが理解できてっから、お前はここまで歩いてこれたんだ』

 

 優しい声色で、その鋭い爪には似合わない優しい手つきで頭を撫でてくれるベリアルさんに我慢できなくて、涙も拭かずに抱き着く。

ベリアルさんはそれを拒絶せずに、折れないようにぎゅっと抱きしめ返してくれた。

 

『生きろ立香。お前は生きて歩み続けろ』

 

『────ぐすっ」

 

『どんなに足掻こうと、どれだけ支配しようと、何度踏みつぶしても、オレは勝利を掴みとることが出来なかった。そんなオレが初めて手にした勝利がコレだ。お前たちが、オレをここまで導いたんだ』

 

『そんな、そんなごどっ!』

 

 導いてもらったのは私たちのほうだ! どうすればいいんだろうって迷ったとき、躓いたとき、いっつも背中を押してくれたのはベリアルさんだった。

だから! だから!! 

 

『お前は証明だ。オレが守りぬいた勝利の証、それがお前なんだ立香』

 

『勝利の……あかし』

 

『だから生きろ。お前が覚えている限り、生きている限り、オレが掴んだこの勝利は揺るがない。 行く手を阻む嵐が吹雪いても、満点の星が襲い掛かろうとも、王だろうが神だろうが誰であろうが関係ねえ! 生きて歩き続けろ』

 

『できるかなあ、私に』

 

 知ってる。ベリアルさんは私のことを信じてくれてるから大丈夫だってそう言ってくれるって知ってる。

だけど最後だから、もう会えなくなっちゃうから、めんどくさい女だって思われていいから聞き返す。

 

『お前は恐れず、逃げもせずにこのオレに歩み寄ってきた大馬鹿だぞ? そんなお前に出来ないはずがねえだろ、挫けようが躓こうが何度だって立ち上がって喰らい付け』

 

『うん! うん! うんッッ!!』

 

『お前に出会えてよかった。じゃあな、立香コイツは餞別だ』

 

 そう言って、ベリアルは私の手にウルトラマンメビウスのカプセルを握らせる。

 

『きっと役に立つ。それに元々これはお前のモノ()だからな』

 

『……私も! ベリアルさんに出会えてよかった! 助けてくれてありがとう! 守ってくれてありがとう! 沢山教えてくれてありがとう!』

 

 ベリアルさんの温もりが遠ざかっていくのを感じながら、沢山の気持ちを込めてありがとうを言い続ける。

ずっと一緒だった。ベリアルさんからすれば短いかもだけど私にとってすごく長い旅を最初から歩いてきてくれて……。

 

「ありがと──────!! ウルトラマンベリアル────!!!!」

 

 

 

 また、また会えるって信じてるから!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

『行くんですね、ベリアルさん』

 

『ああ。流石に無理をしすぎたからな……』

 

 私もベリアルさんも無茶をしすぎてもう立ち上がる力も残ってないもんだから、2人して力なく座りこんで背中を合わせながら話をする。

ここまでの話を思い出しながら……。

 

『家族と離れて、見知らぬ土地にやってきて爆弾で死にかけたと思ったら、子供のころからの夢が叶っちゃうんだもんな~。本当、数奇な運命だよ』

 

『息子に引導を渡されて、気持ちよく眠ってたと思ったら叩き起こされて、気がつきゃこんなトコまで来てた。ふっ、運命ってのは本当わけわかんねえな』

 

『はは』

 

『フッ』

 

『『ははははははははははははっ』』

 

 2人して笑った。そりゃあもう楽しそうに、ベリアルさんの表情は見えないけどどんな表情をしているのかは考えなくても分かる。

ずっと、ずっと一緒にいたんだ。いや、いなくたってこれくらい誰だって分かる。

 

『楽しかった。貴方と一緒に旅をしたのは……目が覚めたのは遅かったけど、貴方が旅してきた記憶も、経験も全部覚えてる。だから……だからっ!』

 

『────』

 

『この手を、離したくないッ!!』

 

 この場所に来てからずっと、ずっと握っていたベリアルさんの手を更に強く、つよく握りしめる。

別れが刻一刻と迫っているってわかっているけど! それを受け入れられるほど、僕は大人にはなれない。

 

『別れたくない! 離れたくない! もっと一緒に旅をしたい! 歩いていきたい!! もっと! ……もっと!』

 

『お前とじゃなきゃ、オレは守るべきものを手に入れられずに消えるだけだった。お前だったから、オレはオレの運命を引っくり返せた。お前は違うのか? 光の戦士でも良かったってのか?』

 

『嫌だ! イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ!!! 他の誰かなんて知らない! 僕が隣を歩きたいと思ったのは貴方だけ! ウルトラマンでも、ケンでもゼロでもジードでもない!! ウルトラマンベリアル!! 貴方だけ、貴方しかいないんだ!!」

 

 子供のような駄々ってわかってる。けど、もう他の誰かなんて考えられないんだ。ウルトラマンを好きだって気持ちは変わらない、だけど一緒に歩いていきたいって思うのはベリアルさんしかいない。彼以外のウルトラマンなんてどうでもいい!! 

 

『────だからお前に託せるんだ。後始末もな』

 

『ッ……。コレは……!?』

 

『強大すぎる力は、その大元が消滅しても多大な影響を及ぼす。その後始末、任せるぜ』

 

『だからって、なんで()()を!』

 

 ベリアルさんの手が離れるのと同時に託された鋼を握りながらベリアルさんに向けて叫ぶ。

だってこれはベリアルさんの……。

 

『戻った所で眠るだけのオレには、宝の持ち腐れもいいところだ。だったら()()()()()()()()()に預けておくのが一番だろ? なあ、博樹』

 

────、本当言うこと為すこと全部卑怯なんだんよなあこの人は……。

 

『本当、無理難題もいいところだ。普通友達だからってこんなこと押し付けたりしませんからね?』

 

『出来ねえ奴には最初から頼みやしねえよ。────じゃあな、博樹』

 

『託していくんだ。取りに戻ってこないと許しませんからね? ────だから、()()()()()()()()ベリアルさん』

 

 僕のその言葉を聞いて、ベリアルさんは大きな笑い声を上げながら遠ざかっていく。

僕もそれに倣って、頬から流れる雫を誤魔化すように笑い声を上げながらその場所から遠ざかる。

 

 

『ハ、ハーッハッハッハッハッハッハッハッ!!』

 

『は、ははは。はっはっはっ。……すぅ ははははははははは!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アトロスノバ
 アトロシアス(究極体)が放つ究極の光線技。アトロスバーストの進化系。
ゲーティアの宝具を消滅させ、ゲーティア本人すらも消滅させた究極の一撃。死痛の隷属でゲーティアとベリアルも繋がっていたため、ベリアル本人もその痛みを味わいながら消滅した。
ソロモン(ロマニ)は痛みこそないが、ゲーティアとともに完全にこの宇宙から存在が抹消されて散っていった。ウルティメイトファイナルの光線技がレッキングノバなため、同じアルティメットエボリューションをしたならこちらだろうと……。
普通にアトロスバーストにしようか、それともデスシウム光線にしようかとこちらも結構悩みに悩んだ気が……。
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