【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
べりあるは、ちからをかしただけ
あくにちからをかしただけ
だから、さいごはじぶんのてできりひらかなくちゃ
べりあるがいなくても、だいじょうぶだって
────星の光が、我らを包み込んだ。
……ああ、失われていく。細胞の1つ1つが光すらも超えた速さで完全に消滅していく。矮小化する、減少していくなど生易しいものだ。この世から完全に消えてしまうのだ。
怖い。怖い。怖い
おぞましい。おぞましい。おぞましい。
一柱が欠け、初めて全能の一部を失った時に感じたものとは訳が違う。かつてない感情の波が我らの全てを奪っていく。
知らない、知らない、知らない、知らない。我らは、この恐れを知らない。奪わないでくれ、と懇願したくなる嗚咽を知らない。
『
ああそうか、これが死を迎えるものが感じる気持ちか……。
我らは見ていただけに過ぎなかった。ベリアルがいうように、我らがこれを語るのは早すぎたのだ。
それと同時に、我らはおぞましいまでの恐ろしさを感じた。
これを、
────ああ、我らは負けるのか……。あの男に、あの王に……
だがまだ……。まだ、終わらせは、しない………………………………。
「────────ん」
「──て────ちゃん!」
「起きて! 立香ちゃん!! 」
「ん……。博樹、さん。……ベリアルさんは?」
「いったよ。もう、ココにはいない」
自分の胸に手を置きながらそういう博樹さんを見ながら。それと、自分の手に握られてるカプセルの存在から、ああやっぱりさっき見たアレは夢幻なんかじゃなかったんだって実感する。
『────ようやく繋がった!! 悪いけど感傷に浸るのは後にしたまえ! ゲーティアの完全消滅、そしてベリアルが最後に放った光線によってその領域は崩壊を始めている。束なっていたあの光帯が解けて爆発する前にカルデアに帰還するんだ!』
崩れているけど、遠目から玉座が見えるから今私たちがいるのはこの領域の中心部、そこから最初にレイシフトしてきた聖門に辿り着けばカルデアに戻れる。一見簡単そうに聞こえるけど、そうしている内に崩れていく神殿は少しずつ進むべき足場が崩れていくし、光帯がいつ爆発するのか分からないから一分だって急がなくちゃいけない。
「はい、立香ちゃん。コレ」
「え? わっとっと……。コレって、マシュの盾」
「持って行って。キミにはこれが必要だ」
「必要って……それはそうだけど、博樹さんは!!」
急がなくちゃいけないというのに、博樹さんは落ち着いた様子でマシュの盾を渡してきて、自分は聖門があるほうじゃなくて玉座のある方角に向かって歩いていく。動揺していて気づかなかったけど、その手にはベリアルさんの宝具『
「やり残したことがあってさ。それをやってからいくよ、だから先に行ってて」
「行くならわ、きゃあ!」
私も! そう言おうとしたらまるで狙っているかのように大地が割れ、私と博樹さんのことを分担させられた。
こっちが慌ててるのに、博樹さんのほうはひどく落ち着いた様子で、先にさきにと進んで行ってしまう。
『ああまったく! ベリアルがいなくなったというのに勝手やって! 崩壊が近い、君は早くこちらに戻ってくるんだ!!』
「フォウフォーウッ!」
「~~~~!! わかりました!!」
玉座の先の、更に奥。玉座を中心に輪のような形状をしていた神殿の更に奥に設置された離れ小島のような場所。
ベリアルと博樹の2人を、立香たちから分担させるためにわざわざ作り出したその場所に出来た一際高い岩の塊のその天辺に、ソイツはいた。
『まさか本人自ら赴いてくれるとは思わなかったよ。最後のピース、キミとそのギガバトルナイザーが』
天向かって両手を広げ、何かを吸収していた人型のソレは、丁度その吸収を終えたのか恍惚とした表情を浮かべながら博樹のほうにその顔を向ける。
その顔を見た博樹は、怒りを混ぜ込んだおぞましい者を見るような目で見ながら顔をしかめる。
「最後の光線を受ける前に逃げた。いや、受けて再生したのか」
『ご名答! 流石はベリアルの元! マスターと言ったところか』
その姿を一言で表すとするならば
腕や脚、ベリアルの身体の全身から魔人柱の目玉が飛びだし、カラータイマーがあった胸の中心には巨大な目玉が存在している。
そして何より注目すべきはその眼だろう。息子であるジード以外に似た特徴を持つものがいない特徴的な鋭い瞳。その瞳の中に魔人柱の目玉が数十もの数入り込んでおり、ギョロギョロと動き回ってその不気味さを加速させている。
『アトロスノバ、あの光線によって魔神王ゲーティアは完全に消滅し、復活は有り得ないものとなった。……だが! オレは違う!! ウルトラマンベリアルと同じ名を冠するこのオレは! 彼のエネルギーを吸収することで生き永らえることに成功した!! ただ一人!! このオレだけが!!!! 』
「やっぱり。お前はここを守護していた魔神柱。魔神柱ベリアルなんだな?」
ロマニがベリアルのことを受け入れたことによって生まれた縁。元より同じ名前を冠しているいたこともあって朧気だった糸を確かなモノとした魔人柱ベリアルは、その糸を手繰りよせ、消滅する寸前の所で散りゆくベリアルの力を吸収することで復活を遂げた姿が、博樹の前に現れた化物の正体だった。
『もうオレは七十二柱の内の一柱ではない。オレは、オレがベリアルに成り代わる!! 』
「ッ!!」
ナイザーで防御していなかったら直撃していた。それほどに速く、重い拳が叩きこまれた。
二人の距離は十分にあったはずだが、そんな距離は関係ないと。これがベリアルの力の証明だと、相手は見せつけるように攻撃を繰り出してくる。
博樹もどうにかナイザーで防御し続けているが、攻撃に手を回せない。
『ギガバトルナイザー。そしてお前の中に残っている
“魔神ベリアル”これが、彼こそがベリアルが残してしまったもの。
後始末を託された。それ以上に、ベリアルの姿を醜く変貌させたことを怒りを持って、博樹は相手に突っ込んでいった。
『3分……この領域が完全に崩壊するまでの時間。実に、じつに
「限りある命を得て、ようやく理解できた」
人間の精神性を。そう言いながら攻撃を繰り出してくる最後に私の前に立ちはだかった敵『人王ゲーティア』。
その攻撃を、とても重たい盾で防ぎながら私は彼を一発殴るために進んでいく。
「違うよゲーティア。貴方もっと前から知ってたんだ」
「私が?」
「ベリアルさんと対峙したとき、ベリアルさんを止めるために策を講じたとき、勝つために卑怯な手を選んだあの時も! 貴方は“人間”だった!! 恐怖で心が締め付けられそうになったのにも打ち勝って! 負けたくないって足掻きに足掻いた!! それが人間じゃないっていうならなんだっていうの!!」
相手の攻撃を受け止めることが前提の戦い方、守って、守って、守り抜いた先にある一瞬を掴み取る。
怖い、一つでもミスをしたら負けてしまう。この重さを、マシュはずっと背負って戦ってきたんだ。
「……そうか、私は既に人間だったのか……知らなかったな」
「だからマシュにも、ベリアルさんにも」
「……実に、じつに面白いな。人生というのは……なら、最後の勝ちくらいは譲ってもらおうか」
人王の身体は刻一刻と崩れていく。数多くいた魔神も、人理を焼き尽くした火も全て燃え尽きた。
だけど、彼の目だけはまだ燃え尽きてない。『負けたくない』って足掻いて藻掻いて必死に、この一分一秒、一瞬の時間を生きてる。
だからこそ、私も負けられない!!
「私のこの命は、みんなが繋いでくれた!
カプセルを握った手に、目一杯の力を込めて私は目の前に立ちはだかる馬鹿な人間に向かって歩いていく。
『ハハハハハハハ!! 弱い! 弱い弱い弱いよわい!! やはりベリアルがいない貴様なんぞ、この程度かあああああ!!! 』
「ガハッ!!」
魔神ベリアルの拳が博樹の顔面を捉え、宙で戦っていたこともあって地面に向かって叩きつけられる。
直ぐに立ち上がって反撃しようとするが、相手はそれよりも素早く動き博樹の両手を踏みつけて動けないようにする。
「ウガアアアアアッ!!」
『快感だ! 全身の細胞が喜びに満ち溢れている!! これがベリアルの力!! 力だけで全てを支配することが出来る圧倒的な暴力!! 全能だったときは、味わうことが出来なかったことだあああああッッ!!!! 』
魔神ベリアルの容赦のない拳は、両手が動かせない博樹の顔面を何度も殴る。
歓喜に満ちた表情、ベリアルの力に酔った魔神はその仰々しい目玉を喜びに震わせる。
『だがまだだ。まだ足りない!! 本能が叫んでいる!! 力を求めろと、戦いを求めろと! 叩き潰せ! 捻り潰せ! 押し潰せ! 潤わないんだよぉお……この渇きがああああああ!!! 』
力を寄越せ。もっと、もっとだ。もっと力を寄越せ。全てを覆すほどの圧倒的な力を。
魔神ベリアルの思考はただそれ一点に染められている。だからこそ博樹を倒し、ギガバトルナイザーを手に入れようと躍起になる。
「────やっぱり、その程度か」
『なに……? 』
博樹の言葉に、魔神の拳が止まった。
「程度が知れてるんだよ。渇く? よく言うよ、溺れてるくせにさ」
『何を……ッ!! 』
両腕の動きを封じてることは変わらない、何を言おうがもうお前の負けは変わらない。そう腕を振り上げようとした瞬間、魔神ベリアルは後方に飛び退いた。
考えがあってのことじゃない、身体が勝手に動いた……。
『(馬鹿な……この恐怖は、ベリアルの!! アイツから感じ取ったとでもいうのか? 死の恐怖を!! )』
「私相手にビビってるんだ。お前があの人に成り代わるなんて、宇宙が崩壊してもありえない!!」
立ち上がり、ナイザーを相手に突き付けながら博樹は宣言する。
お前じゃ無理だ、ベリアルに成り代わるどころか自分にすら勝てないと。
「────行くぞギガバトルナイザー。アイツは、僕たちが全身全霊を持ってぶち殺す!!」
『何を舐めたことを言っているぅうううううう!! 』
博樹の瞳が、ベリアルの瞳と同じように赤へと変え、爪を鋭く尖らせて迫ってくる魔神に向かって大地を蹴る。
魔神の爪とナイザーがぶつかり合い、先ほどまでなら博樹が押し負けてしまっていたが、今回は違う。
「はああああああああっ!!」
『グウッ!? (なんだ、先ほどよりも力が増している? 内にあるBの因子を解放させたのか? だが!!)』
魔神ベリアルに押し勝ち、そのままナイザーから無数の光球を生み出して相手に放つ。
ナイザーから直接射出するのではなく、宙に光球を漂わせそれを博樹が相手に向かって弾いていく。
射出している時の隙もなくし、身体を守るように振るうことで防御にもなるその攻撃。魔神は押し負けはしたがすぐに態勢を立て直し、自らの手から光球を作り出すことで相殺していく。
次は! そう考えるころにはもう遅い。相殺したエネルギーで見えなくなった景色を切り裂くように鎌状の光線が迫ってくる。
ギリギリの所で避けることに成功するが、魔神を通り過ぎてもその鎌が空間を切り裂く音は消えない。全身に這う目玉たちで背後を確認すると、光線は勢いを衰えさせぬまま旋回し、魔神のことを追撃する。
『小細工を!! 』
正面からも何かが迫ってくる気配を感じ取り、これは逃げるよりも迎え撃つほうが得策と導き出し、両手に赤黒の光輪を生み出し先に鎌の光線を受け止める。
光輪と鎌は相殺したことで起きた衝撃に腕にダメージを喰らうがこの程度なんだと、正面から迫ってくる気配をもう片方の光輪で受け止める。
『ギガバトルナイザーだと!? 』
「さっきの仕返しだ。はああああッ!!!」
魔神が受け止めたのは回転して威力をましたナイザーだけ、博樹は絶対にナイザーを手放さないと決めつけていたためそれに驚き、頭上に現れた博樹の拳をモロに喰らい、今度は魔神の方が地面に叩きつけられた。
『グウッ!? (何故だ、何故アイツはここまでの力を引き出せる。アイツの中に残っているBの因子はほんのわずかのはず!!)』
魔神柱だった名残で、魔術を使って衝撃を抑えた魔神だったが、自分と同じかそれ以上に力を引き出してくる博樹に疑問が隠せず動揺する。
魔神が吸収したBの因子がを100とするならば、博樹が生きるためにとベリアルが残していった因子は1あるかどうかだ。それなのに博樹と魔神にそう力の差があるとは思えない。
自らの意思で博樹の手へと戻るナイザーを見ながら、瞳を光らせコチラに歩いてくる。魔神は次はどうすればいい、どんな手で攻めてくるのか、そういう事ばかり考えているから博樹が内に秘めるその熱に気づけない。
「これで終わりだ。あの人の姿を、力を侮辱したお前だけは……絶対に許さない!!」
『終わるものか!! オレはここを出て世界を滅ぼす!! 人類史は滅ぼせない、だが貴様ら守り抜いが今を生きる人類だけは完全に滅ぼす!! 』
「それが許せないって言ってるんだよ!!」
ガウェインの時は、増大した負の力が博樹のことを呑み込もうとしたが今回は違う。ベリアルの姿を騙り、その力を我が物顔で使う魔神のことが許せなかった。他の何かが入ってくる隙間すらない怒りを静かに爆発させていたからこそ、博樹は呑み込まれない。
きっとベリアルに言ったら否定されてしまうかも知れないが、人類を守り抜いたのは確かにベリアルだ。だからこそ、彼が守り抜いた人類を滅ぼそうとする目の前の魔神を博樹は絶対に許さない。
そんな博樹の怒りに呼応するように、ギガバトルナイザーもエネルギー強く放出させる。
「行こうギガバトルナイザー!! お前も認められないもんな!! あんな偽物にも劣る塵!! 一緒に消し去るぞおおおおおおッッ!!!」
『消えるのは貴様だああああああ!!! 』
魔神は両手を十字になるように組み、右手の掌にエネルギーを溜めて必殺光線を放つ準備を始める。
対して博樹は、力強く放出させたナイザーのエネルギーを先端部に集束させるために、大きく円を描くようにナイザーを振り回す。
「ベ リ ア ル!! ジェノサンダアアアアアアアアアッッッ!!! 」
『デスシウム光線!! 』
ナイザーから放たれる稲妻の必殺光線と、魔神の手から放たれる稲妻を纏う光線。
同じような光線のぶつかり合い。競り合い、意志の強いモノが勝つ状況になる。
────訳がない!!
「はあああああああッ! 消えて、無くなれええええええええ!!!!!! 」
『う、嘘だ! こんなちゃちな結末……オレは! オレッ────』
意志も、威力も元から博樹とギガバトルナイザーの方が上回っていた。魔神の放ったデスシウム光線を消滅させながら、その稲妻は魔神本体すらも消し去る。
「はあ、はあ、はあ……、これは……?」
魔神が完全に消滅したことに安堵し、ナイザーを支えにしないと倒れてしまいそうな博樹の前に、魔神が吸収していたベリアルの因子が持ち主を求めているかのように彼の前に留まる。
エネルギーの塊は博樹が手を差し出すと、カプセルの形状に変わって手の上に落ちてくる。
「怪獣カプセル。この組み合わせって、融合獣の?」
まだ終わってない。戦うための力を渡された博樹はベリアルにそう言われているように思い、今からでは聖門を抜けることすら出来ないことが確定している中で、もしもの可能性に賭けて聖門に向けて重たい足を走らせた。
「ごめんさないベリアルさん。やっぱり、ここで終わりみたいだ」
ダ・ヴィンチが言っていたように、光帯の収束が解け超新星爆発にも似た爆発がこの領域を包み込んだ。
人王の顔に一発叩き込んだ立香はぎりぎりでカルデアへの帰還を成功させたが、博樹は間に合わずにその爆発に包み込まれていった。
『────たく。最後の最後まで手のかかる奴だなお前は』
魔神ベリアル。
博樹の前に立ちはだかった最後の敵。この空域に散らばったベリアル因子を吸収することで一命を取り留めることに成功したが、本人が知らないうちにその力に溺れた哀れな存在。
取り込んだ際に流れてきた一部だけの記憶がベリアルの全てだと勘違いし、自らがベリアルに成り代わろうとするも、1しかなくてもそれを100引き出せる博樹と、博樹を担い手と認めベリアルを侮辱したとブチギレしたギガバトルナイザーを前に敗北した。
人王ゲーティアを2人で倒すのは展開的にも有り得ないと考えていたのでこういう流れに。
最後に博樹の手に渡った怪獣カプセルは1.5部の為の伏線……になればいいなあ……。
宮原博樹
所持品:ギガバトルナイザー、怪獣カプセル×?個
ベリアルとの別れ際、彼からギガバトルナイザーを託された。
全ての歴史に繋がっていたソロモンの領域で、アトロシアスとなったベリアルが消滅したことによりあちこちにBの因子(デビルスプリンター)が散らばったしまったためその後始末を任された。
魔神ベリアル撃破後、複数の怪獣カプセルを手に入れたはいいが、アリスがいないので手元にライザーがないので融合獣にはなれない。
ギガバトルナイザー
元はギルバリス対策に作り出された武器。バトルナイザーはこれを解析したレイブラッド星人がレイオニクスに合わせて作ったもの。
真の所有者としてベリアルが認めているため、彼が認めている博樹のことも認めているので武器としての性能発揮は十分で、やろうと思えばモンスロードも出来たりする(100体は無理)。
藤丸立香
所持品:メビウスのウルトラマンカプセル。マシュの盾、ヴォーパルの剣はライムが座に還ったのと同時に消滅。
ベリアルと最後まで旅を続けたカルデアのマスター。博樹はベリアルのマスターとして認識されているためカルデア代表だと立香のほうが上げられる。
アトロシアスと同化していた影響なのか、髪の毛先と琥珀色の瞳に紫が入っている。
メビウスのカプセル自体彼女のリトルスターの結晶なので、ビルドのフルボトルのように起動させた状態で握っていると身体能力が高くなったり……。もしかしたら光の剣出せたりするかも?