【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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 このぼうけんはだれもしらない

 きらわれものがせかいをすくったものがたり

 でも、おぼえているひとはいる

 いっしょにあるいてきたみんなだけは






エピローグ

 

 

『人間同士の競争と成長、妬みや悔しさを糧とし、“相手より強くなる”特徴を持つ獣だ。災厄の獣キャスパリーグ。違う世界では霊長の殺人者(プライミッツ・マーダー)

 

 ベリアルたちの事を守り抜き、マシュの身体は完全に消滅した。

だが、それでも、マシュの意志は虚無の世界に消えずに漂っていた。

 

 そこに現れたのが、件の獣(フォウ)だった。マシュの事を生き返らせるとともにお別れをいいに来たと。

人の営みを喰らうことで成長する獣。それは逆を言えば人がいなければ脅威にもならない無害な動物でしかないということ。

 

『自由に、本当に美しいものに触れてきなさい』

 

 獣は住んでいた幽閉塔から追い出された。その結果がマシュや立香たちとの出会い、カルデアでの生活だった。

 その恩返しだと、善意の押し売りだといって魔法ですら到達しえない奇蹟を起こす。

【死者の完全な蘇生】をマシュに施し、あと3日もなかった彼女の寿命を人並のものに塗りつぶす奇蹟を起こすと。

 

 そんな二人の前に、光の球体が、彼が現れて形を作っていく。

 

『……キミをたべてしまうと、ボクは瞬く間に怪獣になってしまうからね。だからキミの前には姿を現さなかった』

 

『──ベリ、アル────さん』

 

『────────」

 

 何も言わずに、ベリアルは手を伸ばしマシュの頬に手を添える。

マシュもそのことに何も言わずに、その手に身を任せた。

 

『マシュ。お前はオレの守るべきものだった。そんなお前にオレは守られた、悪かったな守れなくて』

 

『────そんなこと────ずっと、守ってもらってました。────この、大きな手で』

 

 ベリアルが添えた手とは逆の手を取り、頬を包むように彼の手を持っていく。

この手が自分のことを包んでくれていた、この旅の中で守ってくれていた手なんだと伝えるように。

 

『……オレをこうしたのはお前たちだ。博樹、立香、そしてマシュ。貧弱な力しか持ってないお前たちがこのオレを動かした。オレの()に入り込んできやがったから、未来を、運命を変えられた』

 

 彼自身、自分がこれほどまで変わるとは思いもしていなかった。生前手に入れることを完全に放棄した()()というものについて語る博樹に少しだけ興味を持って始めた旅。その旅でここまで大切だと思うものが出来るとは、最も欲したものを手に入れることになるとは思ってもいなかった。

 

『死にかけの身体でしがみついてきた。抗う力も持たずにその手を伸ばしてきた。────恐怖に震えながらも覚悟を示した。そんなお前たちじゃなきゃダメだったんだろうな』

 

 現に、ベリアルの周りに集まってくるのは良し悪しはあったにせよ実力を持つものばかりだった。そんな奴らを守ろうとも思えない、勝手についてきて勝手に死ぬならそれまでという考えしか出来なかった。

だからこそ、マシュたちと出会えたのはベリアルにとっては奇蹟だった。

 

『────わたしたちが────弱かったから、たより、なかったから────』

 

 ────コツン。

申し訳なさそうに俯こうとしたマシュの額に自分の額に優しく当てて、ベリアルはマシュの瞳を真っ直ぐ捉える。

 

『そうだ。その弱さ(強さ)を誇れ、これからも恐怖(覚悟)を背負って歩いて行け。……立香と一緒にな』

 

 誰かの為にその力を発揮させる。マシュの力の源を知っているからこそ、彼女を最初に認めたその瞳を見つめながら伝える。

それでもまだ少しだけ不安そうにするマシュに、最後の後押しとして立香に渡したようにカプセルを渡す。

 

『忘れるなよ? それがお前の選んだ未来。永遠に続く生命の形だ』

 

『────あ。────ベリ、アル────さん────』

 

 カプセルを渡し終えるのと同時に、フォウの準備も完了したようで解放した膨大な魔力の光がマシュの事を包み込む。

対象をマシュだけとしたその波にさらわれ、意識が薄れていく中でベリアルの名前を呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

『────()()()()()()()()()()、胸を張って歩いていけ』

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「────ハッ!? ダ・ヴィンチちゃん! 博樹さんは!!」

 

 人の心を知ったゲーティアが消えていくのを見届けて、ギリギリの所でマシュが手を伸ばしてくれたおかげでカルデアに戻ってくることが出来た。

魔力も身体のほうもボロボロで身体全体が悲鳴を上げてるけど、それよりもまず博樹さんだ。

 

「────おはよう、立香ちゃん。うん、筋肉疲労や魔術回路の消耗、死痛の隷属で受けた傷もそう深いものじゃなくてよかった。身体、精神ともに異常はないね」

 

「そんなことより博樹さんは!!」

 

 私が聖門に辿り着いたのも崩壊ギリギリで、博樹さんの姿は終始見えなかった。

博樹さんの安否を確認しようとしても、ダ・ヴィンチちゃんも他の職員のみんなも顔を俯かせたまま動かさない。

 

「……崩壊寸前の所まで、博樹さんの反応はキャッチ出来てた。彼が何者と衝突し、その末に勝利を勝ち取ったことまでね……。だけど……」

 

「くそっ! 戻ってこれなきゃ、意味だろ!!」

 

 職員の一人が、モニターを強く叩きながら涙を流してる。それのせいで、実感したくない真実を受け入れなければならなくなってしまう。

博樹さんは……。

 

「違います」

 

「────マシュ?」

 

 悲しみに打ちひしがれそうだったのを、マシュの声が聞こえてきた。マシュの方を見ると、両手で何かを包み込むようにしながらその瞳は、博樹さんの死を認めていないという強い意志を感じる。

 

「────マシュ。そう思いたい気持ちは私たちも分かってる。だけど、あの特異点は完全に消滅してしまった」

 

「それでも! 違うと、思うんです。 ベリアルさんはいないかも知れませんけど、彼と一緒にいた博樹さんが正攻法で、正面から帰ってくるなんてこと有り得ないと思うんです!! そう、例えば────」

 

 

 

ドンっ!! 

 

 

「いっ、った……! もうすこし……やさしく……! うおぉおおお……」

 

 背後から。マシュが振り向いたのと同時に博樹さんが背中から地面に落ちてきた。

全身ボロボロで受け身を取る余裕すらなかったから、地面に叩きつけられた博樹さんは余りの痛みに呻き声を上げてる。

 私はマシュと顔を見合わせて笑顔になると、手を繋いで一緒に博樹さんの所へ走る。

 

「「博樹さん!!」」

 

「つつつ……ああ、立香ちゃん、マシュちゃん……」

 

「「おかえりなさい!!」」

 

「……ただいま。2人とも」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 空白の1年間。人理焼却に立ち向かっていたカルデアの人々はその時間を経験しているが、外の人間は違う。

目が覚めたら1年経過していた。という謎でしかない現象を世界中の人たち全員が陥っていたのだ。パニック状態になるのは当たり前だ。

 

 事実を唯一しっているカルデアには魔術協会から使節団が送られてくるそうだが、そこが一番ダ・ヴィンチを悩ませるところだった。

 

「いやなに、生き残った二名のマスターが召喚した英霊たちと力を合わせて人理焼却を解決した。とだけ伝えて終わりなら別によかったんだがね? お相手様は地球上のすべての知性活動が停止していたその事実と経緯をお求めときた。 だ~れがウルトラマンが助けてくれましたと報告して信じると思う? 一般人ですら信じやしないってのに相手はお堅い魔術協会の連中と来た! 考えるだけで頭が痛くなってくるよ……」

 

 グランドオーダー開始前からいたダ・ヴィンチを除いて、ベリアルがアトロシアスになる際に吸収したすべての英霊たちは、ベリアルの消滅とともに強制退去されたため誰一人として残っていない。

 世界を救ったからはい終わりとはいかない。その後も世界は周っていく。

 

「フォウ、フォ────ウ!」

 

「吹雪が止んでる……!」

 

 立香とマシュがダ・ヴィンチに頼まれた装置を設置するのにカルデアの外に出ると、そこには一年中吹雪に覆われているカルデアには珍しい日。

吹雪が止み、上空を覆っていた雲も晴れた一面の青空が映し出されていた。

 

「これが────本当の、空。 ベリアルさんが、ベリアルさんと一緒に守った地球!!」

 

「ああ、そっか。マシュは、青空を見たことなかったんだっけ?」

 

「はい。いつか、いつかドクターが言ってました。カルデアの外はいつも吹雪に覆われていますが、ごく稀に空は晴れ、美しい星が見える、と。それを────いつか、わたしが見る日がやってくると、何の確証もないのに、笑いながら」

 

「じゃあ、この青空を、美しい星(地球)を見せてくれたのはドクターとベリアルさん。2人からのプレゼントだ!」

 

「そ、そんな! それでは欲張りすぎです! ドクターからもベリアルさんからも、沢山のものを貰ったのにこの空までなんて……!」

 

「だって、私たちの旅はこれからも続いていく! これからも、いつまでもどこまでも!! ベリアルさんやみんなと取り戻し新しい年に向かって歩いてく!! たっくさん貰ったけど、これも貰ったってばち当たんないよ! でしょぉおおおおドクター!! ベリアルさああああん!!!」

 

「ふふ、あははははは! わたしも、この空を貰ってもいいですかああああ!!!」

 

 

 大声で、一面広がる空に届くように二人で叫びながらベリアルとロマニの2人に感謝を告げる。

一方博樹の方はと言うと、2人以上に身体に受けたダメージが大きすぎるため外に出ることを禁じられたため、窓際から空に向かって叫ぶ2人のことを見ながら、ダ・ヴィンチからこの一回切りだと念押しされて渡された通信機器を操作していた。

 

「……2人とも元気そうでよかった。っと、もしもし? 千愛」

 

『ヒロくん!? よかった、何回電話かけても出ないから心配してt『お母さんソレお父さん!! 変わって! 今すぐ!!』えっ、ちょっと愛!』

 

『お父さん!? お父さんでしょ! そうでしょ! そうなんでしょ! あのねあのね!!』

 

お姉ちゃんぼくも! ぼくもお父さんとはなしたい!! 

 

 世界中がパニックになっていて通話機器もサーバーがパンクしている中でも不調を起こさないダ・ヴィンチ特製の通信機器を使って、博樹は家族の安否を確かめるために妻千愛の電話へと繋げたと思ったら、その携帯を娘の愛が奪い取ったらしく捲し立てるように話しかけてくる。

 小さく聞こえてくる息子の声も聞こえて全員無事だったことを確認できた安堵から涙を流しながら通話を続ける。

 

「ズズッ……。そんなに慌てなくてもちゃんと聞くから、いったん母さんに『慌てたくもなるよ!! だってだって、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』…………え?」

 

『家にいるみんなそうだし、お隣さんとか近くにいる人みんな見たって言ってたから嘘じゃないもん! ちょっと目つき悪くてニセウルトラマンぽかったけど私の好みドンピシャ! って感じの銀色の巨人!! もう超々々々々々々々かっこよかったんだから!! でね! そのウルトラマンが目玉の、ガンQとは似ても似つかない気色悪い目玉の怪人と戦って────』

 

(見て、たんだ……。みんな、ベリアルさんの戦いを……)

 

 確証はない。けど、娘の言う特徴からしてアトロシアスに変身したあの時、ベリアルがストルム器官を使って地球に生きる全ての人間たちの小さな意識の欠片を吸収した。声や正確なところまでは覚えていないようだが、消えてしまいそうな小さな意識の中でみんなあの戦いを見ていた。

 

(ああ……ベリアルさん。()()()()()()、貴方は……)

 

 誰の記憶にも残る筈がなかった。他のウルトラマンのように、大々的に怪獣と戦って地球を守っていたわけじゃない。歴史にも残らない世界の片隅で起きた大事件。みんながみんな同じ夢を見たからと言って、夢に出てきたウルトラマンが世界を救ってくれたなんて思いもしない。

 けど、ごくわずかかも知れないけれど、確かに()()()()()()()と実感してる人がいた。

 

『お父さんも見たよね! あのウルトラマンなんて名前なのかな~~!! 円谷の裏設定とか、資料集とかでしか語られなかったウルトラマンとかかな! お父さんなにか知ってる!! …………? お父さん、泣いてる?』

 

「すう~~、はあ~~。お父さんは……ズズッ! そのウルトラマンの名前を知ってるよ」

 

『ええ嘘っ!! お父さんやっぱり知ってるって! ほらお母さんやっぱりお父さんなんだって!! で、何々? なんていう名前なの!!』

 

 きっと伝えたとしても、世間に日の目を浴びることはない。ネットやSNSを使って広めようとしても一般人が考えたオリジナルのウルトラマンの名前として取り扱われて海の中へ沈んでいく。

それでも、せめて家族には名前を憶えてほしいと思った。ずっと一緒に歩いてきた、最強で最高の彼のことを……。

 

「ベリアル。ウルトラマンベリアル」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この星の────ウルトラマンだ」

 

 

 

 

 

 

 

 




マシュ
 所持品:ギンガのウルトラカプセル
フォウの力で人並みの寿命を得て生き返った「普通の少女」。
彼女の中ではベリアルと博樹がお父さんのような存在、ロマニは兄、ダ・ヴィンチは姉のように思っている。

 ギャラハッドが謎の沈黙を遂げたためサーヴァントとしての力を行使出来なくなったが、ベリアルから譲り受けたギンガのウルトラカプセルは彼女のリトルスターの結晶であるため、立香同様身体能力の強化は使える。
ギンガセイバーにギンガファイヤーボール、ギンガサンダーボルトにギンガスラッシュやギンガクロスシュートといった数々の技が慣れれば使用できるかも? マシュの性格的にギンガコンフォートが一番相性が良さそう。

フォウ
 ビーストの一体キャスパリーグ。“相手より強くなる”特徴を持つこととベリアルの闇に触れると瞬く間にビースト化するため彼との接触を避けていた。
ウルトラ的に言えば「感情を有した完全生命体イフ」。イフも人類の悪意や攻撃によって凶悪な獣になったが、最後には少女の純粋な心によって無害な存在へと進化した。
霊長の殺人者(プライミッツ・マーダー)ってどれくらいやばいの?が分からないならマックス神回「第三番惑星の奇跡」を見よう。あれがフォウくんだ。

Fate/Grand Order〜Bの因子〜これにて完結です!
約3年、1年くらい更新止まった時もありましたが無事完結することが出来ました!!

ジード本編で消滅、精神だけの存在になったであろうベリアルさんなら、fateの英霊として喚ばれる可能性あるんじゃないのか?という気持ちから始めた今作。
宮原博樹というオリキャラも交えながら、誰に知られるでもなくベリアルさんが【ウルトラマン】になる道のりを書き切れてよかったです!!

FGOは1.5部だったり2部だったりとまだまだ続いていくので、この小説も続きを書くかも知れませんが今の所は未定……と言ったところで。
今のところの構想、妄想の域でしかないですけど
1部がベリアル編だとするのなら
1.5部が融合獣編
2部はジード編になるのかな~~なんて思ってたりします。


それではみなさん、拙ない部分も多かったと思いますが最後までお付き合いいただきありがとうございました!!

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