【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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「アンタ……ふっざけんじゃないわよおおおおおおおおっっ!!!」

 

 心の中で謝るけどごめんねジャンヌちゃん。みんなの為に自分が残り戦うことを選んだジャンヌオルタちゃんには悪いけど()()()()()()()()()()()()()()()

みんなが力を合わせて新宿のアサシンを倒す際に崩れた巨大なビル。そんな大きな音が響いたら彼が近付いてくるのは当たり前だ。

 

 致命の一撃をもらった彼は戦う力、いいや復讐する力を取り戻すために元々2つの幻霊が混じった霊基にさらにもう一つ幻霊を取り込んだ。

その影響でより禍々しく、よりおぞましい姿へとその身を変えていた。

 

 最初に戦った時よりも更に強力になった彼を前に出された結論は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『グルルルルルッ』

 

 カルデアの豊富な知識、名探偵ホームズにその宿敵であるモリアーティ教授がいる。この場を凌ぐことが出来ればきっとすぐにでも対抗策を思いつくはずだ。逸話を持っている英霊だからこその弱点。致命に追いやった道具。それを使ってロボのことを追いやり、そして倒すだろう。

 

「それが悪いとは言わないさ。けど、それじゃ駄目だ。いいや……僕が嫌なんだ!!」

 

 策を講じて格上の相手を倒す。それは立派な戦術でカルデアは今までも、そしてこれからもそうやっていく。

だからこれは、僕の我儘だ。そう自分に言い聞かせながら僕は、威嚇を続けるロボに向けてギガバトルナイザーを向ける。

 

「さあやろう狼王ロボ! 正面突破で、お前に認めさせてやる!!」

 

『グオオオオオオオオオオッ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃないわよぉおおおおおおっっ!」

 

「…………マスター、少し運転を変われ」

 

「え? わっ、えええええ!!!」

 

 新宿のライダーもといアヴェンジャークラスへと変化を遂げたヘシアン・ロボの突然の襲撃。新宿のアサシンとの戦闘も終わったばかりで余力少ない今の私たちでは彼を討ち倒すことは不可能。

 

 誰か1人が犠牲になるしかない。そんなこと本当は嫌だけど、ジャンヌオルタが覚悟を決めた顔で残ると、そう言ってきたから彼女を信じて私たちは逃げの一手に出た。────はずだったんだけど……。

 

「ふっ、大見得を切った割にすぐに戻ってくるとはな。貴様恥ずかしくないのか?」

 

「アタシのせいじゃないわよ! アイツよアイツ!! たく、もうアイツの中にベリアルはいないんでしょう? なのになによあれ!」

 

 アルトリアオルタにキャッチして貰ったのか、ギャーギャーと叫ぶジャンヌオルタ。正直運転したことないバイクのハンドルを突然握らされたことで頭がいっぱいいっぱいなんだけど、ベリアルさんがいない。その単語だけで誰がヘシアン・ロボの前に現れたのかわかった。

 

『神出鬼没なのはベリアルいなくても、だったみたいだね』

 

「ダ・ヴィンチちゃん! じゃあやっぱり博樹さんが?」

 

『ああ、ジャンヌオルタのことを吹き飛ばしてロボと戦闘を始めたよ。負けた腹いせやリベンジを誓うようなタイプじゃないはずなんだけどねぇ彼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────狼王ロボ。

 シートン動物記に記されたことでその名が広く知れ渡った【悪魔の化身】と称されるほど聡明な知恵を持つ古狼。

人を欺くほど賢かったロボにも弱点があった。それが、妻ブランカの存在だった。

 

「はっ! だあっ!!」

 

『グガアッ!!』

 

 ロボの繰り出す鋭利な爪の攻撃、ただの乗り手でしかないヘシアンによる高速攻撃を対処しながら彼────ロボのことを考えていた。

何よりも、どんなことよりも愛していた妻ブランカを殺され、彼女の匂いや足跡を罠に使われた。

 そして、最後に人間は最低な屈辱をロボに与えたんだ。

 

「ぐっ!! そりゃあ憎いよな。自分を歪めてでも、人類を、人間を殺してやりたいって思うよな」

 

『グゥウウ!! ガアアアッ!!!』

 

 捕まった時点で、ロボはもうこの世にブランカがいないことを理解していたはずだ。捕まえた人間たちがブランカのことを殺したことも。

そこまでのことをしたのに、人間は彼のことを生かそうとした。

 

 復讐の憎悪に燃える今の彼に、何を言ったっところで通じはしないことはわかってる。

だからこそ! この気持ちを、この思いを伝えるために、この戦いに負けるわけにはいかない!! 

 

 ナイザーから複数の光弾をヘシアンの方へ放ちながら接近し、ロボの正面に立つ。

爪を大きくこちらに向けて振りかざしてくるその右前足に合わせてナイザーを思い切り衝突させ、ロボの膂力に負けないように全身を使ってナイザーを振りかぶってロボの巨体を吹き飛ばす。

 

「ほら、もっとだ! もっとぶつけてこい! お前の怒りを! 憎しみを! 積りに積もった全部を!!」

 

『ガアアアアアアッ!!!!』

 

 「なにもわからないくせに」っていってるみたいだ。ああそうさ、どんなに考えようがお前が人間に対して燃やし続けている憎悪はお前だけのもので、他の誰かが理解できるものじゃない。

 

相互理解は不可能。そんなことわかってる、わかってるさ! だけど、たとえ分かり合うことが出来ないのだとしても、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。その一点に全てを賭けて今戦っているんだ。

 

 全身の血液を沸騰させろ、ベリアルさんの力を全身に張り巡らせ血と混ぜ合わせろ。神経を集中させ、相手の一挙動すらも見落とすな。

 

 思い出せ、捻り出せ、記憶を、経験を、そしてこの1分1秒で獲られる1つの情報でも武器になる。

 相手を利用しろ、誰も追いつけないあのスピードを、あの牙を、あの爪を、ロボの用いる全ての武器を自分のものにしろ

 

「グッ! ガアアアアアッ!!」

 

「!!」

 

『グルァッ!!』

 

 入った! ヘシアンの剣戟を、マントによる槍のように鋭く迫ってくる攻撃を掻い潜り、振るわれたロボの左爪を地面に叩きつけ右前足は足で抑え込み、牙に噛みつかれるよりも速くロボの首元にナイザーを叩き込んむ。

 

 引き離そうと2対のマントの槍が背中と脇腹を突き刺してくるが、その痛みを感じないために、目一杯に力を引き出すために獣のような声を張り上げ、ナイザーを押し込み、押し込み! 最後には叫びにも似た大声でロボのことを吹き飛ばした。

 

「あああああああああああッッッッ!!!!」

 

「『!!!!?』」

 

 会心の一撃ともいえるその攻撃は、ロボの巨体がビル3つを貫通させるほど大きく吹き飛ばした。

けれど、この一撃だけでロボを倒すことが出来たとは思わない。彼なら自分はまだ戦えるって立ち上がるはずだ。

 

 そう考え気を抜くことなくロボが作っていったビルの穴を通って彼のことを追いかけた。

 

「なっ!? これは……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタの御要望通り、人員は手配した」

 

「うむ、御苦労アーチャーくん。これで彼はより深みへと堕ちることが出来る」

 

「……解せないな」

 

「何がかね?」

 

「真名や生い立ちはどうあれ、アレはこの新宿で最も強力な幻霊だ。奴らのサーヴァントですら勝ち目のない程のな。それをまるで捨駒のように扱うアンタの行動が理解出来ない」

 

「まあ、どうあれ彼らは皆捨て駒の役割しかないからね」

 

「何?」

 

「彼らは奴らが私の前に立つ。その過程で必要だっただけに過ぎない。その役割を終えた今、私の計画を乱しかねないヤツを排除してくれるのなら使わない手はないと思わないかい?」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハハハハハ!! ()()()()()()()()ここで待ち伏せてて良かったぜ!」

 

「ありがとうよぉ! この犬っころを弱らせてくれて! ()()()()()()()()()()()()()()!」

 

 

 最悪の光景が、そこには広がっていた。

ロボを倒すために来た博樹の前には、この新宿特異点よって生まれた()()()()()()()が距離を取りながらロボの周りを囲み、銃や魔術を使って彼のことを攻め立てていた。

 

 一歩動けば地面に仕込まれた地雷が起爆し、鳴り止まない銃撃と魔術の嵐。

仕組まれたように集まったその集団そのものも謎だが、一番の謎は全員が全員()()()()()()()()()()()()()()()ことだ。

 

「ありがとう」「アンタのお陰だ」「アンタを信じて良かった」など、心にもない言葉を浴びせてくる。当然、そんな覚えのない。大体この特異点に来て殆ど寝込んでいた博樹に人脈を築く時間などありはしないため何かの勘違い、あるいは間違いだろうと博樹本人は受け入れるが、

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

『Grrrrrr……』

 

「まっ、違う。違うんだロボ!!」

 

 「やはりおまえもおなじか」攻撃の嵐の中から聞こえてきたロボの呻き声が、博樹にはそう聞こえた。

確かにロボは人間のことを恨んでいる。自分たちを、そして愛する妻を殺した人間への憎悪、ただその一点がロボという存在を突き動かしている。

 

 人間を憎んで憎んで、憎み続ける。どれだけ殺してもそこに爽快感はなく、更に憎悪が積もり続けるだけだが、相手を認めるか認めないかは別の話だ。

 

 相手が弱者だったのなら覚えることはないが、それが強者であったのなら、サーヴァントではなく、ただの人間が今の自分と対等に渡り合えるほどの力を見せてきたのなら、人間という【群れ】ではなく【個】として見てもいいと。

 

 だからこそロボは、博樹のことを()()()()()()()()()()()()()()

一度目は逃げれはしたが確かにコチラが勝利した。だが先程までの戦いは? どんな手を使ったのかは分からないが、自分と対等に渡り合ってみせた。

 

 なのに、なのにだ。

 

『GAOOOOOOOOOO!!!!!!』

 

 コイツも結局は憎むべき人間たちと同じ、()()()()()()()()()()()()。それを許していいのか? 否、否、否、否否否否否否だ! と怒りが、怨みが燃え上がる

 

 ライダークラスからアヴェンジャーのクラスへ変異したばかりで出来た穴が憎悪の炎によって閉じていく。憎しみが燃え上がる、人間の作り出した火が全てを燃やしていく。故郷を、仲間たちを、愛する妻を、そしてロボ自身を。

 

「お願いだロボ! 話を聞いてくれ!」

 

 博樹の声はもう届かない。ロボの瞳は憎悪に燃え、上に跨がるヘシアンもその姿を変異させる。腕そのものを影のようなものに侵蝕され、伸縮自在の刃へと変わり、全身からも同じようなものが何本も飛び出している。

 

 ここにヘシアン・ロボのクラスは【復讐者(アヴェンジャー)】に確立された。彼に理性が残っている、ライダーとアヴェンジャーの境界にいたこのタイミングなら自分言葉が届くのではないか? そう考えていた博樹にとって、ロボがそうなってしまった時点で一つの敗北が決まってしまった。

 

『Uuu……WOOOOOOOOOッッ!!』

 

 ヘシアンが無数の刃で銃器や魔術で攻撃してきた悪性人間たちを淡々と処理していく中で、ロボは唯一人。目の前にいる本当の人間(宮原博樹)にだけ標的を定め宝具を展開する。

 

 ヘシアンの無数の刃が博樹の四肢に突き刺さり身動き出来ない状況を作り出し、そんな彼に向かってヘシアンが持っていた剣を噛み締めたロボが駆けていく。

 

 因果を逆転させるほどの大きな力はないが、「相手の首を刈り取る」ただそれだけに重点をおいたその攻撃はほんの少しだけ世界を歪ませる。

「刈り取りやすい状況」。宝具によってそれを生み出したロボは速度を最大限にまで上げ、博樹の首目掛けて剣を振り抜いた。

 

 

 

 

 

 

 





単独で40万の1ゲージ削ったら100万の体力で出てきたみたいなもの。

物語として撃ち出しているから悪モリアーティにとってもうロボは用済み、不確定要素である博樹さんの事を倒してくれたらそれでいい。倒せなくても時間稼ぎしてくれればそれでいいくらいの考えしか持ってません。

次回、この章のサブタイトルである『遺産』の登場です。仕方ない、弱点を突いて弱体化したロボじゃない最強状態のロボを倒すにはこれしかなかったんだ。
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