【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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今年はジード5周年。映画だったりギャラファイだったり客演だったり、ベリアルさんの方はダークネスヒールズで活躍したりアーリーが出たり、しかも今年はジードスピンオフのアナザージーンも連載予定……。本当に5年経ってます??

感想、評価お待ちしてます。


5

 

 

「〜〜〜ッッ! ガハッ!!カハッ、はー、はー」

 

 気道を確保する為に腹部を強引に殴って息を吐き出し、呼吸を落ち着かせる。

あの時、ヘシアンの攻撃で動きを封じられ剣を咥えたロボに首を切り落とされてしまいそうだったあの瞬間。

 

「助けてくれてありがとう、ギガバトルナイザー」

 

 私の手から離れたギガバトルナイザーがひとりでに動き出し、私とロボの間に入り込んでくれたおかげで大きく吹き飛ばされるだけにすんだ。

 

 けど、ヘシアンの刃が深く刺さった四肢は指や足が動く気配は感じるけど、立ち上がる力は入らない。

 

「ク、ッソ……。届かなかった……」

 

 あのまま戦い続ければ届くと思っていた。だけど、それは何者かの策略のせいで泡となって消えてしまった。

 

 それが悔しくて、ロボにあの目をさせた自分自身が情けなくて涙が出てくる。涙を拭こうにも腕が動かなくてそれが情けなさを大きくさせる。

 

「ズッ、ズズッ。はー、そういえばここは……本屋、かな?」

 

 殺せていないことは相手も知っているはず。ならすぐにでもロボは私のことを追ってくるとばかり思っていたけど一しきり涙を流し終えても現れないことに疑問に思いながら、落ち着いて辺りを確認するとどうやらここは潰れた本屋らしく、仕舞われている本には埃が被り、私が飛び込んできたせいで本が崩れたのか床にも何冊もの本が落ちて埃が舞っている。

 

「(この埃が私の匂いを消しているのか? そんなこと、あるかな?)ん?……これは……!?」

 

 【オオカミ王ロボ】のことが記された絵本。難しく書かれたものではなく、子どもが読んでも分かりやすいようにひらがなを多く使い簡単な漢字にもふりがなが振られている、(うち)()()()()()()()()()()

 

「ああ、そうか。ここはきみの固有結界、だね? アリスちゃん」

 

『フフフ、ヒントを与えすぎちゃったかしら。ねえ、おじさま』

 

 オオカミ王ロボの本が勝手に動き出し、私の目の前まで動くと本が光だし、その姿を変える。終局特異点で決戦で別れてから戻ってきていなかった、ベリアルさん以外で私が唯一本契約をしていた英霊【誰かのための物語(ナーサリー・ライム)】アリスちゃんが、人の姿となって私の前に立つ。

 

「ずっと……見ていたの?」

 

「ええ。おじさまがこの特異点にきてからず〜っと、あなたのことをみていたわ」

 

「私があの子に、ロボにどうするのか確かめたかった?」

 

「わたしは人ではないから、あの子が憎む対象にはならないの。そんなわたしがおじさまに「こうしてあげてほしいの?」っていうのはまちがっていると思ったの」

 

 ああ、そうだ。その通りだ。憎悪の対象である(人間)だから、私が出した答えじゃなきゃ駄目だったんだ。

 

「認めて、もらいたかったんだ……」

 

 だから私は、ロボにどうしたかったのか。その思いをアリスちゃんに伝えることにした。

 

「こんな大馬鹿野郎もいるんだって。ロボの知ってる人間以外にも、正面からキミに挑もうとする大馬鹿な人間もいるんだって知ってほしかった。認めてほしかったんだ……」

 

 自分たちを滅ぼした人間たちだから、滅ぼされて然るべき。その憎悪だけを糧に活動しているのが今のロボだ。そんなロボに知ってほしかったんだ、キミの記憶に焼き付いている卑怯な人間だけじゃないんだって……。

 

「けど、そのチャンスもつゆと消えてしまった。思いっきりぶつかったんだけど、届かなかった……」

 

「あら? いちどのしっぱいであきらめてしまうようなかただったの、おじさまは?」

 

 落ち込んでいる私の胸に、アリスちゃんに声が突き刺さる。下を向いていた顔をあげると、至近距離まで距離を近づきその手を私に伸ばしている。

 

「まだのこっているわ。思いをとどかせる、みとめさせることのできる可能性が」

 

『ヴェア』

 

「……小さい、ベリアルさん?」

 

 そう言ったアリスちゃんの腕の中に抱えられながら小さな手を上げたのは、ベリアルさんをマスコットにしたような存在。M78ウルトラマン版のベリアルさんというか……、小さくなっても目つき悪いんだな〜ベリアルさんって。

 

「さあ()()()()()()()!悪いおじさまの遺したものを♪」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

『この反応は……!? ウソだろ?』

 

「ダ・ヴィンチちゃん、どうかした?」

 

 敵の本拠地である【バレル】に突入し、最上階目指して階段を上がりながら襲ってくる敵を対処していると、ダ・ヴィンチちゃんの困惑した声が聞こえてきた。

 

 博樹さんとロボとの戦いでこの街全体が混乱している隙に、敵の本拠地を一気に叩くために来たんだけど、何かあったのかな?

 

『ヘシアン・ロボの宝具の直撃を受けた博樹さんの反応が突然消えたのは言っただろう? ずっと反応を探し続けていたらコレだ』

 

 そう言ってダ・ヴィンチちゃんは今自分が見てるモニターの画面を私の通信画面の方へと移してくる。崩れたビル群、遠くから聞こえるロボの遠吠え、そして画面の中央に映っているのは

 

「ベリアルさん!?」

 

『に、よく似たパワードスーツのようなモノを纏った博樹さんだがね。反応がベリアルとほぼ一緒なんだよ』

 

 ベリアルさんに酷似したスーツ……。鋭い爪に黒と赤の鎧、ベリアルさんの特徴的な大きな瞳はなくなってるけどその目つきの鋭さは失ってない。

 

 そして一番目につくのは胸の中心のカラータイマーだ。

ベリアルさんと同じ紫のソレだけど、エネルギーが溢れ出ているのか画面からでもその力が感じ取れるほど光り輝いている。

 

『博樹さんの持っている【ULTRAMAN】という漫画に出てくるスーツと設定が同じだとしたら、あれはリミッターが解除された状態。なのではないでしょうか?』

 

『さしずめ【ULTRAMANSUIT ver.BELIAL】とでも言ったところかな?』

 

 ver.BELIAL……。そのスーツを纏った博樹さんはその手に持つギガバトルナイザーを振るうと、辺りのビル群を一撃で崩れ落ちその音で「自分はここにいるぞ」とロボに伝えているようだった。

 

『ロボオオオオオオオオッッッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー久しぶりだ。

 ロボに向かって脚を向けながら私はついこの間のことをまるで何年も前のことのように懐かしみ、そしてそれ以上に気分が高揚していた。

 

 包みんでいるようで、一緒に身体を動かしているような一体感。

 底の見えない力が溢れてあふれて止まらない解放感。

 自分よりも下がいないと思えるような優越感。

そして、全てを掴める。全ての不可能を覆すことが出来ると感じる全能感。

 

 

『いいおじさま。あなたの中にある因子とわたしが持っていた因子を共鳴させることでその力をおおきくさせているの』

 

 

 ベリアルさんと同化していた時に感じていた気持ちが、スーツの力を引き出しているとフツフツと湧き上がってくる。

 鋭くなりすぎる感覚を抑えるためにベリアルさんとは違い細い目となっているけど、それ以外に違いは殆どない。

 

『けど、じかんはないわ。シンデレラの魔法が12時の鐘とともにとけてしまうのといっしょ。魔法がとけてしまうまえにすべてをおわらせなくちゃ』

 

 そうだ、喜んでる場合じゃない。このスーツを纏っていられる時間は限られてる。 

ーーーーそんなこと言ったって、喜ばないわけないじゃないか。アリスちゃんだって、分かってて言ったんだ。

 制限時間は…………。

 

3分間(ウルトラマンの活動限界)……!」

 

 ピコーン、ピコーンって、胸のカラータイマーが鳴り始めるあの瞬間が小さい頃から大好きだ。もう少しで3分経っちゃう、怪獣を倒せるのかな?倒せないのかなってドキドキハラハラさせてくれる特別な時間。

 

 気をつけないとまたたく間に過ぎてしまう180秒。気をつけると10分にも、30分にも、1時間にだって長く感じてしまう不思議な時間。

 

「そんな特別な時間。全部お前にくれてやるよっ!ロボオオオオオオオオッッッ!!

 

 地面が砕けることなんてお構いなしに大地を強く踏みしめ、ロボに向かって跳躍するように駆け出す。

 アリスちゃんの固有結界に消えた私のことを見つけたロボもその瞳を憎悪に燃やしながら真っ直ぐに向かってくる。

 

『……!』

『GAOOOOOOOOOッ!!』

 

()()()()!ベリアルさん!!」

 

 ヘシアンの無数の刃が襲ってくる。さっきまでなら掻い潜らなきゃいけなかったけど、今は違う! 

ギガバトルナイザーをロボに向かって回転をかけて投げ、私はヘシアンに向かって飛び掛かる。空中という隠れる場所がない刃が一斉に向かってくる。

 

 右側から来たものは爪を振り下ろすことで切り落とし、左側から迫るものに対しては脚で蹴り上げ一纏めにしたものを左手で掴み取る。

 

『……!?』

 

「それごとぶち破る!!」

 

 刃は外套が変化したものだから、掴んだそれを引き寄せるとヘシアンも一緒に寄ってくる。ヘシアンは驚きながらも刃へと変わった両手を円盾の形に変化させるが、そんなもの関係ない!

 

 空いている右手を盾の中心に向けて全力で振りかぶり、ヘシアンのことをロボに向かって吹き飛ばす。

 

「はああああああっ!」

 

『!!!』

 

 衝突しロボと重なったヘシアンに向け、畳み掛けるように踵落としを喰らわせるが、下にいたロボはヘシアンを守ろうともせず、全力で回避行動を取り直撃を避けた。

 

 やっぱり仲間っていう訳ではないんだな。人間を殺す便利な道具、くらいの認識なのか。それならと、さっき投げたナイザーを手元に呼びメビウスのことを光の国から宇宙空間まで吹き飛ばすまでのことは出来ないけど、この特異点の端へ投げ飛ばせるだろうと、ギガバトルナイザーを使ってそれを実行する。

 

「さあ、後はお前だけだぞ……ロボ!」

 

『Grrr……GUGAッ!!』

 

 残っている時間は?何分、何秒残ってる?

そんなこと気にしてられるか!今は目の前にいるロボを、ロボだけを見ろ!ロボにだけ集中しろ!!

 

 振り下ろされた右前足を両腕で受け止め、仕返しとばかりに殴り返す。

憎悪をおさめろ、怒りに呑まれるな、憎しみ続けても前には進めない、人間をわかってくれ、お前にはそれだけの知恵がある、憎悪、怒り、憎しみ、理解、知恵、憎悪、怒り、憎しみ、理解、知恵、憎悪、怒り、憎しみ、理解、知恵 憎悪、怒り、憎しみ、理解、知恵、憎悪、怒り、憎しみ、理解、知恵。

 

「ああああああああ!!もう! どうでもいい!!」

 

「ぼ く を み ろ!」

 

(ふふふ。そう、それよ)

 

『GA!?』

 

ロボと取っ組み合う状態から思いっきり振りかぶった頭突きを喰らわせる。

あんまり勢いが強すぎたものだからメット部分が壊れてしまったけどそんなこと知ったことか!

 

「他の人間たちのことなんて知るか! お前の記憶に、その瞳に刻まれてる人間たちが醜い存在しかいないなら新しく刻ませてやる!! 他の誰かじゃない、宮原博樹っていう人間を!!」

 

(やさしすぎるからみんなも、って思ってしまう。おじさまは、それくらいわがままになっていいのよ)

 

 さあ、最後まで僕の全力についてきて貰うぞ!ロボ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この人間は、なんなんだ

 

 

人と獣は分かり合えず、相対すれば殺し合う運命だ。

 

その運命を理解していながら、それでもなお。

 

それを良しとしない。拳には悪意も殺意もこもっていない。

 

何度倒しても目の前に立ち上がってきた。

 

ただ殺す、生きるために殺す、そんな生物の本能も感じない。

 

だがひとつ、ひとつだけわかったことがある。

 

()()()は、一度も視線を外さない。

 

それで心が通じ会えるとでも思っているのだろうか

 

なら笑いものだ、大馬鹿ものだ。

 

けれど、何故だろう。

 

絶対に不可能なのに、叶うことなどありえないのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーあの場所に、辿り着ける気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【ULTRAMNSUIT ver.BELIAL】
 博樹の中にある本[ULTRAMN]に出てくる[ULTRAMNSUIT]をナーサリー・ライムの宝具によって再現し、彼女の霊基に混ざっていたベリアル因子を混ぜ合わせることで改造を施したベリアルを模したスーツ。

 元々博樹の中にあるベリアル因子がスーツの因子と結合する事で、生身で因子を解放させた状態の時よりも格段にパワーアップしており、また効率的に力を引き出すことに成功している。

 しかし、効率的に引き出しているのにもかかわらず燃費の悪さは凄まじく、1度装着するのに令呪1画消費する必要があり、稼働時間が3分しかない。また博樹自身の肉体的な負荷もあり連続での使用は不可能。最低でも24時間のインターバルが必要。

 性能としては光線技や光輪技など、多種に渡る攻撃が可能だが相手がロボだったため博樹は使用することがなかった。


これを投稿し始めたころから1.5部はベリアルさんがいないことは最初から決めていたのでベリアルさんバージョンのスーツ使えばサーヴァント戦もいける!と思い続けていたらベリアルスーツ実装。これは絶対に使うしかないと思いましたね。

因みにこの章のサブタイトル【遺産】は[ULTRAMN]の漫画1話が遺産だった所からだったりします。
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