【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
けど、ここしかなかったんです。
感想、評価お待ちしてます。
【
闇に染まりながら、失われることのない星の聖剣の輝きが砕けた小惑星を包み込む。
藤丸立香がジェームズ・モリアーティがこの新宿幻霊事件の犯人だと言い当てたことで、七発目の魔弾としての性質を失った小惑星ベンヌ。
『ベンヌ、アルトリアオルタさんの宝具によって消失……し、していません!!』
「なに? ……これは!?」
「────ッ! 田舎娘! すぐにマスターを抱えてバレルから離れろ!!」
『ベンヌの中に潜んでいた? いいや、休眠していたのか!! それが2人の宝具の力によって目を覚ました……? ────っ、立香ちゃん! アルトリアオルタが言っていたように少しでも速くそこから離れるんだ!!』
エクスカリバーの一撃で、ベンヌは跡形もなく消滅する。はずだった。
それは、ベンヌが本当にただの小惑星だったらの話だ。
破壊されたベンヌの中から現れたのは
休眠活動中だったソレは、エミヤオルタの宝具によって目を覚まし、アルトリアオルタの宝具によって覚醒した。
「────あれは、なんだ?」
「アーチャー!!」
「アイツのこと気にしてる場合じゃないでしょバカ! しっかり掴まってなさいよね!!」
できることはなにもない。あの小惑星を呼び込んだモリアーティすらあの青い球体が何であるか理解できずただ棒立ちになっているなかで、アルトリアオルタの声が届いたジャンヌオルタだけは、なりふり構わず立香のことを抱きしめ、バレルから飛び降りた。
「まったく、とんだハズレくじを引いたものだ……」
「存外、ここでの日々は楽しいものだったな」
人類滅亡が記されたノストラダムスの大予言。
本来の歴史では、恐怖の大王はやってこないし、人類は滅亡もしていない。
しかしながらソレは、空から突然やってきた。
【宇宙の平和を乱す、悪魔のような怪獣】とさえ呼ばれるはじまりの怪獣。
その怪獣がいなければ何もはじまらなかったかもしれない。
親友を殺された光の戦士が地球にやってきて、その怪獣を倒したことがすべてのはじまり。
だがこの宇宙には、この地球には…………
ウルトラマンはいない。
グャガア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!
「だあっ……はあ、はあ、はあ。死ぬかと思った……。無事よね、マスター?」
「うん、ジャンヌオルタのおかげで。けどあれって……」
『【宇宙怪獣ベムラー】ウルトラマンが地球に来てはじめて戦った、そして光の戦士と地球の戦いがはじまった全てのはじまりとされている怪獣です。ですが……』
「うん、姿がちょっと違うよね?」
博樹さんがコレクションとして持ってきてくれていたし、ベリアルさんのこともあってカルデアの人たちの殆どはウルトラシリーズを見ているから、ベムラーのその姿に気がついた。
元々のベムラーは背中が毒の棘で覆われた寸胴体型で、ティラノサウルスのような細い腕が特徴の怪獣なんだけど、目の前にいるベムラーは、棘が生えた背びれが青く変化していて、一際特徴的なのは頭に2本の角が生えていること。後もう一つ、正気が失われているかのように
『エミヤオルタの宝具にエクスカリバーによって活動を開始した所を見ると聖杯か? 魔力をエネルギーに……いや、それ以外にも何か……』
突如出現した怪獣にダ・ヴィンチちゃんが頭を悩ませている中、ベムラーのその大きな2本の角がエネルギーを溜めるかのように輝き出した。
「何か大きいのがくる!!」
「ああったく忙しないわね! マスター、逃げるわよ!!」
グャガア゛ア゛、ガア゛ア゛ア゛ア゛ア!!
角の輝きが収まるのと同時にその口から熱線が吐き出してくる。
姿を現した地点から私たちが着地した場所とでは離れてるから、直接の被害はないけど辺りを焼き尽くした熱風がこっちにまで襲いかかってくる。
『マズイ。このままベムラーが光線を吐き続けたらそこは人間が住める場所ではなくなってしまう! どうにか手立てを考えなくては……』
『手立てといっても、もうベリアルさんはこの星には……』
「手はあるよ」
「「!?」」
怪獣を倒すための組織もないこの地球でベムラーを倒せるのはもうウルトラマンしかいない。けど、ベリアルさんはもうこの星にはいない。
どうすることもできずに、このまま破壊を見ているだけだと思っていた私たちの前に声が届いた。
「博樹さん!!」
「ごめんね立香ちゃん。さっきまで気を失っていてさ、今目が覚めたんだ」
『…………』
「襲ってきたり、しないわよね。コイツ……」
「大丈夫じゃないかな、多分」
博樹さんだ。さっきまでヘシアン・ロボと死闘を繰り広げていた博樹さんが、そのロボと一緒に来てくれた。
『……色々と言いたいことがあるが時間がない。単刀直入に聞こう、君ならあの怪獣を止められるんだね?』
「────はい。私と、
『デェア』
────────小さい、ベリアルさん???
『────だからお前に託せるんだ。後始末もな』
「こう言うことだったんですね。後始末って」
博樹はそう呟きながら、暴れ続けるベムラーに向かって歩いていく。
ただ一人ではない。隣にはアリス、ナーサリー・ライムが造り出した小さなベリアルがいる。
『本当に、大丈夫なんだろうね?』
「心配いりません。アイツは、ベムラーは絶対に倒します。こ……」
『どうかしましたか?』
手に何かを握るような仕草をしたかと思うと、考えるように立ち止まったためマシュが心配するように声をかける。
「いや、小さいベリアルさんのことを呼ぼうとしたんだけど。来い! 小さいベリアルさん! って言うの長くないかな〜、何かいい略称ないかな〜と思って」
『そ、そんなこといいから早くしないか! もう残された時間は多くはないんだぞ?』
『…………赤子のようなベリアルさん。【ベビアル】はどうでしょうか?』
『マシュ、きみねえ』
「それいいねマシュちゃん。よし、いくぞベビアル!!」
「……ディア!」
少し呆れたように小さいベリアルもとい、ベビアルがその姿を変化させると博樹の手にべリアライザーの形として収まった。
べリアライザーが現れたのと同時に腰元に現れた装填ナックルを手に取ると、博樹は2本の
ゴモラとレッドキング? エレキングとエースキラー? それともゼットンとキングジョー? はたまたギャラクトロンとキングジョー? そのどれとも違う。
「怪獣には怪獣。なら、ベムラーにはベムラーだろ!!」
博樹が選択したカプセルは【ベムラー】と【アーストロン】。初代ウルトラマンと帰ってきたウルトラマンが初めて戦った怪獣同士の組み合わせをナックルへと装填し、ライザーで読み込んでいく。
フクイデケイがそうだったように、融合獣の姿へと変身するために博樹の身体が一時的にウルトラマンベリアルの姿へと変わる。
だが、ベリアル本人がいない状態での変身は負荷が大きいのか、ここまでくるのに体力を使いすぎたのか、2体の怪獣がベリアルの因子と融合していくその負荷に声を出すことすらままならない。
「があっ、ああああああああああっ!!」
痛みに耐え、どうにかライザーを目の前に突き出すように起動スイッチを押したことで、光が博樹のことを完全に包み込み、見る見る巨大化していきベムラーと同サイズまで大きくなる。
「ほんとに怪獣になっちゃった……」
「私がベリアル融合獣になってベムラーを止める」そう言って小さいベリアルさんとべムラーに向かっていった博樹さんは、光に包まれて融合獣へと変身した。
『【宇宙怪獣ベムラー】と【凶悪怪獣アーストロン】とのフュージョンライズ形態【バーニング・ベムストラ】だそうです』
『わざわざバーニングって付ける意味あるかな? ベムストラだけで良くなかったかい?』
「似たりよったりな見た目してるわね」
バーニング・ベムストラ。ベムラーのカプセルを使ってるからジャンヌオルタの言う通り体型とか似ててぱっと見だとどっちがどっちか判断しづらい。
けど、よく見ると細部が違ってるのがわかってくる。
まず第一に二本の角と一本の角が違うし、ベムストラの胸にはベリアルのカラータイマーによく似たものを中心に炎が燃え広がったような意匠が出来てる。
爪や牙も赤く染まってるし、ベムラーの細々とした腕と違ってベムストラの腕はアーストロンから引き継いだのか逞しい腕へと変わっている。
ザアアアアアアアアアッ!!
自分はここだと、意味のない破壊を続けるベムラーに向かって咆哮を上げるベムストラ。接近してくる相手に気づいたベムラーも相手を敵だと認識したらしくその赤く染まった瞳を爛々と輝かせて迫ってくる。
グャグャガガガッ!!
『べ、ベムラー、ベムストラの放った光線を吸収しました。本来では備わっていない能力のはずなのであの2本の角の影響だと思います!』
「そんなの見なくたってわかるわよ! たく、あんななりして卑怯くさい技持ってんじゃないわよ」
先手必勝と言わんばかりにベムストラは青い渦を巻いた光線をベムラーに向かって吐き出したけど、ベムラーはその光線を2本の角で吸収して自身のエネルギーへと変換させる。
そうして変換させたエネルギーを、今度は仕返しのようにベムラーが熱線を放ってきた。
「「!!」」
「心配しなくて大丈夫ですよ」
「ライムちゃん、それって」
「バーニング・ベムストラだもの。おじさまはあんな攻撃で負けたりしないわ」
熱線が直撃してしまって驚愕する私たちとは裏腹に、ヘシアン・ロボに乗っているライムちゃんが自身満々にベムストラが大丈夫だと言い切る。
その言葉を信じて爆炎に包まれたベムストラを見ていると、その炎の中からダメージを受けた様子もなくベムストラがベムラーへ向かっていく。
ザアアアアアアアッッ!!
グャグャグャ!? グャガガガがッ!
まさか自分の熱線が効かないとは思っていなかったのか、焦ったようにベムストラに向かって駆け出し、その勢いのまま角が腹部に当たるように頭突きをするベムラー。
だけど、流石はウルトラシリーズを網羅している博樹さん。相手の動きを予測してその剛腕でベムラーの角を掴んで止めてみせた。
ザアア……! ガアアアアアッ!!
「ベムラーを持ち上げた……!」
「どんな馬鹿力よ……」
気合いを入れた咆哮と共にベムラーのことを持ち上げたベムストラは、角を掴んだままベムラーのことを地面へと叩きつける。こっちにまで揺れが響いてくるソレを何度も何度も繰り返していると、苦しくなったのかベムラーが口から何かを吐き出したように見えた。
「ああ? あのクソ爺、何でまだ生きてんのよ……」
『彼が聖杯を所有していたからか? 何にせよチャンスだ! ジャンヌオルタ、今すぐ聖杯を取り込んでいるモリアーティを回収するんだ!』
「はあ!? アタシにあんなボコスカバカスカやってる所に突っ込めっての!? 今度こそ死ぬわよ!!」
バレルを破壊するときに聖杯と一緒に呑み込まれていたっぽかったアーチャー。彼から聖杯を渡してもらえないとこの特異点の修復は終わらないから、取りに行かなくちゃいけないんだけど、ベムラーとベムストラが戦ってる真下近くに接近しながらアーチャーを探すなんて……。あれ?
「それじゃあ、わたしたちもいきましょうか」
ジャンヌオルタがダ・ヴィンチちゃんと言い争ってる間に、ライムちゃんがヘシアン・ロボに声をかけて走っていってしまった。
もしかして、最初からそのつもりでライムちゃんは残ってたの?
それなら安心かな〜と2体の戦闘に視線を戻すと、どうやら終わりが近いみたい。
ベムストラはその剛腕でベムラーの角を砕き折ると、尻尾を器用に動かしてベムラーに絡ませ勢いのままに上空へと投げ飛ばした。
ザアア……!ザジャアアアアアアアッ!!
グャグャアア……!グャガアアアアアアアッ!
角を折ったことで光線を吸収する力を失ったであろうベムラーに向かってベムストラが最初に撃った時よりも極太の光線を吐き出す。
吸収能力がなくなったことを本能で理解しているのか、ベムラーもベムラーでその光線に対抗して熱線を吐き出して対抗してくる。
『ベムラー、ベムストラに対抗して熱線を放ってきましたが、あれはもう……』
「うん、勝負ありだね」
空に飛ばされたことでエネルギーを溜め込む時間がなかった。2本の角は光線を吸収するのとは別にエネルギーを溜めるのに重要な器官だった。あげだしたらキリがないけど、ベムストラの吐き出した光線に比べて細い熱線しか出せなかった時点でベムラーの敗北は決定した。
ベムストラの必殺光線は、熱線と衝突したからといってその勢いを衰えさせることなく逆に熱線を呑み込んでベムラーへと直撃した。
ザャアアアアアアアアアッッッ!!
断末魔と共に爆発したベムラー。その爆発した破片すら残すことは許さないのか、一本の光線に渦巻きが巻いているベムストラの光線は、破片すらも吸い込んでベムラーのことを完全消滅させた。
【ベビアル】
ライムの宝具とベリアル因子によって生み出された存在。
ベリアルスーツになるのに加えて、べリアライザーにも姿を変える能力がある。見た目はまんまM78ワールドのベリアルさん。可愛い見た目のわりに戦闘能力はわりと高かったりする。
【ベムラー(強化)】
オーブの「あばよ」回に出てきたベムラーの強化個体。
当初は新宿ということもあってビースト・ザ・ワンを出そうとしていたが、そうするとデビスプ案件以上にザギ案件になるのでボツ。ウルトラゾーンで恐怖の大王の正体と言われたベムラーに白羽の矢が立った。
普通のベムラーでもよかったが、それだと融合獣相手では役不足ということで魔力とデビスプによるバフによって強化状態に。
バアルが作戦を始めたと同時に因子に惹き寄せられる形でfateの宇宙へ→ある事情で体力を使いすぎたため休眠状態(球体モード)へ移行→今までいた宇宙と違うためなかなか体力が回復しないまま3000年→いつしか隕石やデブリがくっついて小惑星ベンゾに→新宿到達覚醒。
【バーニング・ベムストラ】
怪獣には怪獣、ベムラーにはベムラーという理由で博樹がフュージョンライズしたベリアル融合獣。
組み合わせはジードがレッキングバーストを撃てた時のようにどのカプセルを使えばベストマッチなのか頭の中に流れてくるので、ベムラーを使うと決めた瞬間に流れ込んできた。
普通最初の融合獣だったらスカルゴモラだろ!と思うかもしれないがバビロニアで禍々アークベリアルを出したこともあってどうせならフュージョンファイト限定融合獣を出してあげたいという作者の欲から登場。これであと登場していない融合獣は2体。
融合獣の中では一番シンプルで無難な見た目をしている、作者的には結構好みな見た目をしてたりする。