【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
今回もBBちゃんのガバが目立つような……?
感想、評価お待ちしてます
「はあっ! はあっ! はあっ! なんで……なんで……!」
ずっと、何年も何年も、この日がくるのを待ちわびてた。
今日になれば、今日という希望を持ち続けることが出来たからあの地獄の中でも耐え抜くことが出来た。
「なのになんで……こんなところで……!」
それぞれの持ち場を守っているBBの
出会ったら終わり。出会わないように、出会ったとしてもすぐに逃げられるように細心の注意を払っていたのに……そんなもの無駄だった。
「あと少し、あと少しなの! 邪魔しないでよ!!」
運がなかった。そう言われればそれだけの事かもしれないけど……。いやだ、そんなの嫌っ!
「く、ひ、ひ、ひ! よい、よいなぁ! やはり人間の泣き叫ぶ声はわえを昂らせる寛美な音じゃ!」
ごめんなさい副所長。私、最後の指令を果たせませんでした。
目を逸らして、見捨ててしまった人たちも……、こんな最後になっちゃうなら助けて殺されてしまえばよかった。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい……。
「コレにはこの
突如として立香の前に現れたヴリトラは、自分を中心に立方体の“閉ざされた世界”を顕現させ、そこに立香のことを閉じ込め助けが来れない状況作り出した。
だが、BBの
「ほれ」
というには語弊がある。ヴリトラはそのデータの塊をなんの迷いもなく、立香に向かって投げ飛ばし、ヴリトラから殺気を感じなかった立香は完全に油断していたためそれを掴むことも出来なかった。
「へ? ────!? ──────!!」
身体にぶつかって落ちるのかと思ったそれは水の中に物が落ちていくように、波紋を立てながら立香の身体の中へ溶け込んでいった。
立方体が入り込んだ瞬間、立香は胸を抑えて苦しみだしそのまま地面に倒れ込む。
「カッ! ガハッ!」
「うむ、やはりこうなったか」
白目を向いて苦しそうに地面をのたうち回る立香を椅子に座りながら、当たり前だというようにヴリトラは見下ろしていた。
「さあリッカ。貴様は耐えられるかえ? この地で起きた地獄を経験してもなお、立ち上がる力を残しているか。わえに見せてみろ」
マスターに異常が起きているのに誰も駆けつけてこない。まるで立香とヴリトラ以外の世界が止まっているかのような状況で、ヴリトラは立香のことを試すように見続ける。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
施設が電脳化? ふざけたことをいうな!
なんなんだあの化物は! あんなもの太刀打ちできるわけがない!
あ、あああ!! 身体が、人の身体が消えていってる!!
全員分の記憶が込められている。ヴリトラがそう言ったとき言葉は理解していても頭では理解していなかった。こういう、ことだったんだ。
大丈夫だ! きっとなんとかなる!
協力し合えば、助けがくるまで耐えられる!
一人称視点のゲームなんかをやっている時、主人公になったような目線で楽しめるあの感覚。それを、
これは人間への天罰だ! 我々が傲慢にも利用してきたインターネットの怒りだぁ!
ハハハハハ! いい、イイナぁ! この世界はオレ向きだぁ!
殺せっ! この怒りが理解できない低俗なものなどここにはいらない!
狂い始めたのは、閉じ込められて一月が経ってからだった。何とか耐え続けるスタッフもいたけどその良識を踏みにじるように、道徳を蹴り飛ばすように
どんなにその行いが誰が見ても間違いだとわかっていても、
や、やめてくれ! こ、こんなことするの間違ってる!
最初は、備蓄食料の問題なんかで見捨てられた人たちの目線が消えた。
次は、【正しさ】を間違いなんだって勇気を出した人たちの目線が、炎によって最後を迎えたり、突然の衝撃で真っ暗になったりして……消えた。
ハハハハハハハハハハッ!!
元々ここはそういう施設だ! それをこの私が有効に使ってやる!
地獄を求めたのはオマエらだ! 本当の地獄を見せてやる!!
これはキミのためだ……! キミを傷つけた奴らをを殺すために! キミを救うために!
|誰かのためなんて、どんなに雄弁に叫んでいてもそんなの虚言だ《治安と風紀を守る。これはみんなが生き抜くためだ》。
助けて……誰か助けて……
もう耐えきれない……こんなに生きることがつらいなら……
ああ、だからこうなることを選んだんだ……。そうだよね、最初からそうすればヨカッたんだ……。
一番楽で、一番簡単に
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「あはははははははははははっ! がっ、はは! 」
「うむ……。やはりだめか。見当違いじゃったかの」
ヴリトラが失望した瞳を向ける先。そこには何処を見ているのかわからない虚ろな瞳で自分の首を締めながら笑い続ける立香がいた。
「気が狂い、己が快楽がために溺れたものたちの末路。全員分のそれを見てもなお、立ち上がるというのなら……と思ったのじゃがなあ」
博樹と戦い彼のことを見定めたように、立香にも期待していたからこそこの障害を与えた。彼女なら超えられるのでは? と……。まあ超えられないのなら死ねばいいと思っていることも事実だが、その顔は残念がっている。
「う〜〜つまらんつまらんつまら〜ん! ヒロキだけではもの足りん!
「ははは…………ぐぅっ! ────ハッ!」
「────む?」
「────リ……ル、さん……」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
違う!
違う違う違う違う違う!!
私のことを引きずり込ませようと千手観音のような無数の腕がこちらに伸びて手招きしてくる、あと少し手を伸ばしたら掴まれてしまいそうだったその無数の手を払いのける。
『闇じゃない! 私が憧れた闇は! ベリアルさんの力は、そんなものじゃない!!』
何が違う、お前にも見えているだろうこの底しれぬ闇が
落ちるだけでいいんだ。それだけでここまでキモチよくなれるんだぞ! こんな簡単なことはない、こんな楽に快感が得られるなんて最高じゃないか!
『うるさい! それは闇じゃない、こんなの他人任せでひとりよがりな快楽の泥だ!』
こちらに思考を溶かそうとしてくる甘い誘惑を振り払いながら大声で叫ぶ。こんなもの闇じゃないと否定するために。
『解けないほどに絡みついたそれが闇だなんで絶対に認めない。闇は、闇に溺れないその力はもっと自由なものだ!』
ずっとその背中を見てきたから、たとえ光の国を滅ぼしかけた悪の大罪人だったとしても私にとってあの大きな背中は、どこまでも憧れるものだから。
この悦びが何故わからない! ただ身を任せるだけで至上の悦びが訪れるというのに何故拒むというのだ!
解けないほどに絡み付いた人々が悦びの声を上げながら私に向かって手を伸ばしてくるけど、もうその誘惑には負けない。
現実なんてものは屑だ。どんなに努力しても、いくどの苦痛に耐えようと得られる幸福なんてものはその1割にも満たない! そんなものに戻ってなにになる! ここで無限の快楽に浸かっていたほうが誰もが幸せになれる!
確かに、沢山の努力を重ねて、何度もの困難を乗り越えて、その度に傷が増えていって……特異点を攻略しても次が続いていたから得られる喜びは少なくて……人理焼却を食い止めてやっと一段落つけると思ったらこれだもんね、彼らの言ってることは決して間違いじゃない。
『それでもだよ。それでも私は諦めないよ、だって……』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「────【前に進め】って、そう言われたから……!」
「ほう……! ほうほうほう!!」
セラフィックス職員たちの狂気から抜け出した立香は、地面に両手を付きながら呟いた。もう立香は快楽に呑み込まれて立ち上がれないと思っていたヴリトラは、瞳に生気が再び灯しながら立ち上がる立香を見て口角が上がるのを抑えられない。
「はあ、はあ、はあ……。どーだヴリトラ! 乗り越えたよ!」
「き、ひ、ひ、ひ、ひっ! くははははは!!」
ヴリトラは口を大きく開け大声を上げて笑った。
息は絶え絶え、顔からは大量の汗が流れ、全身震えていて立っているのが不思議なくらいなその状況で立香はVサインを作って笑顔を見せてこられたら笑うしかないだろうと。
「あれほどの狂気をあびて、絶望を前にしても笑うとわなっ!」
「────だっ、て……
「────!? なに……?」
驚きで目を大きく見開いた。腹を抱えそうだった笑い声も止め、ヴリトラは真剣に立香のことを見始める。立香は大きく深呼吸をして、心を落ち着かせて話を始めた。
「ヴリトラは、全員分の
「ふっ、まあ確かに全員というのは言い過ぎだったかもしれんのぉ。洩れてしまったものもいるかもしれんな」
「
あの時間に触れたから、常人でも善人でも悪人でももれなく思考がとろけて快楽に溺れる狂人に堕ちてしまう数十年の時のを味わった今だからこそ、カルデアに届いた通信がどれだけすごいことだったのか理解できる。
だからこそ気がつけた。ヴリトラが見せた
「快楽に溺れて堕ちそうになったから、そんな一握りの可能性に縋るしかなかったって言えばそうなのかも知れないけど。信じてみたいんだ、そんな希望があったんだって」
「────もうよい、リッカ」
「え? わっ……」
そう言ってヴリトラは、頭で考えずただ思ったことを口にする立香のことを子どもをあやすように抱き寄せた。
立香も突然のことに反応することが出来ずされるがままにヴリトラの胸に顔を落とす。
「合格だ、リッカ。お前はわえを充分に楽しませた、褒美も渡そう。なれば今は眠れ」
「あ────。ヴリトラ、私の名前……リッカじゃなくて……りつか……」
立香の限界がわかっていたのだろう。喋りながら立香の眉が少しずつ下がっていく。
「そうかえ。なら都合がよい」
「つ、ごう……?」
「最低で、最悪で、最高で、最善のその時に、わえがリッカと叫ぼう。それに応えたのなら、この天元の魔であるわえの本気をお前に魅せてやろう」
その言葉を聞きながら、立香は夢のなかへと沈んいった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「……ー! ……スター! 〜〜〜〜! 藤丸立香っ!!」
「ひゃあっ!? へっ? へっ!? あ、あれ? ヴリトラは?」
「何寝ぼけたことを言ってるのかしら? こんな所にヴリトラなんていたら気づかないものなんていないわ」
メルトが私のことを呼ぶ大きな声で目を覚ますと、辺りを見渡してもヴリトラの姿もヴリトラがいた痕跡も残っていなかった。
「大丈夫かい立香ちゃん? 無理そうなら探索は私たちで行くけど」
「ああ大丈夫だいじょうぶ! うん! 目覚めた!!」
そう言って立ち上がろうとすると、何か握っていることに気づいた。
みんなが私のこと大丈夫って分かって外に向かっていくのを横目に手を開いて見ると、そこには
何だろうこれ? って思うけど、これがヴリトラからの報酬ってことなのかな?
「く、ひ、ひ。のう
トラパイン女史
セラフィックスの通信士。カルデアから派遣され外部に情報を漏らさないため裏だと彼女しか通信士しかいなかった。唯一カルデアに救援を呼べる人物だったため、
カルデアに救援要請を届けた後息を引き取ったらしいが、何やらヴリトラと接点があったような???
3つの鍵
本来ならショップで交換するイベントキーアイテム。BBちゃんが作って立香や博樹に試練っぽいことやらせてあげよ〜っと思ってたらいつの間にか無くなってた(ここガバ)
堰き止めているものを開ける鍵、そういうものに敏感なヴリトラが用途を理解した上で勝手に奪って立香の手に渡った。
ヤッタネリツカちゃん!無駄な周回しなくてすんだよ!!